幕間.【十二支部長】の離反
やっと終わったので投稿します
因みに私が説明を忘れているかも知れないので一応
現在の【ファルス製薬医薬研究所】制圧戦は、既にシナリオで言う探索者が全滅、又は時間切れによるバッドエンドの進行状態です
仮に探索者が侵入したとしても、それなりに死線を潜り抜けた歴戦の探索者が数人居ないと容易く一帯が壊滅します
【ファルス製薬医薬研究所】の制圧作戦が行われているその頃、【神話・怪異対策課 第十二支部】内は現在-
「逃げろー!」
「や、止めっ!グフッ!」
「畜生!やっぱりやるんじゃなかった!」
「助け、ガッ!?」
-襲撃を受けて阿鼻叫喚で満ちていた。それもたった一人の襲撃者によって
地面ギリギリまで伸びた長い裾の真っ黒い外套のフードを目深に被った襲撃者は散歩でもする様にゆっくりと歩いている。その間、何人もの【第十二支部】の職員が襲い掛かるが、襲撃者の背部から伸びる一対の伸縮する翼が黒い羽を振り撒きながら殴打し無力化する
逃げようとする者は平手打ちする様に壁や床に叩き付けて気絶させ、逆に抵抗する者は翼後縁に生え並ぶ羽で武器や四肢を切り裂き死なない程度に叩き潰す
暫く立っていた者はゆっくりと舞い落ちる羽が付着するにつれて体から力が抜けて倒れる事になる
僅かにすら歩みを遅らせる事なく支部長室の前まで来た襲撃者はドアノブに手を掛けて開こうとするが、鍵が掛かっており開かない
「・・・」
暫く無言で立っていた襲撃者は次の瞬間、翼を伸ばして扉を乱雑に切り裂いて無理矢理開けた
バラバラになった扉が床に落ちると、襲撃者はそれを踏みつけて室内へと入る
「-随分な挨拶だな」
【第十二支部】の支部長はふんぞり返る様に背凭れに寄りかかった姿勢で、襲撃者に顔を向けると、この時に初めて襲撃者が口を開いた
「【第十二支部】支部長の小手川骨堂ね?貴方に【神怪課】に対する背信と報告偽装、及び公文書偽造の容疑が掛かっている
大人しく本部へ出頭しなさい。抵抗すれば場合によっては殺害する」
「ハッ!やってみろよ!」
静かな凛とした若い女性の様に聞こえる襲撃者の言葉に挑発的にそう小手川が返す。瞬間、小手川が床を蹴り、椅子を足場に上に跳び上がるのと、同時に伸びた黒翼が机諸とも小手川がいた椅子を袈裟斬りに両断した
「ヒュー、おっかないねぇ。拘束所か初っぱなから殺す気満々じゃねぇか」
壊れた机を一度踏んで床に着地すると襲撃者を煽る様に戯けた口調で話し掛ける
襲撃者はその軽口に言葉の代わりに骨格のある翼前縁の、一般的な鳥で言う初列雨覆と呼ばれる羽が生えている場所で殴打しに掛かる
小手川がそれを床に這いつくばる程低く屈んでかわすと同時に、襲撃者の背後から幾つもの骨が組み合わさって形作られた、白骨化した巨人の指を連想される縦に並ぶ五本の骨の集合体が床を貫いて、その鋭い爪の切っ先を襲撃者へと向けて、握り潰す様に素早く動いた
「・・・!」
襲撃者は攻撃を中断して身を翻すと後ろに跳び、更に一歩下がると身を屈めて前転し、先程目の前を通過した一本目と二本目の下を潜る様にして三本目の骨指を避ける。その隙に小手川は床に左手をついたまま、右手でスーツの中から拳銃を取り出すと容赦無く回避行動中の襲撃者の頭部や脇腹等の急所目掛けて発砲した
襲撃者は途中で横に転がると、自身を覆い隠す様に黒い片翼を広げると飛来する銃弾と四本目と五本目の骨指を受け止める。そして足が床に着くと、空いた片翼を悪魔じみた筋ばった骨と皮だけにも見える黒い腕へと変化させ、迫る骨指を切り裂き、その勢いのまま小手川へと横薙ぎに振るった
