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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

今更、男女役割交代で男女比1対10くらいの世界に転移したと知ってももう遅い件

作者: 山田 勝

「貴方は、坂城健さんで間違いないですよね」


「はい、そうです」


「主任、免許証は鑑定の結果、正式の機関から発行されたものですが、偽物と判断されました。つまり、公式が作った架空の人物だと断定されました」


「戸籍、住民票もありません」

「う~む。会社は土田舎産業か。この会社も存在しない。君はどこから来たのか?」


 私は巡査長、山形冴子、今、傷害容疑で一人の男様を取り調べている。

 もしかして、公安か?内閣調査室か?それとも、2科別班か?


 このうなだれている男様はまるでどこか異世界から来たみたいだ。


 トン!トン!


 新人の敬子がお盆にパフェと紅茶を持って入室してきた。


「失礼します。パフェと紅茶をお持ちしました」


「あのこれは?」


「男様が一般に好きな物を取り寄せました。食べながらで良いので経緯を話して頂けませんか?」



 本来なら許されないが、この男様、歳は20代、男様にしては痩せている。

 正直、好みだ。


 顔を近づけ。ジィと見る。

 これでも嘘を見分ける自信がある。



「アハハハ、近すぎですよ」


 照れ笑いをしながら顔を赤らめた。

 男様なら不機嫌になるはずだ。



 彼は語り出した。




 ・・・・俺、いや、私はさえない会社員で、今日も残業して帰りました。


 帰宅途中に車でスーパーに行きました。車から降りたら、何かグチャと空間が歪んだ気持になりました。


「疲れているのだな。こんな時は料理をしないですませるか」



 スーパーでカップうどん。真っ赤な狐を買おうと思いました。

 あれにカレールーを入れて、汁だけになったら冷や飯をぶっ込んで食べるのが好きでして・・・



 そしたら、真っ赤な狐がおいてある陳列棚に、年老いた男たちが何か叫んでいました。



「みなさーん!これは買ってはいけません!」

「そうです。CMで顔を赤らめて食べる男性が出ていました!性搾取です!」

「これを買ったら、アンマスです!」



 何だか、皆、太っているな。私も人の事を言えませんが、一言で言えば、ブタを連想しました。

 鼻毛でているよ。このおっさん。



 私は声を掛けました。


「あの、カップうどん買わせて下さい」

「まあ、貴方、男でしょう?ネット見ていないの?」



「はい、仕事が忙しいので、何か問題を起した商品なのですか?」


「「「「まあ、何て意識の低い」」」

「男のくせにアンマスかしら。それとも、マン〇騎士かしら」


 何か、話す事も下品で頭が悪そうな事ばかり言うのです。



 何でも、この真っ赤な狐がSNSで性描写満載の不適切なCMを流したと話していました。本当だったら反対運動が起きてもしかたないかな。

 と思っていると、ブタ、いえ。初老の男がスマホでCMを見せてくれました。



「ほら、これを見なさい!」


 スマホで流れたCMでは、美少年が顔を赤らめてうどんをすすっている動画でした。

 私は何が悪いか分かりませんでした。



 感想を言うと。


「これは特に・・・男だって、アニメで理想の女性を描くでしょう・・許容範囲だと思います」



 パチ!パチ!パチ!パチ!パチ!


 周りに女性が集まっていました。拍手をされました。


「え、え」


 と戸惑っていると。初老の男達が叫びました。


「見なさ~ん。こいつは名誉女性です!」

「そうです。マン〇ヒラヒラヨシヨシです」

 これまた、奇妙な造語と下品な言葉で罵倒をされました。



「いいから、俺、うどんがどうしても欲しい。どいて下さい」

「ピキー!買わせません!」


 すると、ピキピキ怒り出しました。



「く、悔しくて背中が震え涙で目が曇る」

「貴方みたいな男がいるから性搾取が起きるのよ!」



 あれ、よく見ると、商品が微妙に違う、他の商品を見ても違うカップ麺ばかりでした。


 それに、こんな下品で馬鹿でブタみたいな男達はそうそういないよな。


 これは夢なのだ。と判断しました。


 なら大丈夫だと思って、ピキピキとヒステリーを起すブタに制裁を加える事にしました。



「「「「ピキー!」」」


「どけよ。ブタ!」


 バギ!ドゴ!


 日頃の鬱憤もあったかも知れません。


 ブタ男たちを殴り蹴飛ばしました。


「キャアアーーー、暴力反対!」



 周りの女性達は。



「早く逃げなさい」


 と促し。


 店員さんも、


 バキ!


