桜の木
この小説を書くのに1年半かかりました。
見ずらい小説かもしれませんが読んで頂ける読者様、本当にありがとうございます。
読者様の感想をもとに続きを書きたいとも思っています。
ではお楽しみ下さい。
俺にとって、桜の木は特別な存在で、いつも何かあったらここに来て、心を落ち着かせていた。春が終わる頃に桜の花びらが少しずつ散っていくのを見てると、何か心細くなる。 俺の名前は、安木知治。高校2年生で、昔から友達と比べて少し体が弱くて、小・中学校の時には入退院を繰り返していた。今は入院する程でもないが、体が弱いせいか、とても泣き虫であまり自分に自信が無かった。そして、俺が入院していた病院の近くに桜の木があった。喧嘩したりなんかして良く泣いていた俺を親がだっこして桜の木に連れて行ってくれた。なぜか桜の木を見ると俺はすぐに泣き止んだらしい。
それから俺は退院した後でも桜の木を何度か見に来たりしていた。高2の春、久しぶりに桜の木を見に行こうと思った。その帰り道、誰かが後ろからついてきた。俺はわざと気づかない振りをして歩いていた。歩き続けていると、いきなり後ろからドンッとぶつかってきた。
「さっきからついてきてたのに何で気づかないんだょ!!」といって頬を膨らましてた。こいつは水木桜。幼稚園から小・中・高といつも一緒の幼なじみだ。桜は家が近く、小さい頃は、よく遊んでいた。俺が入院しているときも、週に3回くらいは病院に来てくれていた。桜は俺と違って、めったに泣かず、強がりでよく泣かされていた。
でも、そんな桜に俺はいつも支えられていた。二人で桜の木でおままごとしたり、ベンチに座って手を繋ぎながらたくさん話をしていた。
今考えると手を繋ぐなんて・・・・・・考えられなぃ。
「一緒に桜の木見に行くか?」と聞くと、桜は嬉しそうに
「もちろん!!」と答えた。桜の木を目の前にして、二人とも何も言わないまま桜の木を見つめていた。「なんか、懐かしいね!!昔は、あんなにお互い小さくて桜の木がすごく大きく見えたのにね、お互いこんなに大きくなっちゃって」と桜が言った。
俺は、笑みを浮かべながら、
「桜は昔の方が可愛かったな!!顔は変わったけど、強さは変わらないなぁ」その瞬間、桜は俺の頬をつねって、
「ハルはいつまでたっても弱虫なくせにぃ!!誰がいつも助けてやってんですかぁ??3秒以内に答えなさぃ」
「はぁ??いつもお前に泣かされたんだろぅが!!このいじめっ子」と言って、桜の頭をコツンと叩いた。夕日が落ちそうになっていたので、二人でバカみたいな話をしながら桜の木を後にして帰った。
春休みの終わり頃、俺は友達の洋介と和樹と一緒に春休みサヨナラパーティーをしていた。和樹は桜と同じく、昔からの幼なじみで、洋介は高校に入って初めてできた友達だ。
そんな仲のいい3人で、お菓子を食べながら、残りの高校生活について話をした。 洋介が
「お前らこれから進路どうすんだ??」と言った。
先に口を開いたのは和樹だった。
「まぁ俺は大学行ってハーレムに過ごすかな、ハルわぁ??」
「俺は・・・・・・・・・まだ決まってなぃ」本当は看護士になりたいと思っていた。
今までずっと病院にいたから、今度は俺が苦しんでる人を助けたいと思っていた。だけど、なんか恥ずかしかった。「洋介は??」とっさに洋介に聞いた。
「俺は好きな人と結婚して、のんびり暮らせたらそれでいぃんかな」
以外な答えに俺と和樹は笑ってしまった。洋介は照れながら
「こんな夢で悪いかコノヤロー」と言って顔が真っ赤にしていた。
顔を真っ赤にしている洋介に和樹が
「そんで好きな人は誰なわけ??」
洋介は少し考えて
「・・・・・・・・水木桜」
沈黙が続いた。
なぜだろぅ。なんか悔しい。
「じゃあ告白しちゃえよ!お前なら付き合えるって」がむしゃらになって言ってしまった。
「マジ!!告白してみよっかなぁ♪サンキュー!」そんな洋介の言葉にイラッとしてしまった。
洋介の家から帰る途中、
「お前桜のこと好きなんじゃないの??」和樹が言ってきた。
「はぁ??なぁに言ってんだょ!!俺が桜を好きならとっくに付き合ってるょ!洋介とお似合いじゃん♪」俺は桜に恋愛感情があるわけではない。でもいつも一緒にいたから・・・。
「そっか、ならいぃんだけどな!お前らかなり仲良いから気になっただけだょ♪」
「・・・」俺は何も言えなくなった。和樹とも
「じゃあな」とあいさつを交わし家に向かっていると、無性に桜の木を見たくなった。
「春も終わるし、桜が散る前に見に行くか」そう思い、桜の木へ向かって歩いた。歩いていると、騒いでいる声が聞こえた。桜の木の近くだ。
歩いていたが不安になり走り出した。
すると、その桜の木の前で20代の若い人が団体で花見パーティーと言って、タバコを吹かし、酒を飲みながらやりたい放題やっていた。
すると一人の男が桜の木にタバコの火を押し付けた。それを見た瞬間、体が勝手に動いた。
彼らの前に行き、声を震わせながら
