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52.対【八尺】討滅戦発令

タイトルの通り【八尺】に挑みます

戦闘はまだです


···まだ本番じゃないですよ?


追記

二箇所、変更しました

変更点

・【禁足領域】は国→三国魔術同盟を構成する日本、アメリカ、イギリスに存在する三組織に変更

・【第四十五禁足領域】→【CSO−45−JP禁足領域】に変更

・生きて帰る事がかなり難しい→殆ど不可能に変更


 予告


 八尺関係の話を大幅に書き直します

 貨物船での戦闘の翌日、荒八木に報告を終えた俺は、壁所か天井から床下に掛けて夥しい数のモニターや機械類に埋め尽くされた部屋で、部屋の主である会社等に使われる様な椅子に座った、白衣姿の眼鏡を掛けた十代位に見える黒い短髪の男に説教をされていた。


 因みにコンテナの中にいた人間は怪我人は多数出たものの、死者はおらず川崎港に着いた直後に警察に保護される事となった。


 「海水に濡れた状態で【魔電機構】動かして砲撃してんじゃねーよ!過剰電圧とショートで機構及びその接合部分は焼き付き、弾倉を回すベアリングや電磁加速の為のブレードは汚れが癒着し錆び付いた。他の箇所も色々ガタついていやがる。


 テメェ、ふざけてんのか?あぁ!?」

 「イレギュラーで化身の襲撃に遭ったんだ。仕方ないだろ?」

 「だからってもう少しやりようはあっただろ!?別に頑丈な奴を持ってねぇのかッ!!


 …ッたく。まぁ、その状態(・・・・)だと流石に武器無しはキツいか。素材を変えて改良して手早く仕上げてやるからとっとと出て行け」


 心底不機嫌にそう吐き捨てると椅子を回して背後の端末を操作し始める。アルベルトは手で流れた血を拭うと部屋を出た。


 因みに彼の言うその状態(・・・・)について説明しておくと、今のアルベルトは六歳の頃の体になっている


 理由についてだが、これは昨日の代償で一時的に十年の年齢と能力の一部が失われているのだ。正直、不便である。服については孝義に頼んで用意して貰った適当な子供服を着ている。


 昨日の疲れもまだ残っている為、アルベルトはそのまま近場の仮眠室へ行くと本来のブカブカになった服に着替えて、ベットに倒れ込む様に眠りについた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 背中の硬い感触と上に乗る温かい何かの重さで目覚める。頭だけ上げて乗っている物を確認すると、カナリアが胸の上で寝ていた。寝惚けた頭で数秒考えて起こさない様に横に退かすと、上体を起こして眠気を払う為に頭を振る。まだ若干の疲れは感じるものの殆ど何時もと変わらない調子を取り戻している。体も既に元に戻っている様だが、能力は未だ失われたままらしい。


 枕元に置いた腕時計を確認すると如何やら丸一日寝ていた様だ。


 「飯でも食って来るか」


 空腹を感じて立ち上がると、施設内に響く放送が流れた。


 『緊急伝令。【酒呑童子】、【憑影】、【双頭の猟犬(オルトロス)】は直ぐに支部長室に集合せよ。繰り返す、緊急伝令。【酒呑童子】、【憑影】、【双頭の猟犬(オルトロス)】は直ぐに支部長室に集合せよ』


 焦りが混じって聞こえる放送の声に俺は直ぐに仮眠室から支部長室に移動する。到着して扉を開けると、既に鬼瓦と孝義がいて荒八木の前に立っていた。


 荒八木はアルベルトが現れて扉を閉めた事を確認すると険しい顔つきで口を開く。


 「【CSO−45−JP禁足領域】通称【青梅おうめ村】にて特一級怪異【八尺】の封印が解かれた」

 「「!?」」

 「何ですって!?」


 荒八木の言葉にアルベルトも含めた三人の表情が引き締まり、驚愕を露わにする。だが、それも仕方ない事だった。


 【禁足領域】とは三国魔術同盟を構成する日本【神怪課】、アメリカ【対邪神組織:フェンリル】、イギリス【魔術結社:オーディンの眼】の三組織が定めた、文字通り脚を踏み入れる事が許されず、厳重に管理され規制された場所である。


 その大半は怪異の封印地や神格の招来の為の遺跡であり、一般人が誤って脚を踏み入れれば生きて帰る事は殆ど不可能な場所である。


 現在、日本国内で百ヶ所程指定されている中で四十五番目に指定された【禁足領域】である【青梅村】は既に廃村となり、地図上から抹消された場所で、都市伝説でも語られる怪異の一つである【八尺様】の封印地であった。


