昔話
2016/06/05
おお、やっと来たか。待ちくたびれるところじゃったわい。
…はて。お主は何故わしに会いに来たんじゃったかのう。
おお。そうじゃったそうじゃった。
あの赤子の話じゃったのう。
はは、そうむくれるでない。
よいか。最初に言っておくぞ。
この物語を信じるか否かはお前さん次第じゃ。
なに。わしもここまで年老いてしもうたんじゃ。本当にこの物語が実話なのかどうかなんて定かではない。
かっかっか。まあまあ、そう怒るでない。その法螺話を聞くためにここに来たのじゃろうて。
まぁ、前置きが長くなってしもうたが、これからが本題じゃ。
インギュア王国は昔は本当にいい国じゃった。なんせ、王様がとても優しい人でな。人間以外のたくさんの種族からの信頼も厚かったのじゃ。
もちろん他種族同士や、王国民との恋も多かったそうな。国境を越えたたくさんの国の姫君と恋をしたり、縁談を持ち出されたり。
それくらい人々に愛されておって、国もどんどん反映していった。
そして、王も他国の姫君と結婚し、子どもを授かったのじゃ。
…じゃがのう。それが悪夢の始まりだったのじゃ。
その数ヶ月後かのう。
王の子どもが星になってしもうたのじゃ。
女王も嘆き悲しみ、王自身も本当に悲しんだ。
そこからじゃ。国自体が狂って行ったのは。