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16.知識

体調管理が難しい

皆さんもお気を付けて

 俺は訓練場を後にしてジークフリートと共に王宮図書室に入った。中は三階建ての木造の内装で暖色系の灯りで照らされて広く、学校の体育館二つ分以上ありそうな空間に所狭しと梯子の掛かった無数の本棚が整然と縦横に並び立っていた


 「凄い数ですね」

 「王国一の書籍保有数を誇っていますからね。どうぞご自由にお読みください。但し奥の扉の向こうにある禁書庫にはお入りにならないでくださいね。何かあればそこにいる司書の者にお申し付けください」

 「分かりました」


 感嘆した様にゆっくりと見回す俺に出入口脇のカウンターにいる茶色のローブを着た30代の男性を指してそう言うとジークフリートは一礼して部屋から出る。俺はそれを見届けてから脚を踏み出して近くの本を一冊引き抜く


 褐色の革の装丁に金字で【聖戦神録】と書かれた分厚いそれは要約すると、嘗て神々がこの世界に眷属である人間を創り出し、最後に神々の言葉を伝えて彼ら導く神子を創ったが、其れを離反して邪神に転じた神と蛇頭の眷属が奪い逃亡した


 他の神々とその眷属たるこの世界の住民、そして異界から呼び出した勇者達が邪神と其の眷属を探し出して争い、追い詰めた末に神子を取り返した後に封印したらしい。詳しい封印場所は分からないがこれ以降、最高神である女神を中心に信仰しているそうだ


 「あれがそうだとしたら管理が杜撰過ぎるだろ」


 もし、この世界から漏れ出てきたなら問題がない訳ではないが状況によっては仕方ないだろう。術式の劣化や図式の欠損等が無い訳ではないからだ。しかし、封印の方法が幽閉、正確に言うと他の世界への不法投棄だった場合、その世界にろくでもない影響を齎す為、許される行為では決してない


 「だが【蛇頭】か。ならアレとは無関係の可能性が高いか。なら、此の封印されたとされる【邪神】は何者だ?


 どうも【女神】とやらは【魔人】、少なくとも元【人間】の筈。ならば其の【邪神】も同じ【魔人】である筈だ


 【蛇頭の眷属】は恐らく【蛇人間】。だが、当の【邪神】の描写から考えて【イグ】では無く【能力持ちの人間】であるとほぼ断言出来る。なら、彼らは協力関係だったって事なのか?」


 新たに生まれた謎について考えながら【聖戦神録】を本棚に戻すと奥に進む。禁書庫は気になるがまだいいだろうと考えて入るをやめた。必要なら忍び込めば良いし


 それから魔法や錬金術、伝承を調べた。魔法は大したものは無かったが伝承や図鑑の内容は使えそうなものが幾つかあった。あいつ(・・・)に見つかる前に研究や調査の報告が出来る様にしなくては


 図書室の窓際にある机に置いた分厚い本を閉じると顔を上げて目頭を指で揉む。どれ程ここに居たか分からないが体の凝り具合からある程度の時間は経っているだろう。俺は伸びをすると机の上に積んでいた15、6冊の本を抱えて本棚に戻した


 戻し終えてそろそろ出るかと思い出入口の前まで行くと司書の男性がカウンターから出て俺を呼び止めた


 「何処にお行きになられるのでしょうか?」

 「お父様の下に戻ろうかと思いまして」

 「でしたらご案内致しましょう」


 男性の後について行き、俺は最初にいた部屋の前まで戻って来た。司書の男性は一礼して図書室に戻るのを見送った後、俺が部屋に入るとアーサー王やガリウス、文官の他に何故か王女の姿があった。顔が赤いが風邪だろうか?


 「王女殿下、何故ここに?」

 「おぉ、アルベルト、戻ったか。座りなさい。丁度いい。我が娘のセレスティアが君に話しがあるらしい。さぁ、セレスティア、自分の口から言いなさい」


 ガリウスの隣に座った俺に王女は真っ赤な顔で視線を辺りに彷徨わせながら逡巡する様な仕草をする。何度か俺をチラチラと見た後、王女は一度深呼吸をすると、俺を真っすぐ見据えてその言葉を口にした


 「あ、アルベルト。わ、私と結婚をしてくださいっ!」

 「……はい?」


 …今、彼女はなんと言ったんだろう?ケッコン?けっこん、…血痕?


 「…すみません。もう一度お願いします」

 「で、ですからっ!結婚してください!」


 …聞き間違いじゃなかったか


 「いやいや!何故、私何ですか!?」

 「貴方のその力に惚れました!」

 「いやいや!陛下はいいんですか!?お父様も!?」

 「構わんぞ?君がいない間に詳しい話を聞いたが実力もあり、中々聡明そうだからな。辺境伯だから身分の問題もないしな。何より娘の幸せが一番だ」

 「一向に構わん!」


 クソ親父、いい笑顔でサムズアップなんてしてんじゃねぇ!


 「もしかして嫌ですか?」

 「そうじゃありません。只、互いの事を知らな過ぎると思います」


 目を潤ませてそう問い掛けるセレスティアに俺は慌ててそう返す。流石に会ったばかりだからな~


 「それでしたら王都にいる間、会いに行っても宜しいでしょうか?」

 「それでしたら…」


 そう言った所で俺はハッとしてアーサー王に尋ねる


 「もし結婚した場合、俺の立場ってどうなりますか?」

 「どうとは?」

 「次期国王候補とか面倒は御免ですよ」

 「ふむ、権力は望まないか」

 「自由気ままに生きたいもので」


 アーサー王の問いに肩を竦めて笑って返した俺に文官とセレスティアは驚いた表情を浮かべる。ガリウスは目を軽く見開きながらも何処か納得した表情を浮かべ、アーサー王は満足そうに笑って頷いていた


 「という事は冒険者にでもなる気か?」

 「えぇ、スタンピードに突っ込む様な戦闘狂には性に合っていますしね」

 「そうか。まぁ、多分大丈夫だろう。取り敢えず婚約としておこう」

 「分かりました」


 俺がそう答えるとアーサー王は満足気に頷き、セレスティアは嬉しそうに微笑む。俺は余りに美しいその笑顔にドキリとした


 「それでは失礼いたします」

 「明日の謁見で待っているぞ」

 「セレスティア様、また明日会いましょう」

 「はい。それとこれからはセレスって呼んでくださいね?敬語も無くていいですよ」

 「分かった。じゃあね」


 俺はそう言ってガリウスと共に兵士の後について行って停めてあった馬車に乗って王城を出た。王都にある別宅に着くまで俺をニヤニヤと見るガリウスがウザくて仕方なかった

解説

魔物と魔石

魔物とは体内に魔石と呼ばれる結晶体を持つ生物の総称である

魔石を持たない生物は基本的に動物と呼ばれる


魔石とは魔物の体液と魔力が反応結合を起こして発生する。主に心臓辺りに出来る事が多い

保有魔力量が多い程魔石の大きさは増し、魔力の純度が高い程透明度が高く価値がある

魔石内の魔力が減少すると、魔石の大きさも縮小し、不純物が濃縮される事で透明度が減少する

魔石に魔力を流す事は出来るが貯蓄する事は出来ない

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