14.訓練そして騎士団長戦
最近、一気に冷えて辛いです
ジークフリートの後をついて行き、城内にある王宮騎士団の訓練場にやって来た。訓練場は芝生が無く、土がむき出しになっただけの場所で小学校の校庭位の広さがある
訓練場では訓練用の直剣で素振りをする者や槍を型通りに突きや薙ぎ払いをする者等様々だったが、ジークフリートが来た事に気が付くと訓練を止めてジークフリートと俺の前に綺麗に並んだ
「お待ちしておりました!ジークフリート様、その子供は一体?」
「この子はレイガード辺境伯爵のご子息でアルベルト様だ。俺達の訓練を見たいらしい」
「どうも。アルベルト・レイガードと申します。王宮騎士団の皆さまがどの様な訓練をするのか興味があって我が儘を言ってしまいました。お邪魔にならない様に見ておりますので気にせず何時も通りになさってください」
「という訳だ。では訓練を始めるぞ!」
「「「はっ!!」」」
訓練は剣や槍の型稽古に加え、一対一やジークフリート対複数人による模擬戦が主だった。流石、王宮騎士団と言うべきか一兵卒であっても相当練度が高く、動きに無駄が見られず力強く鋭い斬撃や突きを放っていた。それを複数人相手にして簡単に捌いているジークフリートは正しく歴戦の戦士と言えるだろう
正直言って戦いたくてうずうずする。ジークフリートは《練気術》を使えば一対一で良い勝負が出来そうだ
そんな事を思って眺めていると闘気が漏れていたのか手が空いた所でジークフリートが振り返って俺に近付いて来ると声を掛ける
「アルベルト様、参加しますか?」
「良いんですか?」
「魔物の氾濫で押し寄せる数多くの魔物を正面から相手にして生き残る様な方と戦えるなんて私としても貴重な経験でして」
「そうですか。ではお言葉に甘えて胸を借りるつもりでお相手していただきますよ」
「ははは、それはこちらの台詞ですよ」
俺とジークフリートが訓練場の中央に移動すると、打ち合っていた他の騎士団の皆さんが外側に囲む様に移動する。座り込んだり興味深そうに見ている事から観戦する気満々の様である
おいこら、訓練はどうした。王宮騎士団がそんなで良いのかよ。俺は呆れた眼でジークフリートを見る
「何やら観客に囲まれた様で」
「その様ですね。全く。アルベルト様、武器は?」
「ナイフと短槍ですね。防具は革鎧でお願いします」
「おい!誰か短槍とナイフ、それと革鎧を持って来い!」
少しして騎士団の一人が訓練用の短槍とナイフ、革鎧を持ってくる。俺はそれを受け取ると革鎧を着て右手でバトンの様に短槍を数回回し、感触を見ると柄の中程を持って、左手にナイフを逆手に持って構える
「始めますか?」
「あぁ、誰か審判を頼む」
「ではジークフリート様対アルベルト様の試合始め!」
開始の合図と同時に魔力を纏って距離を詰めると短槍で小さく突きを放つとジークフリートは左手に持つ直剣で穂先を逸らし、右手のバックラーで殴りつける。危なっ!そういう使い方かよ!
俺は半身になり、更にナイフの腹で受け流して後ろに下がって避けると引き戻した槍を脇腹目掛けて突き出すと、ジークフリートは一歩下がって避けて直剣を真上から振り下ろす。俺は右脚を軸に半身になると同時に後ろに下がると、こちらに向けられた背中に突きを放とうとする
「ふっ!」
「なっ!?」
ジークフリートがその場で前に跳ぶ様に前転する事で放った突きは空を切る
俺は槍を引き戻すと一旦下がって距離を取る。まさか可動域の少ない金属鎧を着て前転をして避けるとは思わなかった。ジークフリートは立ち上がると俺に向き直り構える
「ふぅ、危ない危ない」
「まさか確認もせず前転をして避けるとは流石ですね」
「そちらこそ中々当てられませんね。その若さでその動きとは流石魔物の氾濫を乗り越えた御方だ」
「楽しかったですがそろそろ終わらせましょう」
そう言って俺はジークフリートに【紫電閃突】で一気に接近すると突きを放つ。一瞬で目の前に移動した事にジークフリートが驚いた表情を浮かべて直剣の腹で穂先を右に逸らすと同時に右脚を踏み締めて魔力を圧縮して纏った回し蹴りを放つ
「ふっ!!」
受け止めたジークフリートの籠手が余りの威力に拉げると直ぐに砕け散る
「何だと!?」
ジークフリートは横に跳んで衝撃を弱める。蹴り抜いた脚を下ろしたアルベルトの姿がジークフリートの視界から消える
「なっ!?」
「無形体術【戦舞連獄】」
ジークフリートが背後から聞こえた声に慌てて体を捻って振り返るが遅く、跳んで空中にいた為に其の攻撃を避ける事がなかった
短槍による刺突が半身になってこちらに向いた脇腹を穿つ。槍を僅かに引き、横薙ぎによる殴打に合わせて逆手に持つナイフの斬り付けと左足による蹴りの追撃がジークフリートを襲う
「ぐおぉっ!?」
一連の攻撃で吹き飛ばされたジークフリートは両足が地面につくと体を制止する。衝撃で下げていた顔を上げると目の前に笑みを浮かべるアルベルトの姿があった
「くっ!」
俺の先程より早く鋭い短槍の刺突をジークフリートは直剣で受け流そうとする。槍と剣がぶつかった瞬間、ガキーーンッ!!と甲高い音を立てて槍と直剣が互いに穂先と刀身の中程が砕けて圧し折れる
「何だと!?」
ジークフリートは何度目か分からない驚きの声を上げると再び目の前からアルベルトが消える。次の瞬間、頸への強い衝撃を受けてジークフリートは意識を失った
解説
王宮内の組織
王宮騎士団、王宮魔法師団、近衛師団の三つがある。現在、王宮魔法師団と近衛師団の出番の予定は無い