「な、なにをやってるんですか??」足がかすかに震えていた。
「あぁ??俺らが楽しんでんのに、てめぇに邪魔する権利あんのか??」
俺は一瞬桜の木を見た。その桜の木が泣いてるように見え、
一気に恐怖が無くなった。
「俺が守ってやる。」そぅ小さく呟いて、
「ここはあんたらの来る場所じゃねぇ!!早く帰れよ!!」
「へぇー君いぃ根性してるね!俺らとやるってか??ガキが何言ってんだ!笑」
俺は無我夢中になってしがみついた。
何度も殴られ、振り飛ばされたりしても俺はしがみついた。
「俺が・・・守って・・やるから」
「気持ちわりぃな!行くぞ!!」そぅ言ってこっちを見ながら帰って行った。
俺は意識がもうろうとしていた。
すると、遠くから
「ハル??」かすかな小さな声がだんだん大きくなって、誰かに抱えられた。
ぼやける目をパチパチさせていると相手の顔がようやく見えた。
「・・・桜」
桜は目に涙を浮かべていた。
「大丈夫??ハル・・すごいよ!!」そうすると、遠くから
「ハル??」かすかな小さな声がだんだん大きくなった。そして、誰かに抱えられた。
ぼやける目をパチパチさせていると相手の顔がようやく見えた。
「・・・桜」
「大丈夫??ハル・・すごいよ!!」その時、桜の目から涙がポツリとこぼれた。
桜が泣いてるのを見たのは初めてかもしれなぃ。
「なんで泣いてんだよ??」と聞くと、桜は涙を吹きながら
「ぅちね、見てたの!本当はハルが来る前からあの団体が騒いでるの見てたの!でも怖くて注意できなくて近くの木に隠れて見てることしかできなかった。・・・そしたらハルがすごぃ目で走っていって・・ぅち、あんなハル見たの初めてだった!!あんな強いハル見るの初めてだった!!喧嘩は弱いのわかってるけど気持ちは強かった!
そして、初めてハルに泣かされたょ??」
その言葉を聞いた瞬間、俺も涙がでてきた。
「俺が泣き虫なのは変わらないけどなぁ」
桜は涙を流しながら笑っていた。そして、桜の涙が頬をつたって、ゆっくりと落ちて俺の口の傷口に当たった。
「痛っ・・・!!」とてもしみた。
「それは、ぅちの魔法の薬!!すぐ治るよ」
何故だろぅ・・・・・・・・・ドキドキした。
好きなのか?あの涙を見てから桜の顔を見るのがとてつもなく緊張した。
「一緒に帰ろう!」桜はもぅ泣き止んでいた。俺も笑顔で
「おぅ!!」と答えた。
桜の木から何メートルか離れてからもぅ一度振り向いて、桜の木を見た。
「俺、桜が好きなんだな」そぅ語りかけると、桜の木は嬉しそぅに揺れているように見えた。次の日、俺は傷だらけの顔に絆創膏を貼って学校に行った。
「お前その顔どぅした!?」朝からどのくらいこの言葉を聞いただろう。
教室入ってからも和樹と目が合った瞬間嫌な予感がした。
「お前その顔どぅしたんだ??」
やっぱりそぅくると思った。
「何でもねぇよ!!」説明なんかできるわけない。昨日のことを思い出すだけでにやけてしまう。
すると、また和樹が
「あのさぁ」と言ってきたが、和樹が喋ってる途中にまた傷のことだと思ったけど、
「だからなんだょ?」と機嫌悪そうに言うと和樹の目線は、桜の席にいった。そのまま俺も桜の席に目をやると・・・桜がいなぃ。そして、洋介もいない。「洋介が今日告白するって言って、桜を連れ出してどっかに行ったぞ!!」和樹がちょっと不安そぅに言った。
俺は焦りはじめた。二人を探そうとした。しかし、桜と洋介は笑顔で教室に戻ってきた。桜の笑顔を見る限り幸せそぅだった。桜と目があったが、俺はすぐに目をそらした。
急に不安になった。洋介は優しい、顔もいぃ。彼女がいて当たり前だと思われるくらいだ。
洋介が俺のとこにきて、
「ハッチのおかげで告白できたぜ!!答えはまだ聞いてないけど、俺は幸せにしてみせる!!」そんな男らしい言葉が心に響いた。
俺はどぅせ男らしくなんかない。ただの弱い男だ。そう思うと昨日ことを考えると逆に辛くなった。
その夜、桜からメールが来た。
「会えないかな??8時30分に桜の木で待ってる!!」
俺は不安になりつつも、走って桜の木へ向かった。
桜の木にたどり着くと、桜笑顔で立っていた。
「何かあったの??」投げやりに聞くと
「今日ね、洋介君に告白されたの。付き合っていぃと思う?」
この言葉にカチンときた。
「そういうのって俺に聞くもんじゃないだろ?桜が付き合いと思うなら付き合えば??まぁ元気だけがとりえの桜なら洋介が似合ってんじゃない?幸せにしてもらえよ!俺のことそれだけで呼び出したの??くだらないね!こっちだって忙しいんだょ」
俺は何を言ってんだ。こんなこと言いたくないのに。
「・・・」桜は黙っていた。数分して
「俺帰るね」
そぅ言って帰ろうとした。
その時、桜が泣いた。今度は嬉し泣きなんかじゃなかった。
桜の悲しそうな顔、辛そうな表情は一目みただけで分かった。
「そうだよね!いきなり呼び出してごめん。ぅち幸せになる!」
それだけ言って走って言った。桜は俺が好きっていうの待っていたのか?それとも応援してほしかったのか?
