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67.【狩猟者】vs. 【双頭の猟犬】

戦闘回アルベルトです。…はい、他のメンバーの戦闘回も存在します。その為、2章は大分長くなります

ファンタジーじゃないのかと思うかもしれませんが、長いSFかローファンタジー回だと思ってください

 【第十三支部】から出たアルベルト達は車で町を走っていた。既に街中は混沌としており、あちこちで窓ガラスや駐車されていた車が暴走した【特異体質者】の集団に破壊され、火の手が上がっている


 この混乱で車道に飛び出す人は勿論、一部の地形が変換したり、凍結している場所もあり、運転する者は常に神経を尖らせて運転しなくてはならない


 更に事故やそれによる渋滞も発生している為、事前に使用する道の見極めと、即座の臨機応変な対応が求められていた


 「勘弁して欲しいぜ。民間人に注意しながら暴走した奴らを相手しなきゃいけないんだからな」


 孝義はそう愚痴りながら急ハンドルを切って前輪を軸に後輪を滑らせドリフトし、直角に曲がると同時に、飛び掛かってきた両腕が肉食獣の前足に変わった男を車体の後方で弾き飛ばす


 車内を襲う衝撃と焦げたゴムの臭いに顔を顰めて横転したバスや粉砕されて出来た穴を避けて進むと、渋谷にある様な大きな交差点に出た


 周囲の建物は交差点の中央に爆心地があったかの様に放射状に外側に傾いたり、倒壊し、その他の車や看板等も押し出されたかの様に建物やその残骸に引っ掛かって瓦礫によるリングや闘技場の様になっている。そしてそのリングの内部には夥しい数の倒れた人間と、そこから流れ出たと思われる膨大な量の血液が広がっており、緩やかな椀上に陥没した地面を浅く満たしていた


 生臭い鉄錆じみた臭気が辺りを満たす中、その中央で唯一立っているタキシードの上に、襟が高く裾が膝下まである黒いコートを着た、腰まで伸びた緩やかなウェーブを描く黒髪の男がこちらに振り返る


 痩せ型で異様な雰囲気を持つ、形容するなら吸血鬼(ヴァンパイア)という表現が適切であろうその男の周囲に赤黒い球体が渦巻いて現れると、獰猛な笑みを浮かべて前傾姿勢になり、血溜まりの血を跳ねかせ信じられない速度でこちらに疾駆した


 「孝義、先に行け」

 「了解」


 短いやり取りを終えた瞬間、一瞬左に曲がると直ぐに右にハンドルを切って迫る男と垂直になる様に方向を調整する。地面が血で滑り易い事もあり、直ぐに垂直になると、アルベルトが素早くドアを開けて外に飛び出した


 男の赤みがかった黒目とアルベルトの紅の視線が交錯する


 地面に両足が着く前に《倉庫》から黒く変色した【ダインスレイフ】を引き抜くと、間近まで迫った男の首に目掛けて振り下ろす。男は大きく体を反らして回避すると、その勢いのまま脚を振り上げ、アルベルトの顎を蹴り上げようとする


 アルベルトは体を捻って半身になり、顎を引いてそれを避けると横に一回転し、横薙ぎに【ダインスレイフ】を振るった。男は身を屈めて長い黒髪の先端の一部と引き換えに回避すると、すぐさま立ち上がり、地面に広がる血溜まりと同じ色に染まった手から伸びる長く鋭い五本の爪で切り掛かった


 両足に地面が着く。それと同時にしゃがみ込みその一撃を紙一重で躱すと、前に飛び出す様に前傾姿勢で膝を伸ばして、下から突き上げる様に男の溝尾目掛けて袖の中から落とす様に、空いていた手へと抜いたコンバットナイフを突き出す


 至近距離で、しかも男は攻撃後の硬直で回避はおろか他の場所で受ける事も厳しい状況にも関わらず、余裕のある笑みを浮かべいた


 二人の間に高速で渦巻く1cm程の黒球が現れる。その瞬間、トラックと衝突した様な強い衝撃を受けて両者は後ろに大きく吹き飛ばされた


 地面に【ダインスレイフ】を突き立てて制動を掛けると、跳ねた血飛沫で全身を赤く染めて男を見る。男はほとんど血溜まりを跳ねかさずに優雅に着地すると、辺りを満たす血溜まりが渦巻き、幾つもの赤い糸の様な竜巻を生み出す


