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13.王都へ

マレウス買いました。めっちゃ高かったです

  一ヶ月と数日後、漸く動ける様になった俺は現在、ガリウスとエミリー、レイチェル、レイラと共に馬車に揺られて王都【ガルグルム】に来ていた。この前にあったスタンピードについて話しがあるらしい。俺も参加して貢献した事から国王との謁見に参加する事になった。レイチェルがいるのは「一緒に行きたい」と言ったので見識を広げるという名目で来た


 王都【ガルグルム】は要塞都市で街を高さ20mの石と鉄を組み合わせた砦で囲んでいる。近くに【エルン・メルスの森】という【ギルム・ヘルムの大森林】程ではないがある程度の魔物が生息する森が広がっている


 馬車の外には中世のヨーロッパ位の時代と思われる街並みが広がり、活気のある喧噪が聞こえる。こうした賑やかな場所は嫌いではなく、観光したくなった。時間があればガリウスの許可を得て歩いてみようか


 「賑やかで良い所ですね。色々見て回りたくなりました」

 「一人で歩くと危険…ではないが見ていくならレイラとにしなさい」

 「時間があったらそうします」


 そうこうしているうちに馬車は王城前に着いて止まる。巨大な王城を囲む様に50mの堅牢な石造りの城壁が建ち、その周りを水を張った深く幅の広いほりが囲む。上げられていた跳ね橋がこちらに下ろされると5m程の鉄と木材を組み合わせた分厚く重厚な両開きの扉がゆっくりと押し開けられた


 橋を進み中に入って芝生の広がる中庭で馬車を下りると金属鎧を着た彫りの深い顔立ちのがたいの良い男が立っていた。男は腰を折って頭を下げると自己紹介をする


 「初めまして、ガリウス辺境伯爵。私は王宮騎士団団長のジークフリートと申します。今、控室にご案内致します」


 俺達はジークフリートの後をついて行って王城に入る。石造りの王城の廊下の中央にはレッドカーペットが敷かれ、所々に甲冑が飾られている。2階に上がった所で手前から二番目の部屋で止まると、扉を開けて中に入った


 簡素ながらも置かれた机やソファーは質が良く高級感がある。部屋の壁に飾られた風景画や隅にある花瓶の花も邪魔に感じる事が無く美しい


 「それではお呼びするまでこちらでお待ちください」


 ジークフリートが一礼して去った後に俺はソファーに腰を下ろした。ガリウスも遅れて向かい側に座り、レイラは俺の後ろに立つ


 「レイラも隣に座ったら?」

 「いえ、私は大丈夫です。アルベルト様の隣に従者である私が座る訳にはいきません」

 「気にしないで良いよ。レイラみたいな美しい女性を立たせたままにする何て男として駄目だと思うし」

 「え、あ、え?」

 「お前…」


 俺の言葉にレイラは戸惑った様な声を上げると頬を赤く染めて俯く。ガリウスは俺を呆れた表情で見ていた。何故だ?


 「お前、絶対碌な男にならないぞ」

 「それはどういう―」


 俺の言葉を途中で遮る様に扉がノックされて開かれる。廊下にはジークフリートと文官らしき黒っぽい外套の様な物を着た30代の白髪交じりの灰色の髪をした170cm位の男が立っていた


 「謁見の準備が整った。ついてまいれ」


 文官の後をついて行くと直立不動で兵士が二人立つ片開きの木製の扉を文官が開いて中に入る。中は先程いた部屋と似た様な内装で、机の向こうのソファーの中央に鍛えられた体を豪華な服で包む、立派な顎鬚を蓄えた金髪で鋭い亜麻色の眼をした覇気を纏った若々しく見える壮年の男性がどっしりと座っていた


 この男こそがここ、【ヴァルト王国】と王都【ガルグルム】を治める国王【アーサー・ヴァルト・ガルグルム】陛下だ。賢王と称され、実力も高く、嘗て冒険者として活動していた時は最高位のS級まで上り詰めた程だそうだ


 ガリウスとレイラに続いて部屋に入り、ガリウスの隣に座る。レイラは俺の右後ろに立っていた。文官とジークフリートがアーサー王の後ろに立った所で話しが始まった


 「この度は魔物の氾濫(スタンピード)の対処ご苦労だった。所で隣に座る子供はお前の子か?」

 「はい。この子は私の息子のアルベルト・レイガードです。この度の魔物の氾濫(スタンピード)に於いて多くの魔物を討った功労者です」


 アーサー王の問いにガリウスは何処か自慢げに返すとアーサー王が僅かに驚いた表情と声を出す


 「何と。真か?」

 「はい。単独で侵攻してくる【赤熊】マーダーグリズリーやキメラ共を迎え撃ちました」

 「その若さでそれほどの実力があるのか。アルベルトと言ったか。魔物の氾濫(スタンピード)からの【レイガード領】の防衛、大儀であった」

 「勿体無き御言葉。これからも精進いたします」


 俺がアーサー王の言葉に右手を胸に当てて一礼すると国王は感心した声を出す


 「その年で中々礼儀正しいではないか。ガリウス、お前の教育か?」

 「いえいえ、妻達のおかげですよ。私は戦う事にしか能がない物で」

 「失礼を承知で私に発言させていただいて宜しいでしょうか、国王陛下?お伝えしたい事がございます」

 「何だ?言ってみよ」


 俺は衰弱死した帝国の者と思われる男の事を話す。黙って聞いていたアーサー王は顔を顰めると口を開く


 「…これが試験的なものか奇襲によるものかは分からんがどちらにせよ失敗に終わった訳か。今更帝国に抗議をしても無駄だろう

 それにしても魔物を誘導する事で襲撃させる方法を確立されると厄介だな」

 「私もそう思います。それに【ギルム・ヘルムの大森林】は中央に行く程、魔物の強さが上がっていきます。あの帝国の男がどの様に侵入したかも探る必要があるかと」

 「そうだな。死んでしまったのは残念だがしょうがない。兵を送るから調査を頼む。必要ならば資金も送ろう」

 「畏まりました」

 「国王陛下、大変失礼だとは存じておりますが折角王城まで来たので騎士団の訓練と、図書室の様な場所があれば見学の許可を貰えないでしょうか?」

 「こら、アルベルトっ」


 俺の言葉にガリウスは叱るがアーサー王はそれを制して許可してくれた


 「構わんよ。そなたは今回の功労者だ。確かこの後、訓練があったな。ジークフリート、アルベルトを案内してあげなさい。私はもう少しガリウスと話しがある」

 「畏まりました。アルベルト様、ついて来て下さい」

 「分かりました。ではお先に失礼いたします」

解説

この世界の名前

名前・国名・領地名の順になっている。尚、国名を名乗れるのは国王のみ

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