もぅ何も分からないなってきた俺は桜の木の前に座った。
「俺はどぅすればいぃ??」問いかけても何も答えてくれない。そして、俺の恋が終わった。春の終わりに散っていく桜の花びらのように、なにか大切なものを失った。あれから1ヶ月くらいたち完全に桜が見えなくなった頃、俺は桜の話すことをしなくなっていた。
未だに洋介と付き合っていて、毎日お昼ご飯を一緒に食べていた。
桜は俺のことは何も考えてなんかいないだろう。だけど、俺の心の傷はまだ残っていた。悔しさと後悔の気持ちでいっぱいで、桜のことしか考えれない。遂1ヶ月前まですごく仲が良かったのに、今はまるで他人のようだ。
俺は後ろの席から洋介と楽しく話をする桜を見ることしか出来なかった。
「全くぅー見てらんないなぁ♪安木知治君!!」桜の友達の芳江だ。
「うるせぇなぁ!!あっち行けよ!おばさん!」芳江は高3のわりにはふけている。
「どぅせ桜が好きなんでしょ??」
ドキっとした。
「ばぁか!!俺が桜を好きなわけねぇだろ!あんな強がり女は洋介しか好きなんねぇよ!」
「どぅだかねぇー最近ハル元気なぃぞ!」和樹も会話に入ってきた。
「お前らに関係ないだろ!!」強がることしかできなぃ。
「ハルは我慢すると涙目なるから一発で分かるょ!」芳江が笑いながら言った!!
「なんかあったら俺でも芳江でも頼れよ!!俺らは味方だぜ!」今の俺にとって、この二人の言葉がとても嬉しかった。
「ありがとうな!でも今桜が幸せならそれていぃんだ!洋介なら幸せにしてやることができる!桜さえ幸せなら俺も満足だ!」
気持ちが楽になり、俺にはいい友達を持っていると思い、また涙目になった。
その日の帰り、俺は見てはいけないものを見てしまった。
洋介が桜ではない、他の女の子と歩いていた。まさかと思い後をつけてみると、誰もいないよぅな公園に入って、キスをしていた。
「あ、あいつ何してんだょ。」
洋介は浮気をしていた。信じられなかった。俺は何も言葉に出来ずに帰った。
家に着いた途端、怒りがこみ上げてきた。
「ふざけるな、桜をなんだと思ってんだ!許せなぃ。」
いくら気持ちが弱い俺でも、この時だけでキレた。
電話で洋介を呼び出し、
10分くらいしてから洋介は何食わぬ顔で表れた。
「やっほぅ♪いきなり呼び出してどぅしたんだょ??悩みでもでたのか??」
「・・・・」
「おーい!ハル!聞いてんのか?」
「お前、浮気してんだろ??今日知らない女とキスしてたろ??」
洋介はちょっと驚いた顔をした後、冷静に答えた。
「バレた??確かにあれは桜じゃない!!違う女だょ!」と笑いながら言った。
「お前・・・桜をなんだと思ってんだ!お前桜を幸せにするって言ってたじゃねぇか!なんで浮気なんかすんだょ!桜がどんだけ傷つく思ってんだよ!!!!!!!!!!!」
そぅ言って俺は殴りかかった。
洋介を押し倒して何度も殴った。
洋介は、なぜか抵抗しなかった。
「好きだょ、桜のこと好きだょ。桜のこと好きだけど、桜はお前の事が好きだ!」
俺は、あ然とした。
「お前な、くだらねぇ理由つけるなょ!」
そう言った瞬間、
「お前に俺の気持ち分かるかよ!!俺はどれだけ辛かったか分かるかよ、毎日毎日桜とご飯食べても、デートしててもお前の話しか出てこない。ハルは昔から泣き虫だとか、ハルは喧嘩弱いとか、ハルは不器用だけど優しい奴だとかそんな話されて俺はどぅすればいぃ??」俺は、信じれなかった。そんな話信じたくなかった。
「ハル?お前気付いてないだろ??俺に見せてる笑顔と、ハルと一緒にいる笑顔全然違うこと気付いてないだろ?桜を心の底から笑顔に出来るのはお前しかいないんだよ!!俺は多分そろそろ振られる。それが怖くて浮気してしまった。ごめん!」
洋介の目は嘘をついていなかった。真っ直ぐ俺だけを見ていて全て本当のことだと分かった。
「そうだったのか。」 俺は洋介を立たせて謝ろうとした。
だけど、
「俺に何か言う暇あったら今すぐ桜のとこに行けよ!!ハルの気持ち伝えて弱い男じゃ無くなった証拠見せてみろよ!!」と洋介が言った。それに対して、俺はゆっくりと頷き、走ってその場を後にした。
走っている最中、もう洋介が浮気したことなんて、どうでもよかった。俺は
「桜・・・・ごめんな」そう呟いて全力で走った。
桜の家には向かわず、まず桜の木に行こうと思った。
桜の木がだんだん見えてくると、誰かが立っている。
「桜??」俺は足を止め、ゆっくりと桜の方に歩きだした。
桜もようやく俺に気付いて、
「ハル??なんでここにいるの??」
相変わらず笑っていた。
「ちょっと桜に話があってな」
「洋介のこと??」
「ぅん」
