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刻界の魔術師は生まれ直して気儘に歩む【旧題・刻界の転生魔術師】  作者: 銀闘狼
4章【ファルス製薬医薬研究所】
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103.E―D通路2

修正が終わったので投稿します

遅れて申し訳ございませんでした

 爆風に煽られて孝義は一瞬、体勢を崩し掛けたが、直ぐに体を捻って立て直し、床に右手を付くと腕を曲げながら前転して受け身を取り、勢いを殺して立ち上がる


 そしてカナリアの方に顔を向けると口を開いた


 「危ねぇじゃねぇか!!」

 「ちゃんと気付いてたから問題無いでしょ?それより見て」


 カナリアが指を指す先、手榴弾の爆風から顔を庇う【公安0課】の前に其れは手榴弾の爆発で拡散したカラーボールの塗料が付着して一部が、そしてゆっくりと体を覆い隠すヴェールを脱ぎ捨てる様にそこから先の姿を現した


 蛍光色のオレンジの塗料で染められて浮かび上がった上半身は爆発で胸の左上部分が抉れる様に穴が空き、首の左付け根と肩が途切れて、断面から黒みがかった緑の粘液が、体内に埋まった円筒形とみられる物の一部が見える膨れた胴に滴り落ちる


 右側の皮と幾らかの肉で何とか繋がっている頭部は、ゆっくりと修復されていきながらも重力に逆らう様に通常と変わりなく、肉の無い方向に傾ぐ事無くこちらに顔を向けて笑みを浮かべている


 塗料が付着している場所から広がる様に光学迷彩が解除されて明らかになるにつれて、袖が内側から破れている肩から、本来ある一対の腕の代わりに、根元から幾重にも分岐した、先端がナイフの様に細く鋭い片刃の金属質と、黒い虹色の光沢を持つタールじみた肉の触手が伸びて揺れている


 下半身はもはや人間としての原型を失い、下に下がるにつれて広がり床を覆う様に広がっている


 床に広がる溶解した肉が、粘度の高い液体が沸き立つ様にゆっくりと気泡が浮かんでは弾けて、そこから眼や歯、指らしき物が現れては沈んでいく


 肉の床がジョンソンを囲む様に所々、大きく盛り上がり、やがて酸で皮膚が爛れた腐乱死体の様な四人の小型のジョンソンへと変わる


 剥き出しになった黒い骨と筋張った筋肉を膜が覆う様に皮膚を形成しながら、頬まで裂けた不格好な爛れた歯肉と乱杭歯が剥き出しになったぐちゃぐちゃの口内を晒しながら、恐らくオリジナルであろう人の形を捨てた最初に現れた個体を含めて合計五体のジョンソンが一斉に口角を吊り上げると、精神を掻き乱し揺さぶる様な、不気味で狂的な嘲笑の合唱が通路に響き渡る


 「「「ホホホホホホ〜〜〜〜!!」」」


 【公安0課】の職員が思わず一歩後退り、カナリアと孝義が顔を顰める。五体のジョンソンは腕が変異した触手を撓らせると、一斉に孝義達へと鋭い切っ先を向けて伸ばした


 【公安0課】職員が触手へ発砲するが、不規則に上下左右に揺れる上に数も多く、更に通路全体へと広がる様に範囲が広く、一人が一、二本対処した所で焼け石に水と言える状態だった


 「指示を出したら攻撃を中止して負傷者の前まで後退。【毒華麗姫】は俺の支援。足止めするからその間に弾倉を交換して漏れた触手を迎撃しろ。間違ってもこっちの背中は撃つなよ?」


 孝義が最後に冗談めかす様に指示を出すと左手を開き、【鬼斬】を右手で持つ


 「《換装》」


 単語一つのみの短い詠唱で、右手に持っていた【鬼斬】が消えて、入れ替える様に両手に単一の金属を加工して作られたトンファーブレイドが現れる


 「止め。後退!」


 孝義の短い指示を聞くと同時に【公安0課】の職員は一斉に射撃を止めて、未だ嗤い声を響かせるジョンソンから目を離さない様に体を前に向けたまま後ろに下がる


 孝義はそれと入れ替える様に一人、ジョンソンへと飛び出した


 ジョンソンの触手が、接近する孝義を飲み込む様に壁や床、天井の近くから、折れる様に軌道を変え、切っ先を孝義へと集中させて四方から閉じていく様はさながら八目鰻の幾重にも細かい歯が並ぶ吸盤状の口を連想させる


 その時、孝義を追い抜く様に細長い物が壁や天井、床に飛んでいく


 細長い物―クロスボウの矢が触手を貫いて天井や壁、床に刺さると同時に、鏃から十字に細長い針が伸びる


 針の先端が一瞬、バチンと空気が弾ける音が鳴ると、鏃から四方の針を伝って白い電流が溢れ出した


 「「「ホホ、ホホホ…ッ!」」」


 放出された電流は触手を伝って五体のジョンソンを感電させる。麻痺によって細かく痙攣する足元の触手を飛び越えて、孝義は五体のジョンソンへと肉薄した


 手前にいる二体のジョンソンを、右手のトンファーブレイドで薙ぎ払う様にやや斜めに下がる様に左から右に振るい、左側のジョンソンの肩から右側のジョンソンの腰へと上下を分断すると、更に左手のトンファーブレイドで、本体と思われる一回り大きいジョンソンを袈裟斬りにする


 (っ!浅いッ!)


