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刻界の魔術師は生まれ直して気儘に歩む【旧題・刻界の転生魔術師】  作者: 銀闘狼
4章【ファルス製薬医薬研究所】
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96.異能乱戦

敵拠点への突撃です

今更出る新キャラもいます

 建物を飲み込む巨木から伸びた蔓、或いは枝で分断された職員達はすぐさま対処をしようと動き出す。手斧や刀剣、マシンガンで破壊しようと攻撃を開始した。しかし


 「クソ、傷一つ付かねぇ!」

 「【結界】或いは【領域】か!」


 彼らの口に出た言葉通り幾ら攻撃しても傷一つ付かない。更に


 「外部との連絡が付かない!通信が阻害されている!」


 その言葉で一斉にそれぞれ持つ通信機器を確認した結果、内部での通信は可能だが外部との連絡手段は全滅している事が分かった。辛うじてそれぞれ可能な限り近付いて直接肉声での会話が出来る位だった


 「仕方ない。此処にいる者達で進むとしよう」


 荒八木はスマホを胸ポケットにしまうと巨木に覆われる建物に眼を向ける。その時、建物の出入口のガラス張りの扉が一斉に外に開き、中から数十人の男女が外へと溢れ出した。どの人物も病院に使われるバスローブの様な簡易な服を纏い、体のいずれかの場所に体の半分を血管の様な細長い根を張る、十数センチの捻じくれた若葉色の蔓植物が揺れていた


 それぞれの能力を示す様に植物の影響がない腕の先や足に燻る火や爬虫類じみた鱗等が見られ、血走った双眸や幽鬼の様な猫背のふらついた足取りからとても真面な状態には見られなかった


 「こちら【解析者アナライザー】。一通り確認が完了した。乱立する樹木は熱や衝撃を受けると表面の皮が捲れて中の種子を辺りに高速で撒き散らす様だ。周囲を覆う籠はどちらかというと【領域】に分類出来るな。解除方法は本体を仕留めるしかないな

 後、事前に入手していた見取り図には記載されていない地下への通路を確認。分かれて捜査する必要があるかもしれない」


 防弾チョッキ等を着こんだ痩せ型の二十歳程の青年―【神怪課・第一支部】所属の職員、【解析者アナライザー】が分厚いA4サイズの白い本を捲りながら、全員のインカムと接続された襟元に付けたマイクへ情報を報告する


 その報告にそれぞれが樹木から距離を取って進む


 巨木が前触れもなく枝葉を大きく揺らすと上空に何かドングリの様な形状の物が巨木から放出された。特に誰かを狙った様子はないがその量は中々の物であり、固まって突っ立っていればそれなりの被害を出す事が予想出来た


 「非戦闘員はこちらに集まれ!【砦壁】!」


 【解析者アナライザー】の直ぐ後ろにいた迷彩柄の軍用の上着を着た四十代の浅黒く焼けたガタイの良い男が声を張り上げる。戦闘慣れしている様子のない白衣の男女が彼の周囲に集まると短い単語と同時に地面から黒曜石の様な黒く光沢のある分厚い壁が幾つも隆起し、幾重にも重なる様にしてドーム状に彼らを隙間なく囲む


 【黒曜の防砦】の異名を持つ彼-黒城護(こくじょうまもる)が生み出す壁は銃撃はおろか対物ライフルの銃弾や爆発物が至近距離で爆発しても傷一つ付く事がない程堅牢なものだった。また、本人も対人、対神話生物の立ち回りに精通しており、その事から【第二支部】に所属してこうした現場に【第一支部】等所属の研究専門の非戦闘職員の護衛として度々派遣されていた


 他にも【公安0課】は神話事件に精通した職員が【障壁】を張ったり、【銀の黄昏教団】一派が【障壁】とその後の為の準備を始める中、【第十三支部】のメンバーはと言うと


 「ゴアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 「あ、おい!……まぁ、いいか。取り敢えずやる事をやろう。【ダイン】」


 高藤が黒獅子化して黒雷を纏いながら単騎特攻を開始する。アルベルトは呼び止めようとするが数秒考えるとあっさり止め、右手に握る黒刀【ダイン】をダラリと力を抜く様に右下に切っ先を下ろす


 「【刀身変化:黒焔霧】」


 アルベルトが瞑目して呟く様にそう言うと【ダイン】の刀身が霧状に崩れ、辺りに薄く漂う


 「【纏装:シュレディンガー】」


 霧の一部がアルベルトを包んで撫でる様に緩く渦巻くと銀髪は射干玉の様な黒に染まり、頭頂部に燻る【瘴気】で象られた一対の三角形の耳、臀部からは二本のスラッとした細長い尾が生える。背には浮かぶ九つの揺らめく黒焔の火球を、輪を描く様に背負い、開かれた双眸は鮮血の如き紅に染まっていた


 「【領域:虚世隠之帳ウツロヨカクシノトバリ】」

 「【結界術:封重縛鎖】」

 「ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


 刀身が崩れて柄と鍔の先から黒煙が燻る【ダイン】を前に突き出し、告げられた言葉で先行した高藤とアルベルトらとの間に黒い濃霧のとばりが下りる。そこに鏡華が伸ばした鎖が表面を縦横に走るとキンッ!と言う澄んだ音と共に固定された


