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09話 新たな戦士

 ある晴れた昼下がり。

休日の今日、俺は自分の部屋でリースから借りた光竜伝説の続きを読んでいた。

もし、伝説の通りなら『大いなる闇』が目覚めることになる。

少しでも多く、大いなる闇の情報を入手しておきたい。


「あれ……そういえば」


 椅子から立ち上がり、本を片手に部屋を出る。

そして、目の前にあるリースの部屋の扉をノックした。


「リース、いるか?」


「いるぞ。

 少し待ってくれ」


 間もなくして、扉が開いた。

扉の隙間からリースが顔を覗かせる。

リースは部屋着だった。


「どうしたんだ、急に」


「あ、いや、大した用じゃないんだけどさ」


 光竜伝説のページをめくり、リースに見せる。

そのページは、『大いなる闇』と戦う戦士が描かれていた。


「この本によれば、伝説の戦士って4人いるんだろ?

 俺以外にも、力に目覚めた人がいるってこと?」


「そうだな、伝説の通りであれば……」


 リースはページをめくり、伝説の戦士について記されている場所を見せてきた。

4人の戦士、それぞれについて書かれている。


「伝説の戦士は4人。

 槍術に長けた戦士と、攻撃魔法に長けた戦士、支援魔法に長けた戦士。

 そして、剣技に長けた戦士である、君だ」


「なるほど……

 ってことは、やっぱり俺以外にも」


「可能性は高い。

 しかし、戦士として力を得ていても、何をするべきかわかっていない者もいるだろう」


 確かに、リースの言うとおりだ。

俺は力を得た時、たまたま怪物に襲われていたけど、別の場所にいた人が力に目覚めていたらどうする?

突然光る紋章が現れるんだから、驚くよな、普通。

俺は流れでなんとなくわかったけど。


「そうだな、ありがとう。

 俺、ちょっと街の方見てくる。

 もしかしたら他の戦士に出会えるかもしれないし」


「え、待て。

 今日は一緒に剣の訓練をする約束g――」


「行ってきまーす!!」


 リースの言葉を聞かずに外に出る。

眩しい太陽の光が俺を照らした。


「さて、人を探すってなったら、大通りだよな」


 まずは学校へ行く時に通る、大踊りへ向かった。

ここは王都で二番目に大きい通りなので、そこそこ人がいる。

休日ということもあって、いつもより大通りは賑わっている印象だ。


「紋章を探せばいいんだよな……

 紋章、紋章……」


 俺は人々を凝視しながら歩く。

めちゃくちゃ変な目で見られているが、これも伝説の戦士を探すため。

とはいえ、突き刺さる視線が痛いのに変わりはない。


「そこのキミ」


 声が聞こえた。

この透き通るような声。

大通りにもかかわらず、鼓膜を震わせる不思議な感覚。

声のした方に目をやると、そこにはかつての占い師がいた。


「あー、この前の占い師!

 無事だったんだな」


「まずはおめでとう。

 そして、これを」


 占い師は一枚のカードを手渡してきた。

見ると、カードには逆さまの塔が描かれている。


「気をつけて。

 キミ次第で、運命は大きく揺らぐ」


「またこれか。

 一体何なんだ?

 そういえば、前は未来がどうこうとか言ってたし」


「時が来れば、自ずと導かれる。

 それまでは沈黙がよし」


「……はぁ」


「キミが探している人なら、近くにいる

 もっとも、まだ――」


 占い師の言葉の途中、左手の紋章が光った。

前と同じように、脈打つように何かを知らせている。


「マガツビトか!」


 その場から駆け出し、喫茶店に戻る。

勢いよく2階へ駆け上がり、リースの部屋の前まで来ると、声を張り上げた。


「リース!

 敵だ! 避難誘導を頼む!」


 瞬間、扉が勢いよく開いた。

扉が思いっきり俺の顔面に直撃するが、今はそれどころではない。


「わかった!

 こちらは任せておけ!」


 鎧も着ないままでリースは走っていった。

俺も行かなければ!


 紋章に導かれて街を走ると、すぐにマガツビトは見つかった。

緑色の身体をした、両手がカマのマガツビト。


「なんだ?

 手が武器になるのって流行ってんの?」


「キシャシャ!!」


 キシャシャって。

マガツビトは俺を見つけると、すぐに構えた。


「変身!」


 変身し、同時に駆け出す。

精神を集中させ黒竜剣を召喚すると、剣を構えて振り上げる。


「おりゃっ!」


「キシャイッ!」


 剣はカマによってガードされるが、胴体はがら空き。

そのまま蹴って相手の体勢を崩した後、黒竜剣で連続攻撃!


「ギヒャッ!

 キシャッ!?」


 一撃、二撃と攻撃すると、敵は最早瀕死。


「これで終わりだ!」


 黒竜剣で敵の胴体を貫くと、まもなくして溶けるように消え去った。

今回のマガツビトは楽に倒せたな。


「なんだよ、めっちゃ弱いじゃん

 名前すら見てなかった……」


「テメぇか。

 竜の戦士ってのは」


 後ろからの声に驚き、振り向く。

そこには、獣人――セリアンスロープの男が立っていた。

背が高く、柔軟な身体をしている。

耳や手の特徴からネコ種のセリアンスロープであることがわかった。


「お前は!?」


「オレ……?

 オレはな……!」


 セリアンスロープが右手の甲を見せる。

そこには獣を模した、青く光る紋章が!


「お前……まさか!」


「変身……!」


 旋風が巻き起こったかと思うと、目の前には獣を模した鎧に身を包んだ男が立っていた。

間違いない、やつは俺と同じ戦士だ!


「オレはヴァイト。

 テメーのような、闇を倒すものだ!」


 そう言うと、ヴァイトは魔法陣を展開。

魔法陣から青い槍が出現し、構えた。


「覚悟しな」


 ヴァイトは高く跳び上がると、俺に攻撃をしかけようと……って。


「なんでだよ!」


 何故か伝説の戦士の仲間である、ヴァイトが襲いかかってきた!

しかも俺のことを闇とか言ってるしわけがわからない!

俺は、戦わなきゃいけないのか!?

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