表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/62

13話 ロリでも女王!? 高貴なるヴァンパイア登場!

「……」


 いつもの喫茶店で、俺は絶句していた。

今日はジョンさんが王国評議会に出席するので、ソフィアと2人で店番を任されていた。

ジョンさんは昔、王立騎士団ですごく偉い役職についていたらしい。

だからこうして今でも、評議会に呼ばれることがある。


 議題は、もちろん決まっている。

突如現れ王国を脅かす存在について。

その仲間と思わしき、黒い怪物について。

そして、それらと戦う戦士について。


 一体どういうことを話しているのか、気になるところである。

早いところ俺の誤解をどうにか解いてほしい。


 直接言ってもいいんだけど、ぶっちゃけ今はそれどころではない。

ソフィアと2人で店番。

いつもどおりといえばいつもどおりなんだけど。

それ以外が、いつもどおりではない。


「あちっ!

 おい坊主! もう少しぬるくできねぇのか!」


「いつマガツビトが襲ってくるかわからない。

 常に日頃から修行をしておかなければ……」


「あぁ……今日もソフィアさんはお美しい!」


 猫舌のヴァイト。

室内で剣を振り回すリース。

そして、ただソフィアを眺めているだけで何も注文しないジャック。

店内がカオスすぎる。


「おいみんな!

 いい加減にしてくれ!」


「いい加減にって……

 オレはただ客として注文しただけじゃねぇか」


「ノア。

 どこから敵が襲ってくるかわからないのだ。

 それに、評議会に出席できなかったから妙に身体がソワソワしてたまらない。

 室内で剣を持つことを許してくれ……!」


「別にいいだろ。

 ソフィアさんが減るわけでもない」


「だーっ!

 そういうことじゃない!

 リースに至っては後半が本音じゃん!

 お前らのせいで客が怖がって来なくなっちゃうだろ!」


「仕方ないではないか!

 評議会に出れると思ったらお留守番だったんだぞ!

 お留守番だぞ! 暇じゃないか!」


「パトロールとかすればいいじゃん!」


 あーでもないこーでもないと喧嘩する俺たちを、ソフィアはただ笑って見ていた。

まぁこうやって喧嘩できるのも、しばらくマガツビトが現れていなくて平和だからとも言えるが。


「ソフィアも止めてくれよ!

 頼むって!」


「私はハイエルフだから、あまり気にしてないよ?」


「……それ、ハイエルフ関係あるのか?」


 愉快な奴らと終わらない喧嘩をしていると、突然喫茶店の扉が開いた。

ベルの音に反応して、ソフィアがアホ毛を立てる。


「いらっしゃいませ!」


 言いながらお客様の方を見る。

それは、やけに小さい女の子だった。

身長は子供くらい。

室内だというのに日傘をさしている。


「あの、お客様……

 失礼ですが、室内で日傘は――」


「わかっておるわ。

 しかし、今日は日差しが強い。

 室内といえど、日光は妾の敵じゃ」


 そう言って俺を無視して席に着く。

態度が大きいお客様だ。


「……ご注文は?」


「んー。

 ではこの、『はにーらって』というのを貰おう。

 甘いのじゃろ?」


「そうですね。

 ハチミツを使った甘くて温かい飲み物でございます」


 伝えると、お客様はやけに嬉しそうに笑った。

そして、なぜか偉そうに胸を張る。


「ふむ、そうか!

 本当は『こーひー』でもよかったのじゃがな!

 まぁ、どうしてもいうなら仕方ない」


 どうしてもとは言っていないのだが。

まぁ、いいや。


「か、かしこまりました。

 少々お持ちくださいませ」


 カウンターでハニーラッテを用意する。

その間、お客様は足をプラプラさせながら今か今かと待っていた。


「おまたせいたしました。

 ハニーラッテです」


 眼の前にハニーラッテを置くと、文字通りお客様の目は輝いた。


「おぉこれが!

 ハチミツのいい香りじゃ」


 ゴクっと一口飲むと、大変満足そうな笑みを浮かべた。

正直、子供みたいで可愛いと思った。

いや多分子供だけど。


「おい嬢ちゃん。

 その歳で1人で王都を歩けるのは凄いが、1人で出歩くのは危ねぇぞ。

 最近は物騒だからな」


 ヴァイトがお客様に声をかけた。

すると、鬼のような形相でお客様はヴァイトを睨みつける。


「『嬢ちゃん』じゃと!?

 ふざけるではない!

 妾はこれでも200歳の超偉いヴァンパイアじゃ!

 お主みたいなネコ坊主に嬢ちゃん呼びされる筋合いはない!」


「嬢ちゃん、ヴァンパイアだったのか。

 ヴァンパイアって言えば、闇に潜む孤高の種族って聞いたが」


 俺もそう記憶している。

人よりも長生きで多種族とあまり干渉しない。

日光に弱く、闇を好む。

ヴァンパイア一族に伝わる魔法を得意としており、影を移動する能力を持つとか。

そして、ヴァンパイアの女性は発育が良く、人を誑かすことに快感を覚えるとかなんとか。

俺とヴァイトは声を合わせて言った。


「そうは見えないけど」

「そうは見えねぇけど」


 眼の前にいるちっこいヴァンパイアは、とても200歳には見えない。

どうみてもまだ子供だ。


「馬鹿にしおって。

 じゃが、これを見ても同じことがいえるかの!」


 突然、自称ヴァンパイアが服を脱いで背中を見せつけてきた。

流石小さな子どもに欲情する俺ではないが、突然の行動に驚く。

しかし、その行動よりも驚くべき事実が提示された。


「おい坊主、これって……」


「マジ、か」


 自称ヴァンパイアの背中には、吸血鬼を模した紫色に光る紋章があった。

これは、俺やヴァイトが持つ紋章と同じ。


「妾はヴァンパイアの女王にして、伝説の紋章を受け継ぎし者!

 カーミラ=ヒュッケンベルグ=ブラッドなるぞ!」


 高々宣言するカーミラ。

俺とリース、そしてヴァイトは顔を合わせ、更に声を合わせて叫んだ。


「「「絶対嘘だっ!?」」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