「洋介・・浮気してたんでしょ??」
「え?」
何で桜が知ってるんだ?俺は不安になりつつも、
「ぅん、でも何で桜が知ってるの??」
桜は・・・少し考えて
「ぅち、知ってた。洋介が前から浮気してたの知ってたよ。」
「何で洋介に言わなかったの??」
「・・ぅちが悪いから、ぅちね・・ずっと・・」
桜の声が震えていた。
「ずっとね・・」次の言葉を言いかけた瞬間、俺は桜を抱きしめた。
「もぅ何も言わなくていいよ。分かってるから、桜の気持ち分かってるから。」
「ハル・・・ごめんね。」桜は、今にも泣きそうになっていた。
「桜に先に言われてたまるかよ!!笑 桜?俺、桜の事が好きだ。この桜の木の下で、桜に告白するのが夢だった。謝るのは俺のほうだ。ごめん」
桜は、笑っていた。
洋介が言っていた桜の笑顔。今考えると確かに、桜の笑顔は洋介に見せる笑顔と違って、俺に見せる笑顔が特別に最高だ。 「ぅちも好き!!でも、桜が咲いてる時に告白してほしかったなぁ♪ハルが鈍いから悪いんだぞ!!」
「うるせぇ−!!」
俺は、必死に涙をこらえていた。
今日で、泣き虫は卒業だ。俺と桜はベンチに座り、手を繋いだ。桜が咲いてる頃は、手を繋ぐなんて考えもしなかった。
「あっ!!いい事考えた!!ちょっと来て!」桜は急に立ち上がり、俺を桜の木の裏に連れて行った。
下に落ちている石で、相合い傘を書いた。
「いい感じでしょ??」
「桜・・・相変わらず字汚いな。」
「えぇーーー!?ひどぃ!!桜の力作なのにぃ」
「はいはい、良くできました!!」そう言って桜の頭をなでた。
その相合い傘を書いた横に、タバコの火が押し付けられている後があった。
「あ、あの時の・・」
すると、桜が鞄から絆創膏を取り出し、その部分に絆創膏を貼った。
「これでOK♪」
「ぅん!ありがとな」
「桜が咲く瞬間、二人で見にこようね!!きっと満開の桜を見ることが出来るよ!」
「そうだな!約束!!」
そう言って、指きりげんまんをした。
そうして、少し照れながらも一緒に帰った。毎日毎日幸せな時間を過ごしている。
「俺はなんでこんなに幸せなんだろぅ。」そうつぶやきながら学校の帰り道桜と一緒歩いていた。
夏休み前ということもあって浮かれていた。
桜に冷たい目線で見られていても幸せな気持ちで溢れてきっていた。
「ちょっとハル!!近づきすぎ!!近いょ!!」
「ばぁか!付き合ってんだから当たり前だろ!!」
桜は少し照れた表情を浮かべて
「それよりも、夏休み補習しなくていぃためにもちゃんとテスト勉強してんでしょうね??」
「・・・・・・・。」
テストがあるという事を忘れていた。
「だ、大丈夫だょ!!楽勝だぁ♪」
冷や汗をかきながらもなんとかごまかした。
「もぅ!!夏休みは遊園地いく約束なんだかんね!!補習でつぶれたらどうなるか分かるよね!?」
幸せな気分から一気に複雑な気分になった。
俺は帰ってから必死に勉強をした。
赤点を取らないために、桜と遊園地に行くために。
結果は・・・最悪だった。桜は俺の顔を見た瞬間、不機嫌な顔になった。
「ハル君赤点とったんでしょ??」
なんだか桜の表情が怖い。
「ごめんなさい!!でも頑張って勉強したんだ!!ちゃんと補習終わったら遊園地行くから許して下さい!!」
桜は無表情だった。
「ぅちがどれだけ楽しみだったか分かる!?バカ!!もぅ知らない!!」
桜は怒って教室をでていった。
「ドンマイ!!」
和樹と洋介だ。
「しょうがないって!なんなら俺らと遊園地にいきましゅか??」
ちょっと腹がたった。
「うっせぇな!お前らと遊園地行くよりなら家で鼻ほじりながらテレビ見てた方がマシだ!!」
みんな爆笑してる中桜の後を追うために教室を出た。
自転車をこいでいると桜は一人で歩いていた。
「桜!!」
桜は聞こえないフリをして歩いていた。
「桜ちゃん!?桜っぺ!!」
何度呼んでも無視された。
何も喋らず桜の後ろを自転車を押しながら歩いていると、
「ぅちの機嫌直してくれなきゃもぅハルに会わない!!」
そういわれて、すぐに桜を自転車の後ろに乗せて、あの場所に向かった。
桜の木。
だが、桜の機嫌が直らない。
「機嫌直んないょ。桜咲いてないもん。」
そこで俺はある決心をした。
「じゃあ目閉じて桜が咲いてるのを想像して??」
桜はいじけ気味に目を閉じた。
そして、キスをした。少しあたりが暗くなった夕焼け空の中で桜と初めてキスをした。
「・・・・・ちょ・・バカ!!な、何してんの??」
桜の顔は真っ赤だった。
「ほら♪桜の顔に桜が咲きました♪」
そう言った瞬間二人で大笑いした。
お互い照れながらも笑顔に満ち溢れていた。そして、桜の不機嫌は吹っ飛んだようだ。