小手川は体を仰け反らす様に素早く起き上がらせるとそのままバク転で巨大な黒い腕をかわすと右手の拳銃と、左手の五指を付けてその先を襲撃者に向ける
拳銃から銃弾が放たれると同時に左手、特に五指の皮の下が、皮の下に何か長虫状の生物が何匹も蠢いている様に波打ち、次の瞬間に皮を突き破って白い骨が槍の様に真っ直ぐ伸びてきた
銃弾を黒翼で払うと翼腕で骨鎗を握り潰す
小手川は骨鎗を途中から切り離すと手刀を構え、中指から伸びた骨を芯に腕の側面から一直線に並ぶ様に生やした幾つもの薄く鋭い骨を刃に一本の長剣を形成した
開かれた翼腕が小手川に伸ばされる
小手川は右腕から幾つもの関節を持つ無数の小さな骨を触手の様に乱雑に生やすと、しならせて勢いを付けて翼腕に叩き付ける
その勢いに僅かに硬直した隙に小手川が襲撃者に肉薄せんと地面を蹴った
硬直が解けた翼腕が背後から、黒翼が左から迫る
小手川は新たに、先端に鏃の様な返しのある小さな鋭い諸刃の骨が付いた、真っ直ぐな長い骨を掌から生やし天井に伸ばして突き刺すと、長い骨を縮めて体を持ち上げる事で攻撃を回避する
更に蹴る様に前に両足を出し、前に動き切った時点で先端と手元の骨の関節を切り離す事で、振り子の要領で襲撃者を飛び越える事に成功した
小手川は足から着地すると、その勢いのまま姿勢を低くして出入り口へと駆け出す
「・・・!待ちなさいっ!」
襲撃者は制止の言葉を発すると共に腕を翼に戻すと両翼を羽撃かせて羽根を飛ばす
小手川は襲撃者の声を背に廊下を駆け抜けながら、足が床に付くと同時に、背後に床から天井を貫く様に真っ直ぐ伸びる骨が横一列に壁を形成して飛来する羽根を防ぐ
羽根が突き立つと共に骨の表面がインクが染み込む様に黒が広がり、羽根が当たる衝撃でボロボロと崩れていく
更に襲撃者が黒翼で骨壁を切断しながら進んで行ったが、直前に行く手を阻む為に伸ばされた黒い骨の壁を切断した瞬間、断面から黒い煙が勢い良く噴出し、瞬く間に廊下を包み込む
襲撃者は直感的にこの黒煙との此れ以上の接触が危険であると判断すると立ち止まって、黒翼を羽撃かせて風を起こして煙を払おうとする
しかし、想定以上に其の場に残留した黒煙を払い終える頃には、新たに設置された骨壁が目の前に立ち、襲撃者の追跡を妨害していた
襲撃者は懐からスマホを取り出して予め登録してあった番号を押して連絡をする
「…スミマセン、小手川を取り逃がしました。捕縛をお願いします」
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【第十二支部】のカヴァー―運営する上での表向きの施設である整形外科医院の駐車場に出る裏口から、小手川が出てくると同時に、銃声が道路に等間隔に立つ、明滅する街灯に微かに照らされた薄暗い駐車場に鳴り響く
小手川は前に跳び掛かる様に空中に身を投げ出すと、片手を地面に付けて転がり立ち上がる。そして銃弾が飛来した場所へと顔を向けた
街灯の光の間に広がる闇の中から人影が浮かび上がり、こちらにゆっくりと近付いて来る
駐車場の出入り口に設置された電灯に近付くにつれて、足元から照らされてその姿が徐々に明らかになっていく
やがて電灯の下に来た時、逆立つ白髪を乱雑に短く切り揃えた、三十代位に見える革ジャンを羽織った男が、小手川に向けたまま歩み寄り、目の前に立ち止まる
「投降しろ」
「それは出来ない」
