表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

乙女ゲーのハピエンのその後で~悪役令嬢とメイドは生きていく

作者: 山田 勝

「ケリー、ゲオルト殿下は来るかしら」


 最近、私はいつも嘘をつく。


「はい、必ずいらっしゃると思います。お忙しいみたいですね」


「そう・・」



 お嬢様は元公爵令嬢だった。

 今は女男爵を拝命している。

 領地に来られてからは毎日殿下から頂いたドレスを着て、窓越しに王都の方向を見ていらっしゃる。


 お嬢様は辛い過去を忘れたようだ。愛する殿方に婚約破棄を宣言された。

 後で婚約解消になった。どちらにしても辛かったに違いない。

 男爵位と領地、賠償金をもらった。



「お嬢様、ゲオルド殿下が来やすいように橋を架けましょう。如何ですか?」

「まあ、そうなの?ケリー、お願い」





 ☆民会


「お嬢様から許可を頂きました。橋の工事を始めます。但し、お賃金は一日大銅貨3枚、食事は二食出せます」


「「「有難い」」」

「冬に工事をしてくれるなんて餓死者がでないかもしれない。メイドさん。有難うございます」


「いいえ。これもお嬢様のおかげです」


 お嬢様の領地は小さい。17村と小さな街が一つだけの寂れた地域だ。



「橋を架けると、先には、沼、沢、藪があります・・・次男、三男に開拓させましょう」

「「「はい、メイド殿」」」

「これも、お嬢様のおかげです」



 しかし、私、一人では領地経営は限界がある。

 領地に着いてきた公爵家の使用人は私独りである。

 今は通いのメイドさんに屋敷の事はしてもらっている。



 やってみるか。

 私はいつも同じ夢を見る。

 魔道大国の旗を掲げてみよう。




 ☆屋敷



「ケリー、家庭教師の先生、いらっしゃらないわ」

「お嬢様は今休養中です。ごゆっくりお過ごし下さい」


「まあ、そうなの・・・でも、勉学の遅れがあったら殿下に申し訳ないわ」


「いえ、お嬢様は成績優秀です」


 これは、本当だ。貴族学園の学科を1年で終えられた。

 もっぱら、学園では殿下をサポートしていた。


「ところで、お嬢様、殿下が迷われないように、目印の旗を考案しましたが、如何でしょうか?」


「まあ、白地に赤い丸・・・」

「はい、太陽を模しています」



 ・・・・・・



 私は夢を見る。灰色の高い塔に、この旗だ。

 黒髪、黒目の種族の魔道国であった。


 旗を掲げたら、冬が終わる頃に、一人の男が来た。

 30歳くらいであろうか?



