強さ
あたしはゆっくりと立ち上がると、再びブローチに触れた。
すると、今度はお得意の双剣が出現した。
エルバは上から振り下ろす一撃の突きが得意。
だけれど、一発押したあとに隙が多いため、とりあえず隙を攻めていこうという作戦だ。
あたしはアザレアの横に立ち、思い切りエルバを睨みあげた。
そして、口に手を添え、息を吹きかけると、そこから炎の竜が現れた。
この子の力のほとんどがあたしの感情によってコントロールされる。
今は、冷静だ。
「赤華乱舞」
そう唱えると、竜がすごい勢いで回転し、壮大な竜巻を巻き起こした。
そして。
ゆっくりと、着実にエルバを追い込んでゆく。
それを見たエルバは鼻で笑い、こんな軽い技で攻めてくるなんて、なめられたものね!と自身の槍を思い切り握りしめ、詠唱を唱えると、エルバの周りにも大きな水の渦巻きが巻き起こった。
「さぁ、アイリス!どちらが勝つかしらねぇ!」
あははは!と笑うエルバを見て、アザレアは思い切りあたしの手を掴んで怒鳴った。
「何やってるんだよお前!死にてえのか!!!」
死にたいわけじゃない、あたしには、策がある。
そう伝えると、アザレアはふざけんな、とまた吠えた。
「俺はあいつを殺るぞ!お前を死なせたりしたくねぇからな!!」
そういうと、すばやくまた詠唱を唱え、あたしの手を握った。
すると、そこには雷が生まれ出し、真っ赤な炎の竜は、雷の竜へと変化していった。
それを見たエルバは、思い切り目を見開き、息を飲んだ。
「「いけええええ!!!」」
ふたつの竜が、交じり合った。