ロアセレナーデ王国
前回から一ヶ月くらい経ってしまいました。なるべく毎週更新していきたいと思いますのでよろしくお願いします。2話です。
その世界はかつて一つに統一されており争いのない平和な世の中が続く......はずだった。当時世界を統治していた王が急死し行政や治安は悪化。一つにまとまっていた世界がいくつもの「国」に分割され崩壊した。その中でも特に大きな力を握っていたのが「ネオンズ連合王国」と「ノーマルズ共和国」だった。両国は互いに領土、戦力拡大のために、周辺諸国を吸収していった。さらなる領土拡大のためにノーマルズは広大な領地を持つネオンズに宣戦布告。全世界を巻き込み数百年にも続く戦争の時代に突入していくのだった。
「じゃあその戦争も?」
「この本が予言したんじゃ。ほんとに不思議な本じゃ」
学校の図書室にもあった本。なぜ現実世界とこっちの世界で共通の本があるのかは謎だ。それに何より、
「でもどうして戦争なんて」
「そんなのワシが知りたいぐらいじゃよ。それに戦争なんてやらないに越したことはないからな」
村長はため息をついた。するとミディアムが手を挙げる。
「ではセレナーデ様に聞いてみますか?私もちょうど定期会議近いですし」
「国」はそれぞれ主権を維持するために周辺の小国や村を自国の領土として統治している。ネオンズやノーマルズも例外ではない。
「あの方なら九要の一国なので世界情勢には詳しいと思いますよ」
こんな部外者がいきなりお邪魔して大丈夫なのだろうか?そう思ったが今は現世に戻るために少しでもこの世界の情報を掴んでおきたい。
「はい。お願いします」
「では今日はもう遅いですし出発は明日にし.....」
「痛ッ!!いたいあいたいあいたい!!」
するとあの時の痛みがまた襲ってきた。しかもさっきよりも痛みが増している気がした。
「あ、すみません。あの月見紫雨、まだ未完成で一時的に痛みとか怪我が治っているように感じさせてるだけなんでした。大丈夫ですか」
よく見るとさっきまで治っていたはずの足は曲がっており、頭からは血が流れていた。
「いたいたいた!!全然大丈夫じゃないですよ!!!!アァぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「大変じゃ!!すぐに病室に運べ!」
そのまま僕は気を失った。
「首相、失礼します」
「.....現在の戦況は?」
「報告します。敵方最前線の約25%を撃退。魔甩城3の丸、幻光丸を破壊。現時点で敵勢力の約30%を撃退しております」
「ご苦労、そのまま更に敵の兵力を削ぐのだ」
「は!」
「.....クックックッ、そろそろこの戦争にも終止符を打とうじゃないか!覚悟するがいい。ハハハ!!!」
「う、う〜ん、ここは?」
「あ、目を覚ましましたか。ここは病室です。響さん痛みはどうですか?」
ミディアムの手にはいかにも怪しい薬の瓶が握られていた。
「ミディアムさんか。痛みはもう引いてきました。ってその薬なんですか?」
「あぁこれですか。ソーマ村長がさっきくれたんです。痛みや怪我に効く薬らしいですよ。えーとたしか鎮痛薬、毒薬、激薬その他諸々が含まれているらしいですよ」
いや「らしい」ってなんだよ。てか毒薬と激薬て、あの村長そんなもん作れるんかよ。心の中でそうツッコんだ。
「まぁ痛みはもうないし怪我もほぼ完治してるんで大丈夫ですよ。それより村の人達は?」
「あぁ皆さんは今夜の宴会に向けて準備しているんですよ。久々のお客様ですからね。よかったら響さんも見に行きませんか?」
「あーいやいいです。ちょっと一人にさせてください。宴会の準備ができたら呼んでください」
「.......わかりました。では失礼します」
そういいミディアムは部屋を後にした。
「一体どうなっているんだ?変な世界には来るし、魔物には襲われるし戦争とかの話はするし」
未だに脳の処理が追いついていなかった。どうやったら元の世界に戻れるのだろうか。最初は興味本位で言っていたけど想像以上に深刻な問題だ。
「やっぱりあの本を調べないとなんにもわからなそうだ。僕はこっそり本を盗んで調べることにした。
「......やっぱりなにもないか」
やはり真っ黒な表紙に白紙のページが並んでいるだけだった。ここで一つの疑問が頭をよぎった。
「まてよ......だとしたらなんであの村長たちは内容を理解できているんだ?」
ただの白紙のページなのにまるで内容がわかっているかのように話を進めていた。そこに疑問が残った。ただの勘なのだろうか、それとも何か魔力が関係しているのだろうか?それとも.......
ドアが開く音がした。村の人が迎えに来た。
「響さん、宴会の準備できましたよ。来てください」
僕は咄嗟に本をベッドの下に押し込んだ。
「はい。今行きます」
僕は宴会会場に向かった。
「今日はお集まりいただきありがとうございます。久々のお客様ということで今夜は皆さんで楽しみましょう!では皆さん準備はよろしいですか?それでは、乾杯!!!」
グラスをコツンと当てる音とともに宴会は始まった。そこから3時間はとても楽しかった。......かつて重臣たちと夜空を見ながら一緒に笑いあったのを思い出した。
「なぁ君趣味とかあるの?」
「あーそうですね、スキーとかですかね」
「す、きー?なんやそれ。誰?」
「え?!スキー知らないんですか」
「あはははははは」
こうやって色んな人と話し合うのは結構久々な気がする。基本家では一人で自分の部屋でゴロゴロしていたからだ。すると奥の方に空席が一つあった。
「あの、あそこの空席って誰のですか?」
「あれミディアム様じゃないか?」
「なんで来てないんですか?」
「あの人結構こういうのは苦手らしいんですよね。なんというかずっと一人でいるというか」
「そうなんですか。あの、一旦ここで失礼します」
そういい僕は宴会会場を後にした。
「はぁ疲れた。結局3時間ぐらいいたからめっちゃ頭クラクラする」
病室に戻り、本調べを再開しようとしたその時。外から物凄い雄叫びと斬撃音が聞こえた。窓から外を覗くと、ミディアムが近くの木に向かって剣を振り下ろしていた。修行でもしているのだろうか?雄叫びの割に剣技はあの時見たように美しかった。なんであれほどの剣技を持っていてまで?僕にはその意味はわからなかった。
「.......このままじゃ守れない。あの人を......」
「ロアセレナーデ王国?」
「はい、世界会議の一国でトウレイ村を含める20の周辺小国、村を統治する大国です。あの方なら何か知っているかもしれません」
僕はロアセレナーデ王国に向かう途中の馬車の中でその国についていろいろなことを話してもらった。気がつくと出発してから5時間ほど経っていた。
「あ!見えてきました。ロアセレナーデ王国ですよ」
ふと遠くに大きい城のようなものが見えた。どんどん近づくにつれて城のあまりの大きさに圧倒された。おそらく高さ数百メートルはあるだろう。門をくぐると兵士の人が城の中を案内してくれた。内装も豪華で何処か中世ヨーロッパの城に似てる気もした。
「何はともあれこれで少しでもこの世界の情報を手に入れられるぞ」
僕の中の運命の歯車が動き始めた。
「セレナーデ様の御成!!!!!!!!!」
しかしそれと同時に滅亡の瞬間も刻一刻と近づいていった。
久々の更新なのと早く更新しないとという焦りでだいぶ表現が意味不明な部分あったと思いますが温かく見守っていただけたらと思います。