 高藤は樹木をなぎ倒しながら【医薬研究所】から現れた蔦植物が生えた【変異者】の眼前まで移動すると大気を震わせる程の咆哮と共に全方位に黒雷をまき散らす。地面を跳ね、樹木や【変異者】を焼いていく


 【変異者】は容易く炭化して崩れ落ち、道中でなぎ倒されたり黒雷に焼かれた樹木は接触部分の樹皮が捲れ上がり、一気にその下に収められていた種子を外部へ散弾の如くばら撒いた


 地面を跳ねて不規則に走る黒雷は【虚世隠之帳ウツロヨカクシノトバリ】に触れたそばから瞬く間に吸収され、種子の散弾は【虚世隠之帳ウツロヨカクシノトバリ】を縛る鎖や間に張られた【障壁】に轟音を立てて弾かれて地面にバラバラと落ちていた


 連続して聞こえていた轟音が止む。【虚世隠之帳ウツロヨカクシノトバリ】を解除し、足元に薄く漂う先では黒獅子と化した高藤が無傷で佇んでいた。周囲には周囲を渦巻く数本の黒雷が炭化した種子の残骸をまき散らし、バチンッ!と弾ける音を放って霧散する


 大樹から放出された種子が間近まで迫る


 「【刀身変化:黒縄こくじょう】。ジャンヌ!」


 漂う霧から幾条もの黒い縄が伸びて高藤の体に絡み付く。抵抗する高藤を無視して拘束してこちらに引き戻すと同時に後ろに立つジャンヌの名を呼ぶ。ジャンヌは左手の大楯を真上に掲げると黄金の半球の障壁が展開されて包み込んだ


 降り注ぐそれは地面や【障壁】に当たるとバシャバシャと水風船が割れる様な音を立てて半分程潰れる。そこから根の様なものが生えてくると凄まじい速度でその長さと太さを増して広がり始めた


 成長し、質量が増すごとに【障壁】を覆う蔦がギシギシと音を立てて密度を増していく


 「【瘴黒焔海】」


 揺らめく刀身を前に向けると【障壁】の外に漏れていた霧が黒い焔に代わって立ち昇る。燻る焔は既に細い樹の幹程の太さになっていた蔦に着火すると、それを導火線の様に伝って広がっていく


 「【散】」


 そう言って斬り払うと黒い燐光を放って白く炭化した蔦が一拍後に崩壊した


 「【壊して(クラップ&)-】」


 黒いドームの内側から聞こえるその言葉と共に頂点から一気にドームが崩れ始める。その中の一人の男がいつの間にか用意していたらしい台に乗った、所々に文字が刺繍されたヤンキーや暴走族が着る様な革ジャンを着た男が不敵な笑みを浮かべていた


 「【作り直す(ビルディング)】!」


 次の瞬間、男を中心に幾つもの砲台と塹壕が現れる


 【単独軍隊(ワンマンアーミー)】、【武器庫(アースラン)】、そして【砲戟】の二つ名を持つ男-万機武久によって防壁を素材に作られた砲身が重厚な擦れる音を立ててさざめく巨木へと向けられる


 「【神怪課】は待機人員を除き砲撃後に総員【医薬研究所】に突撃。【第十三支部】は幹部の捜索及び撃破」

 「【公安0課】は資料等の回収」

 「私達はその支援を行うわ」

 「「「了解」」」

 「全門照準良し。斉射ぁああああああ!!」


 各組織の指示が下されると万機は指先まで伸ばした右腕を真上に上げる。そして吼える様な台詞と同時に真横に下ろすと、巨木へと照準を合わせていた幾つもの火砲が一斉に轟音と砲火を放ち、弾雨が巨木に向けて大気を貫いた

解説

【領域・虚世隠之帳】

・純エネルギー吸収(光、火、電気等)

・認識阻害(特に視界)

・【瘴気】による継続ダメージ及び装備の劣化


【結界術・封重縛鎖】

・他の【領域】、【結界】、建造物の保護、封鎖

・物理、魔術的干渉に対する阻害(耐久性は使用魔力量により変動)


【瘴黒焔海】

・燃焼、【瘴気】による継続ダメージ

・不鎮(特定の条件を除き鎮火しない)

・延焼(この燃焼は付近の物質に燃え移る)

・不不燃(可燃性の物質に加え、本来燃焼しない物質、精神的存在に関わらず通常通り燃焼する)


万機武久の能力補足

・創造に材料となる物質が必要となる代わりに、他の一般的な創造系【特異体質者】及び【変異者】と比較にならない規模の別の物質を変換、形成する事が可能

・基本的に変換、形成した物質は素材とした物質により、耐久性等が左右される(装甲の重厚化、圧縮等での一定までの強化は可能)

・形成した物質から更に再形成する事も可能。尚、変換、形成する際の素材の使用率は100%である


次話編集中

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