0.男、神を殺し転生す
台風ヤバいです
半端無かったです
そして、今話が本当の始まりです
R15表現ありです
何も無い白い空間の中で左腕が根本から無い隻腕の鋭い目付きをした黒目黒髪の20歳後半の男―樋口圭吾は立っていた
「樋口圭吾さん」
涼やかな高い声に振り返るとそこには白い法衣の様な物を纏った神々しい雰囲気のモデルの様な体形の金髪の女がいた
「ここは何処だ」
「ここは死んだ魂が転生する為に私が造った場所です」
「そうか」
樋口は女の言葉に素っ気無く返すと女は不思議そうに問う
「取り乱したり疑わないんですね」
「まぁな。それでどうやって死んだんだ?」
「聞きたいですか?」
「別に」
女が妙に威圧感が籠められた問いに、樋口はどうでも良さそうに返す
「それで俺はどうなるんだ?」
「貴方はよくある剣と魔法の世界に転生します。前世の記憶は残るので安心してください」
「そうか。所で何故俺なんだ?」
「それは――」
「――それは転生先の世界を特異点として乱し、何等かの不幸な事故によって生じる俺の負の感情をばら撒く為、だろ?」
「なっ!?」
女が適当に作った尤もらしい偽りの理由を答えようとした所で、樋口に被せる様に女が内心で目論んでいた事を言い当てられ、図星を突かれて思わず取り繕った演技が僅かに剥がれて其の隙間から驚愕の声が漏れる。樋口はそれに苦笑すると女に問う
「カマをかけただけだったが其の様子だと当たりらしい
俺をこれまであんたが出会った都合の良い駒だと思ったか?残念だったな。こっちもただで殺される気はないんだわ」
「何故記憶が!?」
「そんだけの慌て様だと適当に選んだのか?駄目だな~、使う手駒はちゃんと自分の眼で見て選ばないと」
樋口は出来の悪い生徒に教える様に見下した眼で女を見据え、軽薄に嗤う口から呆れた声を出す。女の悔し気な顔を見ながら樋口は名乗る
「俺は【神怪課】【第十三支部】所属、【刻界の魔人】或いは【双頭の猟犬】樋口圭吾だ。さて、愚かな女、死ぬ覚悟はいいか?」
そう問うた樋口の気配が急速に膨れ上がり、空間が軋んでいると錯覚する程の重圧で満たされる。黒かった瞳は虹色に赫灼と輝き、口元は裂け赤い三日月の様な笑みが浮かんでいた。知らず知らずのうちに額に冷や汗を流す女は雰囲気に呑まれて気圧された事を認めたくないのか神々しい化けの皮を捨て、不良じみた本性を現し声を荒らげて吼える
「だからどうした!お前は黙って俺の糧になればいいんだよぉ!!」
「おいおい、仮面が外れているぞ?所で遺言はそれでいいか?」
「黙れぇええええええええええええええええええええ!!」
「《招来・銀霊球》」
樋口が詠唱も無く魔術名を唱えると女の頭上に膨大な魔力が渦巻き、直径5m程の円状に女の頭上の空間が軋み歪んで刻々と捻じれ、直ぐに光の無い漆黒の穴に変わる。その中からゆっくりと死を予感させる程の猛烈な神威と呼ぶべき威圧感を放つ、表面を油面の様な虹色の膜が覆う禍々しい銀に輝く球体が現れた。それを見た女は信じられないという表情を浮かべ、早口に樋口に問い掛ける
「それは、真逆!!真逆ッ!!?有り得ないッ!!何故貴様がアレを――!?」
「さぁな、死ね」
「や、止め―っ!」
樋口は心底どうでも良さそうに返すと冷酷に死を告げる。それと同時に既に半分程出ていた銀球が女に向かって急速に落下した。女は悲鳴の様な声を上げて何か喚いていたが、樋口にももう止められないし止める気も無い。銀球は女と接触するとそのまま呑み込み地面に当たると崩壊して床に広がる。銀の液体になったそれが急速に蒸発する様に消えると、其処には衣服どころか全身の皮膚が全て溶け落ち、漏れ出た体液が滲み出る中の筋肉と脂肪、そして所々に表面が溶解して黄色く変色した骨が露出して絶命した女の死体だけが残されていた
「一応、あんたの力を貰っていくぞ」
樋口は手刀で女の変わり果てた豊満だった形を残す胸の間を貫くと心臓を握り締め、ぞんざいに引き抜くと血の滴る心臓をそのまま食い千切った。心臓を喰い終えると万一の復活を遅らせる為、女の全身を適当に千切り、骨を砕いた。樋口は血で汚れた口を腕で拭うと眼を閉じ、再び開くと転生の用意をする
「転生システムに干渉開始。言語適応、能力の設定開始。イスの精神転移法による精神完全保護を追加。代償・この空間と***の残骸。etc…。―完了、転生プログラム起動」
樋口が最後の台詞を呟くと体が輝き出し、白い空間に黒い罅が辺りに走る。バキィイイイイイイン!!という音が鳴り響き空間が崩壊した時には既に樋口の姿は無かった
人物紹介1
樋口圭吾 【神話・怪異対策課】所属の元・探索者
POW999、SAN0でクトゥルフ神話技能が99%あるロスト後の元探索者
現在も複数の狂気を発症している
とある神格と契約をしている
【神話・怪異対策課】の解説は別の機会にします