 また、危険度の目安である階級は準三級から三級、特三級と上がっていき、最上の特一級までで定められている。つまり数いる怪異の中で最も危険視されている怪異の一体という訳だ。


 「現在、自衛隊の【怪異対策班】が向かっているが既に連絡が取れない部隊もあると報告がある」

 「マジか…」

 「四方に設置されている道祖神はどうなっている?」

 「東の道祖神が既に破壊されている。しかも人為的にな」


 荒八木の言葉にアルベルトは思わず苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべる。最低でも大都市一つを壊滅させる様な怪異を何が目的で解き放ったか分からぬが、想像以上にかなり厄介な事が起きたと分かったからだ。


 「お前達には【八尺】の討滅、もしくは道祖神の修復までの足止めをしてもらう」

 「了解。修復作業員はどうなっている?」

 「既に現場に派遣されている。合流して【CSO−45−JP禁足領域】に侵入する様に」

 「分かりました。失礼します」


 退室した三人は【神怪課】の社用車である装甲車に紀矢子が運転席に、アルベルトは何時の間にか車内に侵入していたシュレディンガーを自身の影に潜ませてから助手席に座り、孝義を荷物と共に後部座席に乗せて【青梅村】を目指す。暫く走った所で目的地を示す書き込みのある地図を広げてアルベルトが口を開く。


 「【青梅村】か。確か元々は【大女(・・)村】だったか?」

 「あぁ、時が経って変化したらしい」


 アルベルトの問いに孝義が答える。アルベルトはカロリーの仲間と云う意味の商品名が付けられた某企業の棒状携行食品を一口齧ってペットボトルの水を飲んで乾いた口を湿らすと二人に尋ねる。


 「少なくとも村の名前になる程定着してるか。【八尺】についてどう思う?」

 「あくまで予想だが俺は神格の化身だと思ってる」

 「予想は一緒、か」


 アルベルトは残ったもう一口を口に入れるとそう呟く。正直、特一級指定される存在なんて大抵神格関連だからだ。


 やがて舗装された道路から土が剥き出しの森の中に入り、ガタガタと揺られながら細い道を進んでいく。


 「…此処までね」


 霧が立ち込め始めた傾斜を上って、遂に車での侵入が出来ない程鬱蒼とした場所に辿り着いた紀矢子は、装甲車を停車させて降りると孝義から後部座席に積んでいた大刀と、トランクに仕舞っていた折り畳み式の弓と全て金属で出来た矢を受け取る。その間に降りたアルベルトは整備されておらず、もはや獣道というべき【青梅村】への道へと視線を向ける。


 「二人とも、此れ」


 全員が降りて周囲を調べていると、何かに気づいてアルベルトと紀矢子を呼ぶ孝義の指を指す先に、直ぐ傍の大木の根元に転がる無惨にも人為的に鈍器で頭部が破壊された小さな苔生した道祖神があった。


 「酷い事をするわねぇ」

 「本当やなぁ」


 紀矢子の溢した言葉に同意する三人の物では無い其の声の方へと一斉に視線とそれぞれの得物を向ける。


 「おっと、ちょい待ちちょい待ち!ウチ等は仲間や!お宅の上司に合流する様に言われているやろ?」


 一斉に武器を向けられた声の主が素早く両手を上げて慌ててこちらを制止する言葉に、三人は武器を下ろす。其れにホッとした様子で小さく息を吐く。


 声の主は身長が150cmより少し高い位の下手をすれば中学生と見間違いそうな童顔の、榛色の肩甲骨辺りに迄伸ばした巫女服を着た大幣を持つ女性であり、背後に控える様に神職の服を着た三人の男性が立って聖柄の脇差に手を掛けて何時でも抜刀出来る様に構えていた。


 「嗚呼吃驚したわぁ。ウチも事前に声を掛けんかったのは悪い思うけどなぁ。


 まぁえぇ、自己紹介や。【神怪課 特殊部隊【地鎮祭】】所属 【第伍隊隊長】の【阿紫霊狐】や。後ろの彼等はまぁ、部下やな」

 「特殊部隊ってかなりの大物じゃないの…!」

 「失礼しました。たった今到着し、破壊された道祖神を見たばかりだったもので。


 私は【第十三支部】所属の【憑影】です。彼が【酒呑童子】で、彼が【双頭の猟犬】です。特殊部隊の方々と一緒とは心強いです。宜しくお願いします」

 「宜しゅう頼むわ。…其れにしても【双頭の猟犬】うたらあの(・・)……成る程なぁ」


 前に出て自分と、紀矢子とアルベルトの紹介をした孝義と笑みを浮かべて握手をした【阿紫霊狐】がアルベルトへと視線を向けて思わせぶりな言葉を呟き、一人で何かに納得する。