遊園地は行けなかったものの、夏休み後半は夏祭りに行ったり、二人で勉強したりなんかして楽しく過ごした。
この夏は忘れられない思い出になった。
秋になり、少し寒くなってきた。
休日に寝ながらテレビを見ていると、桜からメールがきた。
「二人でホムペやらない!?(`ε´)」
「ホムペ!?全然いぃよん♪」
ホムペとかあまり興味無かったがとりあえずやる事にした。
何で顔文字が怒ってるのかは、分からなかった。
すると、桜が作った二人のホームページが送られてきた。
ホームページの名前は、
「ハル桜の木」
なんか嬉しかった。
「ちゃんと毎日書くんだぞ♪♪」
桜からのメールにすぐ返信した。
「当たり前だろ!!二人の幸せなホムペだもんな♪」
返信した後、すぐ日記を書いた。桜の日記には、いろんな事が書かれていて、最後に
「幸せ」と書いていた。
俺は、
「桜よりも俺の方が幸せだ!!」とニヤニヤしながら書いた。
そんな幸せな毎日が続いていた。
桜と俺は本当に毎日幸せで仕方がなかった。
ただ、お互いホムペとかあまり長続きするタイプじゃない。
1ヶ月くらいしたらちょくちょくしか日記は書かなかった。最近は会ってもあまり出掛ける事はなかったが久しぶりにデートに行くことになった。
二人で街を歩いてあると
「ねぇ!カラオケ行こうよ!」と桜がハイテンションで言ってきた。
・・・まずい俺はめちゃくちゃ音痴だ。
「い・・・いぃよ。」
桜の誘いを断ると後が怖くて断れなかった。
だけど、実際桜の歌聞いてみるとめちゃくちゃ音痴だ。
「わぁーぅちはなんて歌上手いんだろぅ♪それに比べてハルはめちゃくちゃ音痴だね!」
「すみませんね!!」一瞬イラっときた。
だけど桜が楽しんでるならそれでいぃ。
「ねぇねぇ!SMAPのオレンジ歌って♪」
いきなり桜からリクエストがきた。
「いぃけど俺めちゃくちゃ音痴だぞ!」
「いぃの♪ハルが歌ってくれたら嬉しいもん♪」
「任せとけ!!」
歌いはじめて俺はめちゃくちゃ音痴だということが恥ずかしくて桜を気にせずに熱唱した。
「やっぱりこの曲いぃね♪ありがとう!」
一瞬桜の目がウルウルしてるように見えた。
だけどあまり気にならなかった。
「いつでも聞かせてやるょ!!」
「じゃあぅちが聞きたいときに絶対歌ってね♪」
「分かったよん!」
その後プリクラをとったり焼き肉を食べたりして、楽しい1日を過ごした。
桜を家に送って、帰ろうとしたとき、突然桜が玄関から
「ねぇ!?」
「ん??」
「ぅちらずっと一緒だよね!?」
いきなりの質問に俺は困った。
「ばぁか!!当たり前だぁ♪俺と桜はじいちゃんばあちゃんになってもずっと一緒だよ!!なんかあったらいつでも助けるよ!!」笑顔で答えた。
「ありがとう!気をつけて帰ってね♪」 なぜか桜が家に入る姿が悲しそうに見えた。
そして冬が近づいた秋の風が体を震わせた。
ある日、学校に行くと芳江が思いっきり俺の頭を叩いた。
「あんた!!桜になんかした!?」
「へ??」
わけも分からず桜を探すといつもの席に桜の姿がなかった。
「桜が学校休むなんて前代未聞だょ!!」
「ばぁか!!風邪ひいたんじゃないか!?誰でも風邪くらいひくでしょ!!まぁ芳江みたいなバカはひかないけどな!笑」
芳江はもぅ一発俺の頭を殴って席に戻った。
少し心配になって一応メールしてみた。
「風邪ひいたのか!?」するとすぐに返信がきた。
「ぅん。まさかぅちが風邪ひくなんてね!笑」
風邪と聞いて少し安心した。
「まぁ今日はゆっくり休めよ!!大事な体だもんな♪」
そうメールして桜がいない学校を過ごした。
その帰りに桜の家にお見舞いしにいった。
すると桜のお母さんがでてきた。
「あれ??ハル君!!久しぶりね♪」
桜のお母さんは俺が入院してるときからお世話になっている。
「こんにちわぁ。あの、桜さん居ますか!?」
「桜今病院なのょ!!もぅ少ししたら帰ってくると思うよ♪あがっていきなさい?」
「いえいえ。大丈夫です!!一応顔見に来ただけなんで、桜ならすぐ元気になると思うので大丈夫です!」
「あらそぅ??じゃあまた今度いらっしゃいね♪」
帰ってる最中、病院帰りの桜にばったりと会った。
「桜!!元気そぅじゃん!!明日から学校くるの!?」
桜は笑顔で
「もちろん♪当たり前でしょ!!ゴホッゴホッ」
桜の咳が気になった。そして一瞬だが、薬が見えた。ぜんそくの薬を持っていた。
「桜。ぜんそくもちだったっけ!?」
「え??なにいってんの??ただの風邪だょ!!それよりも今日は寒いから早く帰りな♪じゃあね!!」
ちょっと強引に桜は帰っていった。