「・・・あの、日章旗を見て、このマン男爵領に参りました。もしかして、転生者の方ですか?」


「さあ、私もよく分かりません」


 この方はカイトさん、施工管理技士と名乗っている。

 流れ土工の親方さんだ。



「沼地の開拓をしたいのです。ノウハウはありますか?」

「はい、ゼネコン時代、ダムをやったことがあります。なんとなく分かると思います」


「では、お給金をお支払いするのでお願いします」



 これで収穫量は二倍になって、冬出稼ぎに行く人はいなくなるかな。

 道中、野垂れ死にや盗賊に殺されるかもしれない。出稼ぎは危険だ。



 次は商業だ。


 やがて、夏頃、この旗を見つけて、一人の男がやってきた。

 トーマスさんだ。40歳くらいであろうか。



「私は、前世、商社マンでした・・・もしかして、お仲間ですか?」


「私は分かりませんが、カイトさんがそうです。引き合わせましょう」


 何とか常設の市場を作りたいものだ。

 どこかの流通経路に乗れないだろうか。




 お嬢様は、刺繍をされている。あれは王家の家紋・・・


「フフフフフフ~~~早くいらっしゃらないかしら」


 誤魔化すのも限界か。


 やがて、お嬢様は毎日泣き叫ぶようになった。


「グスン、グスン、ゲオルト殿下、私はここにおります。会いに行きたいですわ。ケリー馬車を出して!」

「お嬢様、令嬢から訪ねるのはマナー違反です。ゲオルト様は淑女をお好みです」

「先触れを出せば大丈夫ですわ。ケリー、先触れをだして」


「お嬢様・・・失礼」


 私はお嬢様を抱擁した。

 あのときとは逆だ。



 ☆10年前


 私は6歳、王都で物乞いをしていた。馬車が止り。令嬢が降りて来た。

 メイドは止める。


「お嬢様、あの小汚い子に近づいてはなりません!!」


「貴女、どうしたの?」

「・・・お父さんとお母さんが亡くなって独りぼっちです」

「そう、うちに来ない?私のメイドにしてあげる」


 ガバッ

「あっ」

 抱擁された。こんな汚い子に。

「グスン、私もお母様いないのよ」


「お嬢様!ドレスを汚して、知りませんよ!」



 ・・・・・・・


 使用人なのにお嬢様にキツい言葉を投げかけるメイド。


 理由は、お嬢様の誕生ともにお母様は亡くなられた。


 出産と引き換えにお母様が亡くなり。公爵一家からは疎まれていた。

 まるで、母親の命を吸って生まれた子だと。

 その空気が使用人にも伝染していた。


 家族から認められようと必死に令嬢教育に打ち込み。婚約者の王子殿下が唯一の支えだった・・・愛を超えて、自分の存在意義そのものだったのだろう。


「お嬢様、大丈夫ですわ。少し、お眠りいたしましょう。先生、お願いします」

「はい、お嬢様、失礼します。スリープ!」


 ガクン


 やがて、秋になり。開拓は進み。常設の店舗が何個か出来た。


 トーマスさんが尽力してくれた。


「有難うございます。トーマスさん」


「どうも、ここは辺境と王都の中間です。宿場町にしましょう。道を整備しましょう」

「しかし、お金に限りがあります」


 お嬢様に渡された賠償金がわりの領地開発費はこの領の10年分。

 つまり、出てくるなという意味である。無駄使いは出来ない。

 インフラの設備は湯水のように金がかかる。見返りは少ない。


「大丈夫です。私の商会が投資します」

「良いのですか?」

「私も商売です。娼館を誘致したいのですが・・・」


「それはダメです。お嬢様の領地ですよ」

「う~む・・・」



 結局、新しく宿場町を一から作ることにした。

 外の人間とここの住人のいざこざが起きにくくすることになる。

 トーマス商会と領地経営資金から半々出すことにした。


 しかし、問題がある。警備をする騎士様や兵士がいないのだ。

 村の退役した兵士、冒険者が細々と警備をしているぐらいだ。

 領地の予算で雇えるのは10人くらい・・・後は臨時に村人を兵士にするしかない。



 そしたら、次の年の春、一人の男がやってきた。20代の男、ザックさんだ。


「・・・日の丸の噂を聞いてやってきました。冒険者のザックと申します。前世、自衛官でした。ここに転生者が集まっているのですか?」


「はい、私は分かりませんが、カイトさんトーマスさんがおります。お給金を払いますので、身の丈にあった領地軍の編成をお願いします」


「分かりました。私の考えた軍隊を作ります」


 彼は、農民に弓を教えた。領地の猟師さんを腹心にする。


「放て!」


 シュン!シュン!


 ロングボウという種類らしい。


「鎌倉武士の主武器は弓でした。絵巻物でも近場から強弓を放つ仕草をする様子が描写されています。一撃で粉砕されますね」


「カマクラブシ?良く分かりませんが、それでお願いします」


 やがて、ザックさんは兵士を率いて、近場の盗賊を討伐するようになった。

 盗賊のアジトを囲み。矢の雨を降らせたそうだ。

 いきなり、農民に斬り合いなど出来る訳がないから、良い方法だと思う。



「危なかったです。この領は豊かになりつつあります。盗賊たちが狙っていました」


「有難うございます。お嬢様に代わりお礼を申し上げます」


 考える事が山ほどある。冬の仕事、娯楽、裁判。税金。


 秋になり。収穫を終え。収穫祭が行われた。

 村人たちは言う。


「あの~ご領主様も是非出席をして頂きたいと村人の総意です」


「長老様、申し訳ありません。お嬢様は病気で難しいです」


「残念です。しかし、病気療養で領主に就任された令嬢がここまでやるとは」

「いや、病気療養は口実、王都で失脚されたとの噂だぜ」


【・・・無礼ですよ!!お嬢様は、お嬢様は令嬢から男爵になられたのです!出世ではございませんか!】


「これ、トム、メイド殿の仰るとおりだ。口を慎め。口輪をはめるぞ!」

「ヒィ、メイド殿、ご勘弁を」


 つい。声を荒げてしまったわ。


「申し訳ありません。口が過ぎました」


 私はプィと踵を返した。


 また、嘘を言ったわ。

 トムの言うとおり・・・なのに。


 あ、トーマスさんだわ。



「ケリーさん。王都の支店から情報が入りました」

「・・・ここでは何ですから、カイトさん。ザックさんを呼び。執務室で聞きます・・・」



 ☆王都


 アレクサンドラの代わりに王太子の婚約者に指定されたジェニファーは伯爵家の養子になり。王宮住まいとされた。

 本来なら、マナー教育をするはずが、一向に部屋から出てこない報告にゲオルトはメイドを伴い部屋に入った。目に入った景色に驚愕する。


 ドレスのままベッドで横になり。娯楽小説を読んでいたのだ。


「ジェニファー、どうした・・・最近、教育、執務をサボっていると報告を受けた」

「えっ、もう、ゲーム終わってハピエンじゃん」


「何をいっている。頼む。侯爵閣下や重臣たちが施策を待ち望んでいるぞ」


「面倒くさいわ。もう、乙女ゲー終わってフラグはないしぃ~」


 ・・・どうした事だ。知恵の泉と言われたジェニファーがまるでブタのようにベッドで寝そべって、小説を読んでいる・・・



「それよりもドレスが欲しいわ。今度、夜会に出たいわ」


「またか・・・」

「あ~、それモラハラ!」



 ・・・・・・・




 ☆マン男爵領



「公爵令嬢アレクサンドラ様を押しのけて、王太子の婚約者になられたジェニファー様はすっかりやる気をなくして公務にも参加していないと宮廷の下級役人から情報を買いました」


