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32.宿

土日投稿が出来なかったので今日中にこれともう一つ投稿します

…ストックがかなり減った

 アレックスの足を治した後、俺は地下修練場でこの後の準備を整えていた。先程まで着ていた服や靴はこの体では小さくなって入らないので荷物を入れた袋に仕舞い、入れ替わりに着たかつての仕事着の着心地を確かめる


 ピッタリとした伸縮性のある長袖のシャツとポケットの多いズボンは動きを阻害せずに通気性が良い。又、昔の軍服に似た外套はゆったりとした袖の中にサバイバルナイフのホルスターがあり、裏地には様々な道具を仕込める構造になっている。更に防弾、防刃、対衝撃、耐火、対薬物等といったかなり高性能な代物であった


 因みに靴はスニーカー型の安全靴である。使用素材は上と同じだ


 俺は腰まで伸びた銀髪を新しい革紐で纏めて縛ると、ナイフで前髪を切り揃えた。切った前髪は何時か使うので小袋に保存すると袋を担いだ


 え?何時の間にそんな物を用意したのかって?中にシュレディンガーがいて《倉庫》から出してもらったんだよ。因みに着替え用にもう一組用意した


 治ったばかりでまだ上手く歩けずに杖をつくアレックスについていって一階に出ると、視線が集まる。そのほとんどは困惑に満ちた物だったが、入った人物と出てきた人物の見た目が違えば当然だろう。気にせずギルドから出ると、適当に宿を探しに歩きだす


 暫く、屋台で肉まん擬きを買い食いしたり、武器屋や道具屋を冷やかしたりしていると、木造二階建ての【安らぎの木漏れ日亭】と書かれた看板を掲げる宿を見つけた。ギルドや関所との距離も丁度いいし、此処にしよう


 木製の扉を押し開けるとチリンチリンとベルの音が鳴った。中は部屋の左側に丸い机と四脚の椅子が4、5組置かれており、床は良く掃除されていた。酒らしきボトルが背後の壁に並べられたカウンターには30代位の女性がいた。ベルの音に気付いて手元のボードから視線を上げて俺を見ると笑みを浮かべた


 「いらっしゃい。酒場はまだだけど泊まりかい?」

 「泊まりだ」

 「あいよ。一泊560リネだよ。食事は追加で一食80リネ、体を流す時のタオルと桶は50リネで裏の井戸だよ」

 「一週間だ。食事は喰う時に払う」


 そう言って丁度支払うと、カウンターの下から木製のタグの付いた鍵を取り出してカウンターに置く。タグに6と彫られた鍵を受け取ると右側にある階段を上った。U字の階段を上がり、廊下に出ると左右に五つずつ番号が掛かれた扉が並んでいた


 俺は右側の6と彫られた扉に鍵を刺して開けると、中は程々に広く、窓側に簡素なベッドと机と椅子が置かれていた。俺はベッドに腰掛けてダインスレイフを横に立て掛けると袋の口を開く。中からシュレディンガーが出ると大きく伸びをして欠伸をした


 「やっと出られたか。もう少し早く出してくれ」

 「悪かったよ。《倉庫》から一つ好きなの喰って良いぞ」

 「カ〇メフルーツ貰うぞ」

 「チッ、それ数残り少ないんだぞ?まぁ、良いや零すなよ」

 「俺ぁガキかよ」


 シュレディンガーが背中から伸ばした触手で、空間に開いた穴から某オレンジの箱の携帯食料を取り出すともう一本伸ばした触手を器用に使って箱と袋を開けると中身を取り出して咀嚼する。それと同時に触手で持っていた空き箱と袋が黒い炎の様な物に包まれたかと思うと消えて無くなった


 俺は外套の左胸辺りにある内ポケットからスマホを取り出すと起動する。一瞬のバイブと共に起動画面が現れると、それがパッと切り替わる。そこには幾つかのアプリのアイコンを背景に、黒い装丁の分厚い本を持った黒いノースリーブのワンピースを着た腰まで伸びた射干玉の様な黒髪と、対照的に白磁の様な白肌の紅眼の10歳位の少女が立っていた


 落ち着いた雰囲気の少女は画面の向こうで眼を見開くと、嬉しそうに笑みを浮かべる


 『お久し振りですね。マスター』

 「あぁ、久し振りだな。クロ」


 俺も少女―クロの笑みと掛けられた言葉に懐かしさと嬉しさで笑みが零れる。クロは覗き込む様にこちらに顔を近付けると、不思議そうな顔で尋ねる


 『あれ?マスター、整形しましたか?』

 「実は一回死んでからこの世界で転生してな。だから今まで会えなかったんだ。済まなかったな」

 『いえ、気にしないでください。マスターがお元気そうで何よりです。所でご用件は何ですか?』

 「お前の顔を見る事かな?」

 『あら、それは嬉しいですね。それで仕事は何ですか?』

 「相変わらずワーカホリックだな。本当にそれだけだ」

 『あ、そうですか。……えへへ』


 俺の言葉にクロは頬を仄かに赤く染めて恥ずかしそうに笑った。それと同時に隣のダインスレイフから言い知れぬ威圧的な気配を感じて背筋がゾクッとした。何だろう?風邪かな?


 感じる悪寒を気のせいと断じてクロに話しかける


 「じゃあ、こんな姿に変わったけど宜しくな」

 『宜しくお願いしますね、マスター』


 俺はスマホを仕舞うと、ダインスレイフを腰に下げて荷物を背負って宿を出た。ダインスレイフから放たれる気配に気付かぬ振りをして

解説

この世界の宿やは一階部分が酒場や食堂である事が多い

体を流す場合は井戸や魔法で水を出して行水する。風呂は基本無い

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