あの桜の咳、俺のぜんそくの咳に似てる。体調もそんなに元気そうではなかった。
俺はとても不安になった。
次の日から桜は学校にきたが、ずっと咳はしてるしちょくちょく学校を休むようになった。
それから俺は毎日お見舞いに行くようになった。
そんな日が続いて冬がやってきた。いつものように桜のお見舞いにいった。
「いつもごめんね!!なぁんかこの風邪しつこいんだよね!!全くぅ♪桜様に喧嘩売りやがって!」
俺は思いきって聞いてみた。
「桜・・・・本当は風邪じゃないだろ?」
「もぅ!なに心配してんの!?心配性だね?」
「似てんだよ!俺がぜんそくだった時と、体調も悪いし咳が止まらない。学校も来れないじゃんか!!隠すなよ??」
「ぅちがぜんそくなわけないでしょ!?なんで疑うの!?」
「疑ってなぃよ!!ただ・・心配な・・」
「もぅいぃ!!帰って!眠いから寝る。」
「・・・桜」
俺は何も言えずに帰った。
すると
「ハル君!!」
桜のお母さんだ。
「話があるの。」
「なんですか!?」
「桜は風邪って言ってるけど違うの!ぜんそくなの。症状がでたのは最近だけど実は昔から桜もぜんそくだったのょ。」
「ぇ??」
言ってる意味が分からなかった。
「今まで全く咳はでてないんだけど、昔はハル君と同じくらい咳でてたのょ??でも子供の頃ハル君だけには言わないでって言われてたの。ハル君のお見舞いいった後も家に帰ってからずっと咳もしてた。体調が悪いときもハル君のお見舞いには行くっていつも張り切ってたのょ??本当に最近からまた症状がでてきて、私もびっくりしてるの。」何も言えなかった。桜が昔からぜんそくもちなんて知らなかった。俺の中では、昔から体が強くて俺をいじめてた桜が、俺と同じくらい重いぜんそくをもっていたなんて信じられない。
「そぅだったんですか。」
「隠してごめんなさい。あの子にとってハル君は特別な存在なのょ?同じ病気抱えていて辛いときは私が助けるんだって今でも言ってる。それ程ハル君が大好きなのょ。だから許してあげて?」
涙がでてきた。
なんでだろぅ。
桜が重いぜんそくをもちながら俺を励ますために毎日お見舞いにきてたなんて。
俺はなんで気付いてやれなかったんだ。
そして俺は何をしてやればいぃんだ。
俺は何も言わずにその場を立ち去った。全力で走った。
雪チラチラと降ってる中俺は走った。
久しぶりに桜の木の所にきた。
「なぁ???俺どうすればいぃ??桜を助けたいよ!!教えてくれょ!!桜の木!!!!」
桜の木に雪がかぶさってなにか苦しそうに見えた。何も答えてくれない。
まだ涙は止まらない。
「桜のバカやろーーーーーー。なんで隠してたんだ?なんで?なんで俺を励ましてきた桜が俺と同じぜんそくもってんだょ!!なんであんなに強い姿見せる事できたんだょ!?辛かったはずなのに・・・・これ以上症状が悪化しないでくれ・・頼むから!俺が今度は励ますから!!だから桜の木も桜を助けてくれ!俺の大事な人を・・・助けてくれ。」
それから俺は桜の木の下で立ち尽くしていた。
次の日、桜は入院した。
俺は迷っていた。
桜に会っていぃのか、分からなかった。
だけど自然に病院に向かっていた。
そして驚いた。桜の病室は昔俺が入院していた部屋と同じだった。
401号室、窓からは桜の木が見える。
ドアを開けて見えたのは意外にも元気そうな桜だった。
「ハル!!来てくれたんだ♪ありがとー!!昨日はごめんね。」
「うん。俺こそごめんな!!」
「あのね・・・ハル。」
「言わなくていぃ!」
俺は桜が言うことは分かっていた。
「もぅ大丈夫♪今までよく一人で頑張ってきたな!!だけど次は俺が桜を励ます番だ♪今度は俺が桜に強い俺を見せる!俺だけじゃない!桜の木も一緒だ。大切な人を守るのは当然だもんな!!」
桜は泣いた。ベッドの上で俺でしがみついて泣いた。
俺は涙がでそうなのを唇を噛んでこらえて力いっぱい抱きしめた。
「ありがとう。ハルは神様みたいだね♪ハルはぅちの神様だょ!!ぅちを助けてね♪」
「当たり前だ!!言ったろ!?じいちゃんばあちゃんになってもずっと一緒だって!?」
「違うょ!!天国にいっても一緒だもん!!」
俺の桜をほっぺをつねって笑った。
「春になったらまた一緒に桜の木見に行こうな!?」
「ぅん!!約束!!」
そして、それから毎日毎日お見舞いにいった。桜のために吹雪がきてもお見舞いにいった。
12月23日、俺は桜のお母さんに呼ばれた。
「今お医者さんから話聞いたわ。桜結構症状重いらしいわ。だからもしひどい咳が止まらないときは危険かもしれないって・・・」
桜のお母さんは泣きながら話してくれた。
