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刻界の魔術師は生まれ直して気儘に歩む【旧題・刻界の転生魔術師】  作者: 銀闘狼
4章【ファルス製薬医薬研究所】
113/156

101.研究棟A―B通路→E-D通路

時間がある筈なのに何故か編集する時間が無い謎

中々投稿せず申し訳ありません

 道中の部屋を調査しながら廊下を進んでいた八重樫達は真っ直ぐ伸びる廊下の最奥にある扉の前にいた。扉に鍵穴はなく、その横には何かを翳して読み取る為と見られる機械があり、カードを持つ手を表しているらしいマークが青くぼんやりと光っている


 此処に到達するまでの間、時折室内にいた植物に支配された職員らしき白衣の男女に襲われるも少数であった事もあり、消耗が少なく対処をする事が出来ていた


 「地図を見るにこの扉の先は別の研究棟ですね。右にある階段かエレベーターで上に上がる事が可能ですがどうしますか?」

 「そう、ですねぇ…」


 八重樫は顎に手を当てて考える。恐らく上階に上がっても隣の研究棟に移動する事は事前に見た資料から考えて可能だ。同じく例え先に隣の研究棟に移動したとしても近くに階段やエレベーターがあるので上階に上がる事が可能だ


 但し、それは何もなければの話だ。これだけの集団が組織だって動けば当然目立つし、その道に詳しい者や組織なら当然の如く関係があると考えれば何かしらの行動を起こす。特に明らかに敵対するならば物証や表立って出す事が出来ない物の隠滅や、侵入者への罠や対処する人員や武器、そして生物を設置する事が当然の行動だ


 既に三手に別れている以上、これ以上の部隊の分断は出来ない。物量やガス等の科学兵器への対処が困難になる恐れがある。ある意味その性質上、得意分野が特化しがちな分、この様な場合は実は【神怪課】の面々が足を引っ張る可能性が高い


 その為に上階に上がるか、隣の研究棟に行くかを選択する必要があった


 「…先に進みましょう。上階に上がった後に一階に潜伏していた敵に挟まれる事は避けたいですし、挟撃されても途中にある筈の非常口や窓から脱出出来る筈です」

 「分かりました」


 【公安0課】の職員が、八重樫が枯れた蔦で室内が覆われていた部屋で入手したカードキーを機械に翳すと、ピッと軽快な電子音が鳴り、扉の鍵が解除される


 扉が横に自動でスライドして開いていく


 警戒して慎重に最初に扉の前にいた【公安0課】の職員が、研究棟同士を繋ぐ通路に侵入しようと歩き出す体勢で完全に扉が開くのを待つ


 そして完全に扉が開いたその時、ガシャンという何か金属で出来た物が高い場所から床に落ちた音がした


 ―ピュー…、ピュー…


 同時に、背後からそんな口笛を吹く様な音が聞こえてきたかと思うと、通路内に背後から体が煽られる程の突風が吹いた(・・・・・・)


 踏ん張る事が出来ずに風に背中を押されて、扉を潜って数歩進んだ職員の頭上から、コツッと硬質な物で天井を叩く様な音が聞こえてきた


 その音と共に何かが天井から(・・・・)職員の背後へと襲い掛かった


 黒と見間違える様な暗い藍と紫の斑を持つそれは金属とは違う、敢えて言うならば昆虫の外骨格の様な光沢で光を反射し、緩やかに反る刀の様な細長い硬く鋭い何かが途中で屈折して明らかな殺意を持って死神の鎌の様に【公安0課】の職員の首を……

--------------------------

 同時刻、研究棟E-D通路


 「だぁ~!面倒臭ぇ~!」

 「【憑影】、口より体を動かして…!」

 「クッ…!」

 「「「ホホホホホホ~~~~!!」」」

 「………」


 行く手を阻む敵と絶賛戦闘中であった

-------------------------

 植物園の右の通路に向かった孝義達もまた、八重樫と同じ様に隣の研究棟に移動しようとして扉を開くと、扉の隙間から一羽の鸚鵡オウムが擦り抜ける様にして飛んで来た


 「【被験体P―157】!【被験体P―157】!」

 「鸚鵡?実験動物が脱走したのか?」


 突然現れた鸚鵡を見て孝義達がそう考えたその時、進む筈だった扉の向こうから場違いとも言える笑い声が通路に響いた


 「ホホホホホホ~~~~!」


 その笑い声に視線を向けると、そこには派手な装飾と色彩の上下の服を着た、ダイヤやクラブ等のトランプのスートがあしらわれた同じく派手なシルクハットを被った男がいた


 肥満体の体は服を下から押し上げており、ややキツそうな印象を受ける


 顔は白塗りを下地に右目の青い星と、口元の弧を描く笑っている様な赤いメイクと赤く丸い付け鼻、そして虹色のパーマが掛けられた髪が如何にも道化師という印象を孝義達に与えた


 体を揺らし、左右に跳ねる様にして近付く男を孝義達は知っていた


 彼こそは虚像と認識を惑わす能力によって数多の命を奪った残虐な殺人鬼であり、かつて【神怪課】によって【東京第一特殊刑務所】へと送られた男―【嘲りの道化師(スマイリーピエロ)】マルコス・ジョンソン。通称【嘲りの(スマイリー)ジョンソン】であった


 故にその場にいた孝義達は一瞬とは言え、ジョンソンへと全員が意識を向けており、周囲に対する注意が散漫になった。そしてその一瞬が致命的な隙と云う代償として支払われる事となる


 いつの間にか孝義達の背後に身長は120cm程の、フードを被った鈍色のローブを着た人影が立っていた


 フードの奥は目深に被っていた上に俯いている事もあり、影になって窺う事が出来ない。ローブの中にある手足も見せず、体の起伏では性別すら分からぬ人影は、ローブの裾から何本もの触手を伸ばすと、鎌首を擡げる蛇の様に持ち上げて先端を垂らした次の瞬間、触手を撓らせ剃刀の様に薄く鋭い先端の刃で意識を逸らしていた孝義達の首筋や手首を目掛けて振り回した


 「っ!?お前ら後ろだ!!」


 微かに聞こえる風切り音か、それとも神経を尖らせていた故に第六感の様な物が働いたのか。兎に角、誰よりも先に気付いた孝義が鋭い声で他の職員に警告する


 しかし、職員達が反応するよりも触手の動きは速く、鋭い刃が致命的な被害を与えんと襲い掛かる


 鏡華が振り返りざまに伸ばした右腕から鎖を伸ばす


 しかし片や先手の万全の状態から繰り出された勢いのある攻撃、片や後手に回った咄嗟の片腕からの迎撃


 その違いは明確な差となって数秒もしない内に示される事となる

孝義側です

因みに大雑把に【神怪課十三支部】のメンバーのチーム分けは

左側(植物棟):八重樫、鬼瓦

中央(植物園):アルベルト(樋口)、ジャンヌ

右側(鉱物棟):孝義、鏡華、カナリア

です


研究所は上から見ると凹を逆さにした様な形をしており、間取りは


 動物棟 管理棟 昆虫棟(無脊椎動物系)

 植物棟 植物園 鉱物棟

 搬入口 □□□ □?□

 □□□  ↑  □□□

      エントランス兼、来賓棟

     (警備員や当直職員の休憩室等がある)

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