 それは宙で球体に変わると直ぐに同じ数の西洋剣へと変化し、その切っ先を一様にアルベルトに向けて静止していた


 「ふむ。君、名前は?」

 「先ずは自分が名乗るべきだろ?まぁ、そんな格好で血液とその重力球を扱う奴なんてお前位だろうがな。【狩猟者(プレデター)】」

 「如何にも。私が【狩猟者】と呼ばれている御影宗一だ。それでは聞かせて貰おうか」


 御影宗一。【狩猟者】の二つ名を持つこの男は裏の世界で有名な単独の殺し屋である。極度の戦闘狂であり、興が乗ったという理由でその被害は実際のターゲットと推測される人数のみと比べ、何十倍にも及ぶ


 彼が起こしたと思われる事件は千件以上にも及び、公安のブラックリストに最重要容疑者の一人に登録されてその行方を追われていた


 因みに裏にも二種類あり、所謂(いわゆる)犯罪組織等の警察の管轄の物と神話的組織や怪異的現象を扱うこちら側の二つに分けられる。御影は後者寄りの前者である


 理由は彼が【特異体質者】である為だ。【特異体質者】の能力は幾つかの傾向で似た能力で大きく纏めた十三種と、それらとは完全に独立した固有種の全十四種に分類される


 御影はその中で少なくとも重力球を操る【バロール】と血液を操る【ブラム·ストーカー】の二種の能力を持つ事が確認されていた。尤も正式に検査した訳ではない為、他に能力を持っている可能性もあるのだが


 「【双頭の猟犬(オルトロス)】樋口圭吾」

 「そうか。楽しませてもらったがさよならだ」


 名残惜しそうに笑ってそう言うと宙に浮かぶ血の(つるぎ)が一斉にアルベルトに向かって放たれる。丁寧に逃げ場すら奪う様に周囲から巨大な血の槍が向かって来る中、アルベルトはニヤリと笑って命じる


 「迎え撃て、【ダインスレイフ】」


 金色の瞳が輝きを増す。それと共に周囲の血溜まりが渦巻き、無数の血の刀を形成すると降り注ぐ血の剣へと殺到した


 それを見た御影の顔に隠し切れない歓喜の表情が浮かぶ


 血の剣と刀がぶつかり合う。それは針の穴を通す様に寸分の狂い無く切っ先同士が衝突して互いに地面に落ちる


 その間にアルベルトは迫る血の槍を一刀で斬り伏せると全身に蒼靄を纏って落下する槍の切っ先の中へと消えていった


 「何処だ!」


 御影が辺りを見回す。その時、先程彼自身がアルベルトにやった様に周囲から巨大な血の槍が取り囲む様に御影に向かって突き出した


 「チッ!」


 御影は舌打ちすると幾つもの重力球を操作し、膨大な斥力を生み出して吹き飛ばした


 血の槍が無数の破片になって砕け散る。その内の御影の背後にある破片の一つから蒼靄が溢れ出し、次第にその量を増して人型になると、それがアルベルトへと変化して空いた左手に握られた拳銃を発砲した


 御影の張りつめていた神経とこれまでの戦闘で培った勘がそれを察知し、寸前の所で回避する事に成功する。コートの裾を翻して振り返った御影は先程以上に歓喜に満ちた極上の笑みを浮かべると地面を強く蹴り、背後に浮かべた重力球の斥力を利用した高速移動でアルベルトに迫った


 対するアルベルトも地面を蹴ると、素早く拳銃を腰のホルスターに仕舞い、【ダインスレイフ】を構えて近距離戦闘の準備を整えて迎え撃ちに掛かる


 だが二人はまだ知らなかった。進路上にある建物や人を踏み砕き、跳ね回ってガラスや残骸を撒き散らしながら今、この場に向かって来る第三者の存在を


 復讐に狂う迅雷の獣は直ぐそこまで迫っていた。相まみえる時は近い

面白ければ感想、ブクマ登録を宜しくお願い致します

次回、謎の第三者が迫る!

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