暫しの間、無言の睨み合いが続く。最初に口を開いたのは小手川だった
「警告しよう。お前達は失敗する。【神怪課】は今回の【ファルス製薬】の計画を止められない。天上と地下から現れる神に滅ぼされる」
「それを信じろと?」
男の怪訝な顔で目を細めてのその問いに、小手川は苦笑する様に顔を僅かに俯く様にして逸らすと向き直り、片方の口角を上げて答える
「当然、信じるなんざ思っていない。だが、俺は何度も敗北をして、其れを覆す為に戻ってきた。だが、だからこそ分からない」
小手川はそこで一度言葉を切ると表情を一変させ、一歩踏み出すと真剣な表情で問う
「何故、八尺が解き放たれていない?いや、そもそも【青梅村】に向かった【怪異対策班】はこちらの救援が甚大な損害を受けて全滅した筈だ
今回の始まりも先兵と言うべき【変異者】の成れの果てが解放されてもっと早く被害が出ていた筈だった!その上、現状すら今まで繰り返した時間線の全てと比べ物にならない程だ!
この時間線で何が起きている!?こんな状況は俺は知らないぞ!?」
「生憎と俺にはお前が何を言っているか分からない。時間関係の能力も魔導具も持ち合わせていないしな」
右手を頭を押さえる様に乗せ、段々と声が大きくなり最後は叫ぶ様に問う小手川に、男は拳銃を向けながらそう答えると、顔を動かさずに拳銃の先を小手川の踏み出した足へと動かして発砲する。狙われた足を素早く引く事で、それを躱すと小手川は横を向いてそのまま駆け出した
男は直ぐに拳銃を小手川に向けようとするが、小手川の姿を隠す様に地面から幾つも突き出した骨に下から打ち上げられて、真上に上げられた右手から拳銃が弾かれて宙を舞う
男は弾かれた拳銃を回収する事を直ぐに諦めると、左手で懐にある予備の拳銃を取り出し、銃口が小手川がいるであろう方向に向いた瞬間に引き金が引かれて銃弾が放たれる
銃弾は空中で突然、軌道が弧を描く様に変わったかと思うと、そのまま意思を持っているかの様に乱立する骨柱の隙間を縫う様に飛んでいく
しかし、突然骨柱全てからピシリと小さな音が聞こえたかと思った次の瞬間、パァアアアアアンッ!と乾いた炸裂音と共に骨柱が爆発し、骨片と衝撃を撒き散らした
それにより銃弾は全て勢いを失い地面に落ちる。男は舌打ちすると、小手川が向かったであろう方向へと駆け出した
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…
……
………
「…行ったか」
そう小さく呟くと整形外科医院の建物の陰から紅い眼をした小手川が姿を現す
「時間が無い。足止めを食った分、早く移動しないと…」
その言葉と共に小手川は誰もいない駐車場から夜の闇に姿を消した
人物紹介(仮)
【第十二支部】小手川骨堂
能力:【特異体質:【変幻なる骨】】
・自身の骨を自在に変形、生成、変質、操作をする事が出来る
:【魔人能力:【■■■:■■形態】】
・【■■】を発生、操作、形成する
・能力使用時に瞳孔が紅く、■の様に変化
・煙幕、■■、■■化
・【領域:【■■■■■】】
:【特異現象:【今度こそ必ず】】
・未来に影響を与えうる程の大規模な人為的、神話的、怪異、其の他の理論上対処可能な事件又は災害の発生時に、其れを命懸けで阻止しようとした一人以上の人物に発生するタイムリープ及び現実改変現象
・対象者が諦める、要因の排除を行い生存、又は死亡を除き、対象者は死亡する度に事態の始まりに戻り蘇生する