 孝義は斬った時の手応えから、空中に投影された幻によって目測を誤魔化された事に気付く


 投影されたジョンソンの像を突き抜ける様に伸びる無数の触手を、孝義は右に跳んで回避すると飛び掛かる様に体を文字通り伸ばす小型のジョンソンを右手のトンファーブレイドで逆袈裟斬りに両断する


 孝義が右に移動した事で射線を確保出来た【公安0課】の職員が拳銃の代わりに装備したアサルトライフルの引き金を引いて一斉に銃弾を撒き散らす


 目の前のジョンソンからは銃弾が着弾した様子が見えないが、床や壁を跳ね回る音の中に液体に勢い良く沈み込む様な水っぽい音が混ざり込む


 カナリアはクロスボウに番えていた、本来の鏃の代わりに特殊な弾頭を取り付けた矢―接触起動型のテーザーグレネードを取り付けたテーザーアローを放つ


 孝義は、虚空から這い出る様に現れて叩き潰す様に振り下ろされた太い触手をダンスのターンをする様に体を反らしながら回転させて避けると、追撃する様に伸びて来た数本の細い触手を、回転する動きを利用して両手のトンファーブレイドで受け流して切り捨てる


 その隙を突く様に真横から押し潰す様に、ゆっくりとこちら側に侵食する、流動状の肉に覆われた左の壁から質量を増やす事で迫り出した高さが天井まである肉塊を、目の前の触手を大きく弾いた反動を利用して後ろに下がる事で回避すると、そこから新たな動きを見せる前にカナリアが放ったテーザーアローが突き刺さり、流れ出した電流が肉壁を麻痺させる


 アサルトライフルの銃弾が肉壁の中央部を中心に幾つもの細かな穴を穿ち、投げ込まれた手榴弾が炸裂して下方部を大きく抉る


 カナリアが更にテーザーアローを打ち込む事で麻痺をし続ける肉壁の、手榴弾によって開いた下方部の穴から小さな無数の手出て来たかと思うと、壁に開いた穴をこじ開ける様にして次々と小型のジョンソンが這い出てきた


 抜け出た後、異様な程の跳躍力で跳び掛かってくる量産ジョンソンを後退る様にゆっくりと後退しながら両手のトンファーブレイドで斬り、間近まで迫った個体を刀部分とは反対側の短く飛び出た鈍器部で右手側で掬う様に打ち上げ、左手側で外側に払う様に壁に叩き付ける様に殴りながら孝義は思わず声を上げる


 「だぁ~!面倒臭ぇ~!」

 「【憑影】、口より体を動かして…!」

 「「「ホホホホホホ~~~~!!」」」


 物量による攻撃に愚痴る孝義に文句を言いながらも、アサルトライフルを撃つ【公安0課】の職員と共に拳銃や、能力で制作した銀の毒針を重力球で撃ち出して押し留めようとする


 「クッ…!」

 「………」


 一方で鈍色のローブと対峙する鏡華は全身を流体金属へと置換しているらしきその能力から有効な攻撃や拘束をする事が出来ず、鈍色のローブも鏡華に攻撃の悉くを弾かれて千日手と呼ぶべき膠着状態が続いていた


 ジョンソンの大群に圧されて、銃撃を続ける【公安0課】の職員やカナリアのいる場所まで下がってきた孝義にカナリアが感情を感じさせない声で短く尋ねる


 「どう?」

 「相性悪い。壁を突破して本体がいるであろう場所まで近付けても有効打が無い。とは言え其れらしい物に目星は付いているが…」


 押されている状況に不機嫌なのか、普段と比べて半音程下がった声音で淡々と返した孝義から視線を外すと、背後の鏡華に顔だけ振り返って先程と同じ調子で尋ねる


 「【盲目の封縛姫】は?」

 「…千日手、ですね。手応えがありません」


 カナリアは視線を孝義に戻す


 「【憑影】、目星って?」

 「お前が投げた手榴弾の爆発で吹き飛んだ部分、場所的に胸部の中心か?に明らかに機械的な何かの一部が見えた。恐らく其れをどうにか出来れば倒せる筈だ。まぁ、制御装置かもしれないがな」

 「そう、突破出来るんだね?【盲目の封縛姫】は其れを拘束出来る?」

 「ある程度の場所が分かっているので可能です」

 「そう。【憑影】は肉壁を突破後に背後の金属人形の対処、【盲目の封縛姫】は可能な限り金属人形の背後に移動して【憑影】が肉壁を突破後に該当機械を拘束、可能なら分離。私は成功率を上げる為に支援する


 【盲目の封縛姫】には二連装十二ゲージショットガンを渡しておく。弾は散弾で安全装置の解除済み。じゃあ、行動開始!」

次回決着…予定

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