 「俺が何か?」

 「あぁ、何でもあらへんよ。無線のチャンネルはF―23や」

 「了解……『合わせました。どうですか?』」

 「問題無さそうやな。ほな行こうか。因みに少なくともウチは戦闘能力が皆無やから中も含めて誰か護衛は任せたで」

 「分かりました」


 【阿紫霊狐】はアルベルトの問いを笑ってはぐらかすと、序に戦えない事を告げて孝義が了承の言葉を返す。


 孝義を先頭にして【地鎮祭】を間に挟み殿をアルベルトと紀矢子が務めて、暫く注意しなければ見落としそうな道を進んでいると眼の前に開けた空間が霧の向こうにぼんやりと見えて来る。更に暫く進むと一陣の風が吹いて思わずアルベルト達は眼を閉じた。


 眼を開けると霧が晴れており、目の前には廃村となって長い時を経ている筈にも拘らず、荒れた様子の無い(・・・・・・・・)青々とした田畑と(・・・・・・・・)点在する民家があった(・・・・・・・・・・)。何処からともなく蝉の鳴き声が聞こえ、それらを認識した瞬間、思い出した様にだる様な暑さが襲い掛かり、全身から汗が滲み出す。


 「まるで夏ね。それに…」

 「廃村の筈なのに荒れた様子も無い。如何やら【領域】に入った様だな」


 鬼瓦の言葉を引き継いだアルベルトの言葉を聞きながら一行は注意して村の様子を観察する。


 風に吹かれて揺れる穂波と疎らに見える民家がある光景は高度経済成長期に失われた日本の田舎を象徴した様な光景で、何処か懐かしさを感じさせる。茹だる様な湿気を帯びた暑さと聞こえてくる蝉の声から、彼等はこの【領域】がかつての【青梅村】の夏頃であると判断した。


 「さて、ウチ等は【火冶かじ神社】を探しに行くで」

 「其れなら【憑影】が同行してちょうだい。私と【双頭の猟犬】は【怪異対策班】の捜索よ」

 「あぁ」


 鬼瓦の言葉にアルベルトは返事をして、【地鎮祭】と孝義と分かれて【青梅村】へと脚を踏み出した。

【酒呑童子】鬼瓦紀矢子

【憑影】孝義

双頭の猟犬(オルトロス)樋口圭吾(アルベルト)


【阿紫霊狐】稲荷葛葉

 京都の稲荷大社に関わりを持つ23歳女性。未熟ながらもセンスと潜在能力が高く隊長を務めている。実は容姿を地味に気にしている


 【阿紫霊狐】は齢百に満たない修行前の神狐の見習い以前の狐である。若き狐は未熟で力技ばかりだが、時間を掛けて経験を積めば神狐に至る事が出来るだろう



 解説

 

 CSO――【三国魔術同盟】が定めた呼称で、Cosmic(宇宙的)、Strange(怪異)、Object(物体)の略称


 元ネタがSCPなので、当然クラス分けがあり、基本クラスはSafe(安全)、Precaution(警戒)、Danger(危険)、Disaster(脅威)、Catastrophe(破滅的脅威)、Period(終焉確定存在)の六つである


 尚、人型オブジェクトは存在せず、Danger以上認定で無力化(Neutralized)対象となる。序にThaumielは無い


 Safe:危険性皆無。SCPでもSafe。日本の等級指定は特三級以下。


 Precaution:SCPならEuclid。脅威度が低い、又は少人数、特別な設備又は知識が不要な魔導具アーティファクトや神話生物等が分類される。等級指定は二級迄。


 Danger:SCPならEuclid。対策無しの場合、都市規模で被害を齎し、ある程度の人員や幾らかの専門知識や設備が必要な魔導具や存在が対象。等級指定は特二級。


 Disaster:SCPならKeter。国家規模の脅威であり、確認次第無力化する。等級指定は準一級。


 Catastrophe:SCPならKeter。複数の国家に甚大な被害を齎す程の脅威であり、同盟軍で討滅するべき存在。主に下級の神格。等級指定は一級。


 Period:SCPならApollyon又はTiamat。最低地球上全てが壊滅する程の脅威。確認され次第、其の世界線を放棄する前提の計画が緊急で立てられる。等級指定は特一級。

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