番外編 新二級守護戦士と大根の甘酢漬け。
なんでこの方がこの世界に来てるんだろう?
風見家の居間に青い長い髪を優雅に流してその人は待っていた。
可笑しいな…疲れてるのかな?
ミーダ(ペットの黒猫)がここに入ったからのぞいたんだけど…。
「真姫奈、おはよう。」
その人は麗しい笑顔を私に向けた。
ミーダはその人の髪にじゃれついてる。
「………なんでここにいるんです?そんな姿で?」
私はやっと声を絞り出した。
昨日はいなかったはずだ。
しかもなんでこんな姿で居間のこたつに入ってるんだろう?
青い長い髪の細マッチョの長身の美貌の男…合わない。
「ああ、もうあったね。」
お祖父ちゃんが部屋に入ってきた。
朝早くから珍しいな。
花山の家から来たんだ。
「サニラ、真姫奈に連絡してなかったのか?」
麗しいその人は不機嫌そうに緑茶を飲んだ。
「ええ、水の精霊王様、まさか本当に邪魔をしにくるとは…しかもそのお姿で。」
お祖父ちゃんがこたつに潜り込んで言った。
しかし…シュールだな…明らかに日本人じゃない二人がこたつで向かい合ってる…。
「サニラに聞いた、資格をとったそうだなおめでとう。」
水の精霊王様が微笑んだ。
そう、お祖父ちゃんの故郷の『塔世界』の水の精霊王様…アクアウィータから来たのか…。
「ありがとうございます。」
素直にお礼はいっておこうか?
「嫁入りは認めないが…早く唾つけとくんだった。」
水の精霊王様が呟くように言った。
嫁入り認めないのは聞いてるけど、唾つけとくってなに?
「何をいってるのです、真姫奈はヒフィゼさんのところにお嫁にいくんですよ。」
お祖父ちゃんがそういいながらみかんをむきはじめた。
「認めない、真姫奈は私のものだ。」
水の精霊王様がお茶をすすりながら言った。
よ、よくわからないな…。
なんか私に恋してるみたいに聞こえますよ?
「真姫奈、固まってないでご飯食べちゃいなさい、水の精霊王様はにげないわよ。」
お母さんが急須をもってきて二人の茶碗にお茶をさしながら言った。
とりあえずダイニングキッチンにいってテーブルについた。
ハムエッグに芋の煮物、お父さんのお弁当の残りらしいチキンの焼きカツ、自家製の大根の甘酢漬け等極々普通の雑多なオカズが並んでいる。
ご飯を炊飯保存釜からよそってとうふとニラの味噌汁をよそって席についた。
「いただきます。」
少し呆然としながらお汁を飲むと家の味がした。
「真姫奈、今日はグーレラーシャに帰るのよね。」
お母さんがダイニングキッチンに入ってきて言った。
「うん、帰るよ、ガイウスが待ってるし。」
私はハムエッグのハムを引きずり出しながら言った。
実はもう向こうの傭兵ギルド所蔵の下宿に住んでる。
結婚後は王宮のヒフィゼ部屋群で生活するか…王都ラーシャの方のヒフィゼ家の別邸で暮らすか…かんがえてみれば超玉の輿だよね。
王室にもつながるヒフィゼ家の若様だもん。
私、大丈夫かな?
「お土産持っていって、甘いものグーレラーシャの人って好きなんでしょう?」
お母さんが榛名屋のシルク生どら焼きを出してきた。
大箱保存容器ってどれだけ買ったんだろう?
「ギルドのみなさんにはこっちね。」
お母さんがもっと大きい榛名屋の焼き菓子詰め合わせセットお徳用保存容器をどんどんと三個おいた。
「お母さん…どんだけもたせるのさ。」
私はため息をついた。
「これから末長く付き合っていただくんですもの当然よ。」
お母さんがにこにこ言った。
「そうだけどさ…それより、水の精霊王様だよね。」
なんなんだろう?あれ?
「べつにヒフィゼさんと結婚するんだからいいんじゃない?」
お母さんがのんびりと言ったところでインターホンがなった。
「はーい。」
お母さんが玄関にいく。
大根の甘酢漬けをぽりぽり食べる。
美味しい…甘いからガイウスも食べるかな?
作り方教えてもらおう。
「お前が真姫奈をタブらかしたのか!」
玄関で水の精霊王様の叫び声がした!
「え?あなたは?」
ガイウスの声もするよ!
迎えに来たんだ!
私はすぐに立ち上がった。
なんでここにきたんだろう?
うれしいけど今は困るよ!




