表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/156

21.交渉

 翌日、冒険者ギルドに入ると一斉に視線が集まった。どれも畏怖と敬意等が混じったものであり、恐らく昨日の模擬戦を見た者が多いのだろう事を窺わせた


 俺は構わず中に歩いていくと、登録する時に俺を担当したおばちゃんが俺を呼んだ。俺の正体を知った為か敬語だ


 「アルバト様でしたよね?ギルドマスターがお呼びです。ついて来てもらって構いませんか?」

 「あぁ、早く行こう」


 俺はおばちゃんについていき、階段で三階まで上がると正面にある廊下の最奥の部屋の前まで行く。おばちゃんが木製の扉をノックすると「どうぞ」っという若さを感じさせる男性の声が返ってきた


 おばちゃんが扉を開けると、中には応接用のソファーと机があり、その奥に執務用と思われる書類の束が積まれた装飾の施された木製の机の向こうに緑がかった金髪、碧眼の20歳後半位に見える北欧系の男がいた。柔和で落ち着いた雰囲気の整った顔は元の世界のモデルが霞む程であり、長めの髪の合間に見える笹の葉に似た耳が、人間でない事を証明していた


 男は立ち上がると、俺の前まで歩いてきた。身長は190cm程だろうか?細身でスタイルが良い


 「さて、初めましてですね。私は冒険者ギルド【ヴァルト王国】本部のギルドマスターをしているルシウス・エルガーレという者です。宜しくお願いします」

 「アルベルト・レイガードだ。一応、ここには一冒険者のアルバトとして登録しているから畏まる必要はないよ。宜しく頼む」

 「そうかい?ではそうさせてもらうよ」

 「只、少し二人で話がしたいから他の人を出してもらっても構わないだろうか?」

 「分かった。そうしよう。済まないが出てくれ」

 「分かりました」


 そう言って俺を案内したおばちゃんが一礼して退室する。それを横目で見届けた後、ルシウスに視線を戻した


 「さて、話とは何だい?」

 「取り敢えず、座って話そう。ソファーに座っても構わないか?」

 「構わないよ。そうだね。そうしよう」


 俺はルシウスが向かいに座るのを確認してから座ると話を切り出した


 「さて、単刀直入に言おう。取引をしよう」

 「取引?」

 「確か冒険者ギルドは国に属さない独立した組織で合ってるよね?」

 「あぁ、それぞれの国の法は守る必要があるが独立した権力を持つ組織だよ。それが何だい?」

 「簡単に言うと後ろ盾になって貰いたい」

 「それは何故だい?」

 「昨日もそうだがどうも俺は面倒事を引き寄せる体質らしい。秘密もあるから頼れる後ろ盾が欲しいんだよ」

 「成程ね。それでこちらの利は何だい?」

 「所で俺はランクで言うとどの程度なんだ?」

 「低く見積もってもG、普通に考えてSだろうね」

 「ならば優先的に依頼を引き受けよう。何かあれば協力する」

 「とても利とは言えないね。当たり前の事だ」

 「確かにな。だが、そうすれば首輪を付けられるかもしれないぞ?」

 「冗談だろ?つなぐ鎖を伝って食い荒らされるのが落ちだ」


 俺のお道化た言葉にルシウスは心底冗談じゃないと言った顔で答える。俺はそれを思わず笑うと続ける


 「まぁ、良い。出来れば良いな位の感覚だったからね」

 「そうかい、では私の話に移ろう。先程も言ったが君はかなり低く見積もってもGの実力がある。よって君をGランクに昇格させるよ。これにより緊急依頼の強制参加の義務が生じるよ」

 「えっ?嫌だが?」


 俺の予想外の言葉にルシウスは呆けた声を出す。俺は構わず続きを口にした


 「は?」

 「それならば今日限りで辞めさせてもらおう。世話に…なってはいないな」


 俺がギルドカードを机の上に置いてそう言うと、ルシウスは混乱した様子で問う


 「ちょ、ちょっと待って!?何を言っているんだい!?」

 「俺は自由がモットーでな。義務に縛られるなら辞めさせてもらう」

 「ギルドからの恩恵がなくなるんだよ!?」

 「一切問題無い。後、こちらに向かって竜が来ているみたいだぞ?」

 「なんだって!?」


 俺の言葉にルシウスは驚いた声を出す。竜は亜竜に分類されるワイバーン種やリザード種でも最低Bランクに指定されている。また、Bランク以上の冒険者は王都の本部であってもCランク以下の1/10程しかいない。故にそういった存在が現れた時、迎撃する為に厳戒態勢がとられ、冒険者には緊急依頼が発令されるのだ


 「本当かい?」

 「嘘じゃないさ。まだ王都の外、【エルン・メルスの森】の方向だな。体長3m弱、赤い体色、翼あり、レッドドラゴンか」


 その時、街中にカーンカーンカーンと警鐘が鳴らされた。同時に部屋に慌てた様子の若い受付らしき服を来た女性が顔を青くして入って来た


 「マスター!レッドドラゴンが現れました!」

 「分かった。今すぐ緊急依頼を発令する」

 「分かりました!緊急依頼を発令します!」

 「なっ?嘘じゃないだろ?」

 「嘘であって欲しかったよ」

 「じゃあ行って来るよ。邪魔したな」

 「何処に行く気だ?」

 「只の狩りさ。後、そこで聞き耳を立てている彼女にもう少し気配を消す様に伝えてくれ」


 俺はそう言うと右側にある窓に足を掛けて外に飛び出した

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 アルベルトが出ていった後、扉が開かれて、ルシウスの指示で退室後から隣の部屋で聞き耳を立てていたアマルが入室する


 「気付かれてたね」

 「そうだね。昔、Sランク冒険者だった頃、【暗鬼】と呼ばれた貴女に気付くとはとんでもない感知能力だ。かつての相棒だった僕でも気付かない事があるのに」

 「長く組んでたんだからいい加減気付いて欲しいけどね。取り敢えず言える事はあの子は化け物って事だね。本気の気配遮断や魔道具による遮断を容易く見抜く何て国家の諜報部か暗殺者ギルドの一握りの幹部位の物だよ」

 「加えて戦闘能力も化け物か。本当に人間なのかねぇ?」

 「さぁね。取り敢えずレッドドラゴンの対処を始めよう」


 そう言ってルシウスは席を立ち、アマルと共に部屋を出る。前を歩くルシウスにアマルは冗談めかして話し掛ける


 「今頃討伐されてたりしてね」

 「どうだろうね」

解説

エルフ

長命種族の一つ。混血のハーフエルフは150、エルフは300、上位種のハイエルフは1000以上の寿命を持つ

魔法と弓や短剣を得意とし、視力も高い事から優秀な斥候として有名

芸術を得意とするが、鍛冶等の加工作業を苦手とする

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