「大丈夫ですょ!!桜にそんなことあるわけないじゃないですか!?桜は強いんです!!桜は絶対また元気な桜に戻ります!それまで俺が桜を励まします。」
「ハル君・・・あの子を助けてあげて。」
俺は前みたいに不安なんてなかった。
昔、桜が励ましてくれたように俺が励ませば絶対に元気になるはずだから。
病室に戻ると桜は寝ていた。
俺は帰る準備をして片付けをしているとベッドに桜の携帯が開いたまま置いていた。
その携帯を見ると宛先のないメールを桜は送ろうとしていた。
「死にたくないよ。神様・・・助けて下さい。私はまだハルと一緒にいたい。まだ幸せを半分しか実感していません。死ぬのが怖いです。だから助けて」
本文にそう書かれていた。
俺はその本文に
「分かりました。絶対に助けます。」と打って桜の枕の横に置いて帰った。
12月24日、桜は元気がなかった。
「今日は元気ないね??」と聞くと
「ぅん・・・今年はサンタさんこないのかなぁ・・・」
俺はプッとふいてしまった。
「なによぅ!?笑ったなぁ!?!?」
「桜がサンタさんなんて子供みたいだね!!」
「うるさぃ!!どぅせ来ないもん!!」
「大丈夫だょ♪絶対くるからちゃんと信じなさい!!」
「・・・はぁい」
その日、どぅすれば桜が明日喜ぶかずっと考えていた。
そして、12月25日。
先生の許可を得て桜を桜の木に連れて行った。
「ハルー寒いよぅ!!なにするの!?」
俺は桜の木を指差して
「なんか後ろの絆創膏膨れてない!?」
「えっ??」
桜は驚いた顔で絆創膏が張られてる場所に走った。
俺はニヤニヤしながら桜を見ていた。
絆創膏をめくると小さな袋が落ち着いていた。
その袋を開けてみるとひとひらの桜と桜の形をした指輪が入っていた。
「そのひとひらの桜は俺が入院していたときの桜だょ♪もぅ枯れてるけど昔桜と一緒に落ちてくる桜を取り合って、俺がやっととったやつ!俺にとってはすごい大切なもの、そしてもうひとつは指輪だょ!!喜んでくれた?」桜は無言でこっちを見つめていた。
「ダメだった??」
「ダメじゃなぃ!!嬉しすぎるょ♪ハルありがとう!!人生で最高のプレゼントだょ♪ありがとー!!だぁいすき!!」
「どぅいたしまして!」
桜の木の下でキスをした。とても寒くてあまり感覚はなかったけど俺はとても嬉しかった。
「来年も桜の木の下でクリスマス過ごそうな!?」
「ぅん!!」
桜は最高な笑顔で答えてくれた。
12月28日、うるさい芳江とクラスの友達がお見舞いにきた。
「桜がいないと学校つまらないょ。早く退院してね!!また一緒に騒ごう!!」
「よしぇ・・・・桜嬉しいょ。ありがとー。」
なぜだろう・・・日が追うごとに不安な気持ちがでてきた。
来年は元気な姿で毎日過ごせるのだろうか。
桜とずっと笑いあえるかな。
症状が悪化したらどうすればいぃんだろぅ。
でも今そんな事考えてる暇はない。
今は桜に元気を与える事が俺の出来ることだ。
年が明けた。
年が明けてから桜の体調が悪くなってきた。
ひどい咳が続き、俺と話すのもつらそうだ。
「桜!頑張れ!!大丈夫!!絶対良くなるから♪辛いのは今だけだょ!!」
「ゴホッゴホッ・・・ありがとう・・頑張る・・ゴホッゴホッ」
最近はずっと桜の手を握って辛そうな桜を見つめてるだけだ。
最近は食べ物もあまり食べない。
そして俺が病室に入るとき、桜は必ず窓の方を見つめている。
「桜。お茶飲めますかぁい!?おいしいお菓子も買ってきたよ!」
「ありがとー!!食べる食べる♪」
辛そうに食べるのは明らかに分かる。
すると桜が
「ねぇ!?」
「どした!?」
「もしぅちが死んだらどうする!?」
「ばぁか!!んなわけないだろ♪桜が死んだら神様殴る!!一緒に春に桜の木見るんだろ!?」
「そぅだよね♪ごめんなさぃ・・」
「桜の木だって支えてくれてるだろ!?だから絶対負けたりしたらダメだょ!?」
「ぅん!!絶対負けないよ!!ぅち強いもん♪この桜の指輪があれば大丈夫!!」
「特別な力ある指輪なんだからなぁ!!」
久しぶりに元気な桜と話して嬉しかった。このまま2月も過ぎて3月。
春がやってくる季節。
体調のいい日は一緒に桜の木を見に行ったりしてたが、3月に入って体調のいい日はなぃ。
ひどい咳と具合が悪い日が続いて、ベッドからでるのも辛いくらいだった。
俺はお見舞いにいきたくなかった。これ以上弱っていく桜を見たくない。
その日、俺はお見舞いに行かなかった。
次の日、病室に行くと桜はいなかった。
病室をでると、桜のお母さんがいた。
「桜は集中治療室に移ったわ。なんで昨日来てくれなかったの!?桜ずっと待ってたのょ!?」
「すみません!俺これ以上桜が弱っていく姿みたくないんです。」
パチン!!