 監視カメラを壊していました。



「代金はいりませんから、お逃げ下さい」


「はい・・・でも、これ夢ですよね」



 車に乗ろうとしたところ。


「「「警察だ!」」


「お、ここまで本格的か。女性ばかりだな。はい、どうぞ」


 と抵抗をしないで両手を差し出しました。



 ・・・・・・・・・・





 そして、警察署にまで連れて来られましたが、一向に醒めません。



「いったい。ここは日本国ではないのですか?」


「名は日本国だが、どうも別次元・・・それはいささかおかしい」



「主任、大変です!坂城様の乗っていた車、この世界の物ではありません。似た会社はありますが、部品が微妙に違うかと、パチもの会社としても性能は日本車と同等、つまり、パチもので作る意味がないと捜査に協力してくれた会社のエンジニアが評価しました」



「な、何だって!」



 それから、俺は不起訴になった。



「坂城様は不起訴!」


「「「何だって!」」」

「理由を言いなさい!」


 何でもネットや街角で署名運動が起きて一躍時の人だ。



「是非、我社に入社して下さい」


「でも、私は広報なんてやった事ないですよ」


「大丈夫です。坂城様の感性を試して下さい」


 広報会社からスカウトが来た。

 女性ばかりだ。


 俺は一室と秘書をあてがわれ、ネットで調査をする。


 例えば。


「真の女男平等は、男にも徴兵制を課すべきだと言うスイスの男性に習うべきだ!」


 と投稿すると。


 シーン!


 また。


「真の女男平等を実践するのは女性の負担を軽減するべきだという北欧の男性の意見を取り入れるべきだ!」


 シーン!


 恐ろしいほど、反響はないが。



「今日、妻のためにお弁当を作ってあげました」


 と投稿すると。


「ピキー!気持悪い!飯炊きバイブ!」

「家母制度を助長する!」

「過去を学べ!」


 そんな返信ばっかりだ。いいだろう。パートナーに弁当を作るぐらい。

 冴子さん警察官で不定期なのだから。

 ああ、山形冴子さんとは結婚した。


 取り調べを受けた警察官だ。

 切目でスタイルが良い。


 プロポーズをされたら断る理由はない。相手は公務員・・・

 何だ。この思考、クソだな。


 ネット界ではどうでも良い事でクレームが殺到している。



 俺は、どうしたら良い。


 一体、どうして、この世界の男性は怠惰で間抜けで醜い存在なのか・・・


「過去を調べろ」とあったからこの世界の男性史を調べた。



 会社が帝都大学男性学山名知子教授を紹介してくれた。


「先生、お願いします。どうして男性はこんな馬鹿なのでしょうか」

「はい、まず。私は男性に敬意を払う者です。貴方が相手をしているのはツイマスキュリストと呼ばれる者です・・・」



 過去、男性が社会進出をするにあたり女性との格差があったのは事実です。

 男性社員は女子社員のお婿さん候補と公言する社長もいました。


「しかし、『シャンデリア通りのバラ』と言う有名な漫画がありました。フランス革命を題材にして女装の男性が活躍する話です。今から50年くらいの話です」


 当時、フランス革命は良いものとの認識がありました。

 王家は悪い。


 彼は大学の西欧史の先生から学び。当時としては史実に近いストーリに。それに許されるフィックションを絶妙に混ぜ合わせて絶大な人気を誇りました。


 しかし、原稿料は同じ人気の女性漫画家の半額だったそうです。


『男性は女性に養われるから半額で大丈夫だろ』

 との事でした。彼は一生懸命に戦いました。


 また、世の中は女性向けゲームばかりでした。

 その中で男性社長が男性のためのゲームを開発しました。


 今のネット小説で悪役貴公子が流行しているのは彼のおかげです。



「そういった方々こそ女性を過度に敵視しません。それに訴えません。今、表に出ているツイマスは・・・末尾些細な事を指摘して、女と男を仲違いするのが目的かもしれません」



「なるほど、分かりました。俺は男性を軽くみていました・・・反省します」


「ええ、男性は~とか女性は~とか主語が大きい方は要注意です」




 俺は天啓を受けた。



 ツイマスはトリガーなのだ。社会の嫌われ者だ。だから、彼らが過剰に敵視して、不買運動を訴えればその商品は売れる。



「課長、この広告は如何でしょうか?」


「しかし、これで男性からクレームが来たらどうする?」

「いえ、ツイマスなら無視して良いでしょう」



 やたらとアニメで綺麗な女男のカップルを登場させたり。

 上半身半裸の男性を絵師に描いてもらって広告を出したら。


 ツイマスから批判が来て、

 不買運動=売り上げ増加

 のパターンが続いた。


 しかし、ツイマスは学習しないのか?

 鶏か?



「貴方・・・」

「なんだい。冴子」


「そろそろ赤ちゃんが欲しいわ・・・働いても良いけど、二人目を迎えて」

「二人目って」

「私の後輩の敬子よ。一度みた事あるかしら。二番目の妻よ。そうね。この世界を知らないわよね・・・」



 何でも、産休制度があるが、その間の給与は支給されない。

 だから、妻が知人や後輩を連れて来て結婚して一緒に暮らす。


 妊娠している間は二番目の妻の収入で家計を維持するそうだ。



「妊娠の間、男は何をしているの?」

「まあ、家事ね・・・それも折半が主流よ」


「主力で働いているのに家事を折半・・・何だかな」

「家事は年収1000万相当らしいわ」

「馬鹿げているよ・・・でも、俺も働いているんだぜ」



 とりあえず冴子さんの後輩と結婚する話は先に伸ばした。

 この世界男性が少ないらしい。


「俺も働いているし、後の事は後で考えよう」



 今更気がついた。ここは男女役割交代で、男女比は10対1ぐらいの世界だった。


 ハーレムつくれるじゃん。


 でもいいや。俺はこの方法で生きて行く。






最後までお読み頂き有難うございました。

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