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12.戦後の目覚め

 俺が目を覚ますと自分の部屋の白い天井が映る


 (えぇっと、何時の間に寝たんだったっけか?腹も減ったなぁ)


 「うぐっ!」


 起き上がろうとした時、体に走る鈍い痛みが走り断念する。ベットに倒れながら記憶を漁るとスタンピードを終わらせた後、ルシファーを帰した時に魔力切れを起こしたのか、将又この体に負荷が掛かり過ぎて生存本能が強制的に気絶させたのかそのまま意識を失った事を思い出す


 「あぁ~、そうだった。体中がクソ痛てぇな。前世でもここまでやらかさなかったぞ」


 ベットに寝転がったまま思わず愚痴る。原因はある程度予想がついている。恐らく《餓狼》が原因だろう


 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 《餓狼》

 ・闘争心が向上する

 ・戦闘時、生物を殺すごとに筋力、素早さ、五感、六感が向上する

 ・戦闘時、血を感じる、または流すと闘争心が増幅して破壊及び殺傷衝動に駆られる

 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 今回は抑えられたから良かったがこれからは暴走しない様に気を付けないといけないと自分に言い聞かせる。前世と違って俺を押さえられる課長や教官ら上司の皆さんも同僚達もいないのだから


 そう言えば半殺しになるまで叩きのめされた事があったなぁーっと前世を思い出して懐かしく思っていると、扉が開かれてレイラが入って来た。俺は顔だけ上げてレイラを見る


 「やぁ、レイラ。無事で何よりだ」

 「アルベルト様!お目覚めになられたのですね!?お体はもう大丈夫なのですか?」

 「あはは、全身筋肉痛で痛い」

 「二日も目覚めず心配しました。今、旦那様達をお呼びしますね」

 「そっか、よろしく」


 (心配いらないとか言った癖に、倒れて二日も目覚めなかったんだからかなり怒られるだろうなぁ。あれ?もしかして殴られるかな?これ)


 俺がそんな事を考えているとドタバタと複数の走る足音が聞こえ、扉が勢いよく開かれた


 「アルベルト!」

 「アルベルト、大丈夫なの!?」

 「アルベルト、体調は!?」

 「アル君、大丈夫!?」

 「え、えぇっと…。ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした」


 俺は体を無理矢理起こして頭を下げる。体中が痛いがまぁ、今回無茶した罰だと思えば大した事じゃないだろう


 「アルベルト、今はゆっくり休んでいなさい。所で何故あんな無茶をした?」

 「これは言い訳ですが場の雰囲気とスキルの《餓狼》の効果でかなり酔ってましたね。まだまだ未熟ですよ全く」


 俺は自嘲気味に笑うと、ガリウスはそれに真剣な表情で優しい声で返した


 「確かにな。だが無事で良かった。動けるのか?」

 「勘弁したいですね。一、二週間は駄目そうです」

 「そうか、暫く安静にしていなさい。それと良く頑張ったな。お前のおかげで被害が最小限で済んだよ」

 「そうですか。良かったです。所で俺の傍に転がっていたローブの男はどうなりましたか?」


 その言葉に安堵の息を吐くと俺はルシファーが拾ってきたあの男の事を聞く


 「何も話さずそのまま衰弱死したよ。かなり精神的に消耗していてこちらの呼び掛けに碌に反応もしなかったよ。少々、手荒い事もしていたにも関わらずそうだったからよっぽどの事があったのだろう」

 「あの男は【ザルガンツ帝国】の者らしいですよ。恐らくはこのスタンピードは工作活動か何かでしょうね」

 「あそこか。人為的にスタンピードを起こして戦力を削りに来たという所か。近いうちに王都に報告に向かわねば」

 「アル君、心配したよ。所で最後の方に空から下りて来たのは何?何処に行ったの?」

 「あれは前世の昔馴染みですよ。仕事が終わって帰りました」

 「そうなんだ。中々かっこ良かったね」

 「そうですね」


 神々に愛されていたとか、エデンで白蛇に姿を変えてイヴを唆した、なんて伝承がある位だからな。まぁ、実際は全く違うのだが


 「そろそろ私達は出て行くよ。ゆっくり休みなさい」

 「何かあったらレイラに言いなさいね」

 「分かってます」

 「お大事に」

 「じゃあね」

 「えぇ、それでは」


 ガリウスらが出て行った後、俺はベットに倒れ込む。体が軋む様に痛くてしょうがない。何とかする手段が無くはないがどれも使い勝手が悪いので自然回復を待つしかなかった。寝転がってボーっとしていると小腹が空いてきた


 「レイラ、何か果物か何かないかな」

 「では林檎をお持ちします。暫しお待ちください」

 「ごめんね」


 レイラが部屋を出て暫くすると林檎の入った籠を持って戻って来た。籠をベット脇の机に置くと、俺が起き上がる手助けをして貰った後、椅子に座って中からナイフと小さなまな板を取り出して食べやすい大きさに切り分けると、林檎を一欠けら持って俺の口に近付けて来た


 「どうぞ」

 「あ、ありがとう」


 気恥ずかしさを感じながら差し出された林檎を口に入れる。爽やかな酸味と甘みが口に広がり気付かぬ内に乾いていた喉を癒す。そのまま雛鳥の様に手で差し出される林檎を一つ分食べ終えた。疲れている所為かとても美味しかった


 「レイラ、ありがとう。もう大丈夫だよ」

 「そうですか。何かあればまたお申し付けください」


 そう言ってレイラは残った林檎の入った籠と使ったナイフとまな板を持って部屋を出る。俺は窓の外の日差しが差し込む平穏な光景を見て、無事に乗り越えた事を実感した。それと共にそう遠くないうちに訪れるであろう戦火も視界の端に幻視した

解説というより詳しい紹介です

称号【餓狼】

幾多の戦いに身を置き、血を求めて駆る者に与えられる称号。餓えたる狼から逃れるのは容易ではない

・闘争心が向上する

・戦闘時、生物を殺すごとに筋力、素早さ、五感、六感が向上する

・戦闘時、血を感じる又は流すと闘争心が増幅して破壊、又は殺傷衝動に駆られる

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