桜のお母さんにビンタされた。
「なにいってるの!?!?あなたは何んのために今までお見舞いに来てたの!?助けるためじゃないの!?元気あげるんじゃないの!?あなたが元気あげないで誰が元気あげるの??」
「もぅやめなさぃ」桜のお父さんが止めに入った。
「すみません。」
「桜はね、昨日ずっとハル君の名前呼んでたの!!ハル・・ハル・・一人はやだょって。あんなに強い子がここまで弱い姿を見せれるのはハル君だけなのょ??ハル君が入院してた頃あの子が寂しい思いさせないために毎日来てたのよ!?次は俺の番だって言ってたじゃない!!早くいってあげなさい!ハル君を待ってるから。」
隣にいたお父さんが
「ハル君。私たちはもぅ覚悟はできてる。だけどもし、これから桜が元気になれる薬があるとしたらそれは君の存在だ。君の存在が桜の生きる価値なんだょ!!行きなさい。」
桜のお父さんもお母さんも泣きながら話した。
「分かりました!!」
俺は泣きながら桜のいる所へ向かった。
ドアを開けてみると桜は苦しそうにしていた。
「桜・・・ごめんな・・俺桜の弱ってる姿みたくなくて、最後の最後に逃げた。俺やっぱり強くない。桜のためになにもしてやる事ができなかった。だけどまだ桜と一緒にいたいんだょ!まだやりたいことが山ほどあるんだょ!だから頑張ってくれ!!」
すると桜は手を握ってきた。強い力で握ってきた。とても暖かい。
苦しみながら桜の目が涙がポツリと落ちた。
「ハル・・・ハルは強いょ・・ハルとまだいたい。だけど・・・ごめんなね。最後のお願い聞いてくれる!?」
「お願い!?」
「ぅん・・集中治療室じゃなくて401号室に戻りたい!ハルが昔いたあの病室に戻りたい。窓から桜の木がみたぃよ・・」
「・・・桜」
俺は桜のお母さん、お父さん、医者に事情を説明して401号室に桜を戻してもらった。
桜は未だに苦しんでいる。
するといきなり桜が必死に口を開いてSMAPのオレンジを歌いだした。
「人並みの中でいつの日か偶然に出会える事があるのならその日まで、さよなら僕を今日まで支え続けてくれた人、さよなら今でも誰より大切だと思える人、そして何より二人がここで共に過ごしたこの日々を隣にいてくれたことを僕は忘れはしないだろぅ。さよなら・・消えないように。ずっと色褪せないように。ありがとぅ。ハル・・・」
みんな泣いている。
だけど俺は泣かない強い俺を見せるんだ。
「桜!!頑張れ!!まださよならなんかしゃないょ!!」
どんどん症状が悪化していく。
「桜!桜とまた桜の木みたいんだょ!笑顔みたいんだょ!元気な姿をみたいんだょ!!まだ早いょ!!俺の元気全部やるから!!ダメだって!!」
桜の目が閉じていく。
そして桜が死んだ。
俺は必死に泣くのをこらえた。絶対に泣かないって決めていた。
でも無理だった。
涙がどんどんでてくる。
「桜・・・よく頑張ったな。」
俺の涙が桜の人差し指につけている指輪に落ちた。
葬儀の時、俺は桜の部屋にいた。
そして、色んな事を思い出していた。
ふと思い携帯をとりだしてハル桜の木の二人のホムペを見た。
するとなぜか桜が死ぬ2日前の3月20日に日記が書かれていた。
「なんで・・」
見ようか迷ったがその日の日記を見てみた。
すると
「ハルへ。まさかうちが死んじゃうなんてね♪笑 ハルを置いて先に死んじゃう桜を許して下さい。助からないって分かってた。でも逆にハルがいたから、うちはここまで生きれたと思う。
本当にハルに出会えて良かった。もっとハルとしたい事があった。じいちゃんばあちゃんになってもずっと一緒にいる約束守れなくてごめんなさい。生まれ変わったらまたハルに会いたい。またハルと色んなことしたぃ。
大好き。今日ハルはお見舞いに来なかったのは、うちが弱い姿みせてるからだよね・・・。ごめんね!でもハルは弱くなんかなぃよ!!本当に強くなった。もういじめることが出来ないのが残念!!笑 この世に神様なんかいなぃよ!!だって神様はハルだもん♪クリスマスプレゼント嬉しかった。天国でも指輪つけるからね。そして桜の花も持っていく。死にたくないよ・・・怖い。でも携帯に助けるってメール打ってくれたのはハルだよね??めちゃ嬉しかった!!本当にありがとう!!うちがいなくなっても寂しいなんて思わないで!?
うちに会いたくなったら桜の木においで!?うちはいつもそこでハルを待ってるから!こんな桜をずっと守ってくれてありがとう。幸せでした。ハルという素晴らしい人が桜という弱い人間に元気を与えてくれて毎日毎日幸せだったょ。うちはまだ戦うよ。死ぬときは頑張ってオレンジ歌うから。うちの気持ちだから受け取って!!最後に・・・・・・・・・・あなたを愛しています。」「桜・・・桜」
俺はもぅ顔がぐちゃぐちゃになるくらい泣いた。桜の暖かい気持ちが俺に伝わった。
「桜・・ありがとう。」
葬儀が終わった後俺は桜の木に向かった。
「来たぞ桜!」
ちょうど桜が咲いていていた。
そして生暖かい春の風で桜の花びらゆらゆらと揺れる。
それが桜の笑っている顔に見えた。
「桜!俺も愛してる!じいちゃんになってもここにくるょ!?」
桜の木に手を触れて桜のぬくもりを感じる。
そしてまた俺はいつもの道を帰っていく。
その後ろ姿を桜の木はいつまでも見つめていた。