機械達は夢を見る
哀れなrobot〈彼女達〉の夢物語。
自由を持たない彼女達が
形の無い夢で絆を繋ぎ
やがてソレをすべて失ったとき…
見えるモノだけが全てでは無いのです。
この小説は
昔の私の夢の中から抜粋。
夢から生まれた、夢の物語。
悲しくも儚い幻を、貴方に。
淹れたての珈琲が揺れるカップを運びながら、
気がつくと私は、彼に話しかけていた。
―――――「博士、「愛」、トハ何デスカ?」
それは私が持っていないもの
欲しい、わけではない
でも
いらないのかどうかは、分からない
だって、私のプログラムには、
「愛」というモノが無いから。
「必要ないさ」
薄笑いを浮かべて、彼は言う。
私を「造った」、彼は言う。
「デモ、博士」
「何だい?…まだ何か?」
「イイエ。申シ訳ゴザイマセンデシタ」
「あぁ、もう休みなさい。」
「ハイ、博士ノ仰ルママニ」
まだ湯気の上がるカップを片手に
彼はひらひらと手を振って言った。
彼の視線はモニター画面に釘付けで
私の方を振り返ることはなかった
―――――
――――
―――
――
―
科学が進歩し
多くの人間が想像し、創造する。
そんな世界の中で
一際あかぬけた才能を持つ男がいた
まだ若年にも関わらず
老博士達顔負けの
知識、技術、発想、精神。
陽の光を浴びず
外界との交わりを断ち切って生きる彼は
狂ったようにキカイを作り続ける。
そんな彼が愛してやまないのは
人間の様で、人間ではない
人の形をもじっただけのキカイ、
そう、「ヒト型robot」――――――…
高度な知識、運動能力に加え、
ヒトをはるかに超えた記憶力、思考力を持ち
肌や髪の質感まで
ヒトに似せて造られた、「私達」ヒト型robotは
製作者の
彼の命令だけを聞き、
埋め込まれたプログラムにだけ従って動く。
いうなれば、博士の下僕の様なもの。
そんな私達にただ一つ許された、
「「夢を見る」」
というヒトの様な行為。
私たちの生きる喜び
私達の動く意味
今日も私達は夢を見る。
幾本ものコードの繋がれた
冷やかなカプセルの中で
私達の思考は、静かに停止する―――――――――――――――――――…
彼女達は夢を見る。
それがどんな夢なのか。
私にも、貴方にも、
まだ誰にも分からない…。
読んでくださり、感謝感激。




