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幕間.仮面の密談

時間が事件発生直前まで戻ります

黒幕サイドです

 ―某所暗い狭い部屋に四人の人物が立っていた。それぞれ白い仮面を被り、白衣を着た彼らは最後に現れた長身痩躯の裾の長い白衣の上に同色のローブを着た同じく仮面を着けた青年へと視線を向けた


 「計画はどうなっている」

 「万事恙無く進んでいる」


 後ろ手に鉄扉を閉めた青年の問いに仮面の一人が答える。声の高さからどうやら若い女性の様だ


 「失われた器たる(・・・)Pandora(・・・・・・・)の再現(・・・)-【テセウス計画】」


 その一言共にその場にいる者達の雰囲気が静かに沸き立つ


 「忌々しい裏切り者の十一によって連れ去られたPandoraの再現」

 「結局、あの世界でアイツを追い詰めたが吐かなかったからな」

 「副産物として出来た【沼男スワンプマン】も使い物になる様になってきたよ!」

 「【アトゥロスタント】の拡散の準備も完了した。直ぐにでも可能だ」

 「では始めよう。上手くいけば予備だけではなく使える物も出るかもしれない」

 「「「「了解」」」」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 某所ビル会議室。室内はピリピリとした張り詰めた緊張感に包まれていた


 「おい!実験はどうなっている!?」

 「落ち着いてください。こちらでも準備を進めています」


 椅子に座り、声を荒らげて食って掛かるスーツを着膨れさせた中年の男を白衣の青年が宥めようとする。しかし激昂した男は落ち着くどころか更に声を荒らげる


 「ふざけるな!この研究に幾ら払ってやっていると思っているんだ!」


 室内の他の重鎮らしき中年の男女も不機嫌に顔を顰めて、同意する様な視線を青年に向ける


 「ですから落ち着いてください」


 青年はそう言うと足元の鞄から机に蓋の部分に機械が取り付けられた大き目の瓶を置いた。中には薄緑の液体で満たされている。青年が素早く鞄からガスマスクを取り出して装着すると次の瞬間、機械部分が爆発し、中身が机の上へと漏れ出した


 薄緑の液体は直ぐに気化して室内に充満する。先程まで青年を糾弾していた男はパニックに陥りながら青年に詰め寄ると胸倉を掴んだ


 「貴様!何のつもりだ!?」

 「煩いですねぇ…。お望み通り【実験】がどうなっているか教えてあげているんじゃないですか。貴方方の身をもって、ね?」

 「このガキが!ふざけ、グッ!?ガ、アァア!?」


 慇懃無礼な青年の言葉と見下す冷酷な眼に男が激高するが、突如胸と口を押えて後ろによろける。室内では青年以外、開かない扉や窓を叩いたり、喉や胸を押さえて藻掻いている


 やがてゴキッ、グチュと骨が折れ、肉が潰れる様な音が室内の至る所から聞こえてくる。音の発生源である室内にいた青年以外の男女は床にのたうちながら服の下から沸騰した熱湯みたく泡立つ様に波打ち、肉体の異常による激痛から断末魔じみた絶叫を上げている


 「グゴアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」


 青年に掴み掛かった男が床に転がりながら一際大きな絶叫を上げて仰け反る。それと同時に肉と骨が急速に変形する事で水っぽい音が響き、全身から乱雑に大小様々な歪曲した鋭い骨が皮膚を突き破って飛び出した


 他の室内で悶える人間も発火、帯電、肉体の変質等、どの人物も即死してもおかしくない惨状にも関わらず全員、未だに荒いながらも呼吸をし、生命活動を続けていた


 その様子を面白そうに眺めていた青年に今まで開かなかった扉が開き、入ってきた仮面の人物―恐らく声の高さから女性が声を掛けた


 「調子はどう?」

 「順調だ。下等な素材でもある程度は役に立ちそうだ。そっちはどうだ?」

 「問題ないわ。既に【アトゥロスタント】の設置は完了したし、街中への配置も完了している」

 「では革命の宣言を始めようか」






 「―只今より【選定】を始める。諸君らは我らの理想の為の実験体となり給え」

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