30.要塞都市【エルガド】
捻挫してしまいましたよ
一晩中歩いて夜明け頃に目的地である要塞都市【エルガド】に到着した
【エルガド】は要塞都市の名の通り、王都に負けない程に堅牢な造りの高さ40mはある外砦と50m程の内壁で囲まれており、その間に深い堀がある防衛型の都市である。更にそれぞれの壁の素材の一つに魔抗石という魔力抵抗の高い鉱石を使用している為、魔法に対しても強い造りになっている
外砦の内部は衛兵の詰め所や武器庫、見張り櫓等があり、【ギルム・ヘルムの大森林】からの魔物の氾濫や他国からの侵攻に常時備えている。又、その様な危険に備えている為、此処の軍は練度や統率力が王都に引けを取らない程高い
序に言えば此処の住民は下手な戦士よりも強い。具体的に言うと此処で野菜や肉を売っている商人はランクD位の実力がある。ヤバいね
更に闘技場もあり、月に一回は【決闘戦】と呼ばれる闘技大会が開かれるらしい。住民は基本的に参加者で観客は基本的に観光客らしい。凄いね。多分、どこぞの貴族の騎士達は初戦敗退する
そんな戦士の街【エルガド】に近付いていくと、木を鉄で補強した扉の閉じられた門の前に並ぶ馬車の列が見えてきた。並んで暫くすると、時刻を知らせる鐘の音と共に門が開かれ、衛兵が現れて検問を始めた。少しずつ列が進み俺の番になると衛兵は不思議そうな表情で辺りを見回す
「次の者!…あれ?」
「どうしました?」
「君、親は何処だい?」
「私一人ですよ」
「えっ?」
俺の言葉に不思議そうな表情する衛兵の男にロテアウルのギルドカードを見せる。すると驚いた表情を浮かべたかと思うと、俺に向かって頭を下げる
「冒険者でしたか。これは失礼しました。では荷物を調べさせてもらいますよ」
衛兵に荷物の袋を差し出すと、衛兵は中身を取り出して怪しい物が無いか確認する。そして確認が終わり荷物が返還されると【エルガド】へと足を踏み入れた
堀に架けられた橋を渡り、街に入ると丁度朝市で賑わっていた。また、近くにある歓楽街からの帰りと思われるフラフラと酔っ払った男もチラホラと確認出来た。俺は足早に呼び込みをする店の一つに近寄る
「新鮮なオークに角兎の肉が今なら二割引きだよ!さぁ、買った買った!」
「おっちゃん、それぞれ二つ貰えるか?」
「お、坊主。お使いか?偉いな!」
おっちゃんの言葉に俺は思わず苦笑いを浮かべると、子供である事を否定する。おっちゃんは肉を防腐効果のある薬草で包みながらカラカラと笑うと、包まれた肉を差し出す
「残念ながら十歳は超えているよ」
「おっと、それは失礼したな。はいよ、それぞれ二つで46リネだ」
「あいよ。丁度だ」
「毎度あり!またよろしくな!」
おっちゃんに片手を上げて去ると、適当な屋台で串焼きや総菜の入った肉まんの様な物を買って、この街の冒険者ギルドを探す。人混みを抜けていくと、見覚えのある冒険者ギルドの看板がぶら下がった、三階建ての要所を鉄で補強した木製の建物を見つけた。所々に修繕の跡が見られる建物に入ると、中は既にいた冒険者達で騒がしい
俺が中に入った事で視線が俺に集中する。王都でやらかした事が此処まで届いてないのか、将又こんな子供がそんな事をしたとは思わないのか初めて冒険者ギルドに来た時の様な視線が多い。それらを無視してカウンターに向かい、偶々空いていた受付の女性に声を掛ける
「ちょっといいか?」
「はい、どうしましたか?」
「こういう者だがギルマスを呼んで貰えるか?」
俺が偽装用のBランクのギルドカードをカウンターに置いて差し出すと女性は驚いた表情で俺とギルドカードを何度か交互に見る。そして混乱が抜けきれない様子で背後の扉を開けて奥へと消えていった
「えっ!?あ、はい。わかりました。少しお待ちください」
待っている間にふと思う。能力使って体をもう少し成長させようかな?と。不自然だから今までやっていなかったが、色々活動する上で面倒だから近い内にやるべきかもしれない。…その後の説明も面倒そうだが
「お待たせしました。執務室に案内するのでついて来てください」
「分かった」
そんな事を考えていると先程の女性が戻ってきた。何やら緊張している様子の女性についていき、三階にある執務室に移動して女性が扉を叩くと図太い低い声で「入れ」と返ってきた。女性と共に中に入ると、やたらとガタイの良い身長2m以上ある頬に大きな傷を持つ男が執務机に組んだ手に顎を乗せてこちらを見ていた。執務机の横には杖らしき物が立て掛けられている
女性が退室した後に俺は自己紹介をした
「どうも、初めまして。私はBランクの冒険者を務めておりますロテアウルと申します」
「宜しく、俺はアレックスだ。話は王都のギルマスから聞いている。遺跡の調査だったな」
「えぇ、報告書とか必要ですかね?」
「いや、調査後に此処で説明してくれれば構わない。何時出る気だ?」
「今日明日には向かおうかと」
「所でギルネスの内偵の件はどうなったんだ?」
「それがこの見た目の所為で断られましてね。しょうがないので道中で馬車を乗り継いできました。一応、王都のギルドには連絡してあった筈ですよ?」
この言葉に嘘はない。ギルネス達の馬車から離れた後に《偵鳥》に手紙を結び付けて王都のギルドまで飛ばしていた。魔術による時空操作で今頃は届いているだろう
「只の確認だ。それが確認出来れば構わない。もう部屋を出て良いぞ」
「そうですか。所でその杖は何ですか?」
「あぁ、昔へまをして脚をやられてな。それ以来、移動に使っているんだ」
アレックスの言葉に俺はニコリと笑うと尋ねる
「そうですか…。所で足、治したいですか?」
最近、忙しいのでこちらは兎も角【教団殺し】の編集、投稿が遅れそうです




