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刻界の魔術師は生まれ直して気儘に歩む【旧題・刻界の転生魔術師】  作者: 銀闘狼
4章【ファルス製薬医薬研究所】
112/156

100.研究棟A2

色々忙しいので編集が遅れてます

お待ちしている方々、申し訳ありません

 隠し扉の先は薬品の保管室だった。塩酸や水酸化ナトリウムと言った一般的な学校の理科室に置かれる様な物から、シアン化水素やバイオハザードマークがラベルに印刷された明らかに危険な物まで様々な薬品がそれぞれ種類ごとに所狭しと室内に立ち並ぶ棚の中に収められている


 「これは…凄いわね」

 「下手に触れませんね。下手に床に落として割れて中の薬品が漏れ出る処か、他の薬品と混ざりでもしたら場合によっては大惨事になりますよ」


 八重樫が薬品棚を眺めていると、所々に薬品同士の間に隙間がある事に気付いた。それもまるで丁度(・・・・・)薬品瓶が一(・・・・・)()或いは二つ程(・・・・・・)入る位の幅の(・・・・・・)


 「この幅…、もしかしたら此処にあった薬品が持ち出されたかも知れません」

 「薬品が?何故?」

 「一つ前の部屋に残されていたメモの主が未だに無事で持ち出したままでなければ、我々を始末する為なのか。それともそれがあった場合、相手の都合が悪いかですね

 尤も、何がなくなったか分かりませんけどね」


 紀矢子の問いに肩を竦めて言葉を返しながらこの場にカナリアが居ればと考える。彼女の【特異体質】の能力上、この様な様々な薬品が並ぶ場所の調査に適任と言えた


 薬品の影響を受けず、触れるだけでその性質を理解出来る上に万が一薬品が流出した、又は更に混合して有害な気体が発生した場合にその無力化を行う事が可能だからだ


 八重樫は頭を小さく振る。無い物ねだりをしても仕方ないとこの部屋についてに思考を切り替えると改めて薬品棚を見回す


 (取り敢えず明らかに流出したら只では済まないバイオハザードマークが付いている瓶を調べるのは論外ですねぇ…。何かに使うのかも知れませんが持ち歩くリスクが大き過ぎます

 少なくとも扱う上でこの中の誰かしらの知識がある物を選ぶべきですね。その上で流出して混合した際に影響が少ない組み合わせで分散して所持しましょう)


 「薬品に知識がある方は集まってください。それ以外は周囲の調査をお願いします」


 八重樫は薬品に関する知識がある人を集めると話し合いながら薬品棚から薬品を回収していく


 一通り回収した事を確認した八重樫は近くにいた紀矢子に話し掛ける


 「何か分かりましたか?」

 「薬品の保管室って事位ねぇ。私は小細工無しで戦う戦闘員だし。後、入ってきた部屋の向かいにある扉が開いた様よ」

 「そうですか」


 紀矢子と共にその扉がある場所に行くと、既に扉は開かれている様だった


 「どうしましたか?」

 「扉は開いたのですがどうやらその前に何かが置かれている様でして。僅かに手を掛ける程度の隙間があるものの動かす事が出来ずにいました」


 【公安0課】の職員の言葉通り、数人がかりで出入り口の先にある物を押したり横に動かそうとしたりしている


 「それなら、ちょっと退いてね。…ふん!」


 紀矢子が隙間に手を掛けて横に動かすと、ブチブチと細い縄の様な物が千切れる様な音を立てながらゴトゴトと下にある車輪が音を立てて様にずれていく


 それと共にその先の光景が(あらわ)になっていく


 床や壁、天井を茶色く細長い物が縦横無尽に伸びて重なり合い、網の様になって歪な鳥籠の様に室内を覆っている


 室内に置かれている白く塗装された台の一番上の段からは室内を覆っている物であろう茶色い紐状の物が溢れ出る様に何本も下へと垂れ下がり、それより下の段や床を覆い隠していた


 暫く観察して気付いたが、それは枯れた蔦植物だった。先程まで引っ掛かっていた原因はどうやらこの蔦が扉を隠す棚を押さえていた事の様だった


 枯れた蔦に一面覆われた床にはガラス片が散乱しており、それはどうやら蔦が巻き付いて締め付ける圧力で割れた蛍光灯の残骸と思われた


 室内を見回していた八重樫は蔦に半分埋もれる様になっている口が割れて欠けた茶色い瓶とクレジットカードの様な『Level1』と青い文字で書かれたプラスチックのカードを見付けた


 「瓶とこれは…カードキー…?この瓶の中に入っていた物が蔦を枯らしたのでしょうか?」


 八重樫が薄いゴム手袋を着けて、慎重に拾い上げて中を横から覗くと底に僅かに液体が残っており、動かした事で水面が揺れている


 蔦に触れると乾燥しており、その時に既に枯れていたか分からないが少なくとも数日の間、蔦に水を与えられていなかった事が分かる


 総合的な印象としては瓶の中には除草剤に相当する液状の薬剤が入っており、それを使ってこの部屋を覆う蔦を今から数日前に全て枯らしたと推測出来る


 そしてこの瓶は先程の薬品保管室の棚からなくなっていた薬品瓶の一つだと思われた


 「【葬送者フューネラルプロセッション】、廊下に繋がる扉がありました。鍵が開いており、扉を覆っていると思われる蔦も既に切られておりました」

 「中に誰かいたという事ですか」

 「そうなりますね。外から無理矢理扉を開けたにしては枯れた蔦の切り口が綺麗過ぎます。明らかに鋭利な刃物で切った跡です」

 「成る程。もし、此処に侵入した方なら一度接触をしたいですね。【ファルス製薬】と敵対しているなら利害の一致で協力関係を結ぶ事が可能かも知れないので」

 「そうですね。尤も何時、此処に侵入したのかは分からない事が問題ですけどね

 あの巨木が健在な以上、我々の侵入した時間との時間の差が開いていればいる程、接触所かその侵入者の無事が危ぶまれますからね」


 八重樫は扉の前にあった物を見る。それはこれまで何度も見たガラス扉の付いた棚で、扉のガラスは蔦の圧力で外側から割られており、中には割れたガラス瓶が並び、そこから流出した液体で濡れていた


 「何かの薬品でしょうか?今の所、体調に異常はありませんが長居しない方が良いかも知れませんね」


 その場で息苦しさや感覚に異常が無い事を確認すると、近くにいた【公安0課】の職員に棚の中を濡らす液体の事を伝えてこの部屋を出る事を提案する。殆ど調べ終わっていた事もあり、それは了承されて、八重樫達は部屋から出た


 廊下に出ると左側には行く手を塞いでいた隔壁が先を閉ざしており、反対側は白で統一されている廊下が傷一つなく伸びていた


 しかし、頭上や廊下の最奥にある扉の向こうから不規則に何かが擦れる音や罅割れる様な音が微かに、されど確かに廊下に反響して聞こえてくるのだった

 今更ですが【神怪課】と【公安0課】の職員は、事前に神格や唯一の存在を除く神話生物の映像資料や【神怪課】が運営する一般人に非公開の博物館の様な施設で、事前に神話的知識を得ています


 それにより、SAN値の減少量が軽減されています


 これはルール上の【神話生物に慣れる】に該当し、要するに事前にSAN値を減少させる事で、合計減少量が該当する神話生物の最大減少値までになる様になっています


 (例.食屍鬼の最大減少値が6で事前に4減少した場合、その後の遭遇での減少量が2以下となる)

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