「「「・・・・・」」」


「まあ、乙女ゲー?フラグ?と言っているの?皆様、分かりますか?」


 すると、自信なさげにカイト様が。


「・・・前世、妹がおりまして、乙女ゲームが好きでした。それではないですか?」


 と仰いました。


 ザックさんは。

「意味が分からない。この世がゲームと言うのか?」


 疑問を呈しましたが・・・。


 私は何となく分かりました。

 頭の中に別の世界の記憶があるのです。


 ゲームが終わった。やる気がなくなった・・・


 かつて、ジェニファーは男爵令嬢だった。

 学園に現れてから、あれよあれよと殿下の側に侍り。


 お嬢様はそれでも殿下を支えたのです。


 お嬢様が入念にパーティの準備をしても、ジェニファーは、みすぼらしい造花を大量に用意します。


『まあ、なんですの?お花は・・もう、発注しましたわ』


 とお嬢様は当然の事を言います。事前にあの女は何も言わなかったのです。


『アレクサンドラ様・・・これは孤児が作ったお花です。みすぼらしいと言うのですか?グスン、グスン』


 言葉尻を捕らえ。勝手に解釈をします。


 殿下もあの女の味方だ。


『アレクサンドラ、それは傲慢ではないか?』

『私は聞いただけですわ。みすぼらしいとは言っておりません』

『フン、どうだか。良し。孤児院の造花を使おう。アレクサンドラ、花を取り替えろ』


 更に、あの女は貴族学園で炊き出しをするように殿下に意見し。

 殿下は快諾。

 お嬢様が予算を用意し。関係各署に調整をしますが、炊き出しをするのはあの女。

 良いとこ取り。


 お嬢様の裏方がなければなしえなかったのに、まるで、お嬢様が貧民を嫌っているかのように吹聴します。


『アレクサンドラ様は、公爵令嬢だから仕方ないです。殿下、怒らないで下さい!』

『しかし、学園の行事なのに・・・』


 お嬢様はヘトヘトです。

 あの女、何回も行い。生徒会の予算は火の車です。



 こういった事が積み重なり。

 ついに、お嬢様はミスをしたのです。


『アレクサンドラ、どういった事だ!ムーラン王国の方々は牛を食べない!!』

『申し訳ございません!』


 大使の非公式の饗宴だ。

 通常、王太子と婚約者が共同で準備をするのだが。


 王太子はジェニファーと街に視察に出かけていた。

 ジェニファーは女官志望だからと・・・


 多忙が重なり。ミスをしたのだ。


『殿下!下町の魚屋さんに大魚が入りました。店主に言って抑えて来ます』

『ほお、さすが。ジェニファー!』


 そして、学園のパーティで婚約破棄を宣言され。

 お嬢様は気絶をされた。


 さすがに、婚約破棄は不味いと解消になり。男爵位と賠償金、領地をもらい。

 実質的に失脚しました。


 恐らく、公爵家と王家は何か取り決めをしたのだろう。


 伯爵家の養子になり。

 ジェニファーが王子の婚約者に指定された。


 王都中の市民が集まり。熱狂に包まれたそうだ。

 私は見に行かなかった。


 テラスで手を振る王太子とジェニファーに皆は熱狂した。

 庶民の心が分かる未来の王妃と評価された。

 その噂が嫌でも耳に入った。



 ・・・・・



 追放から三年目。

 転生者だけではなく、いろいろな技能、知識を持っている方々がやってきた。


 何でも、メイドが活躍をしているのだから、私も!


 という感じらしい。それで良い。まずは『メイドから始めろ』か?


 中に学者がいた。

 これでお嬢様に家庭教師をつけられる。



「ケリー!ケリー!」

「はい、お嬢様」

「お花を摘みました!」

「お綺麗です。では花瓶に生けましょう」

「はい」



 お嬢様はすっかり元気になられて・・・


「グスン、グスン、グスン」


「ケリーどうしたの?」


「いえ、目にゴミが入りました」




 ☆その頃の王都


「ジェニファー!いい加減に炊き出しで良いからやってくれ。予算を渡しただろう」

「え、その予算でドレスを買っちゃった。テへ、ペロ」


「面白く無いぞ!」

「あ~、それ、やったら面白いって笑ってくれたのに・・」



 ・・・何という事だ。自由奔放だと思っていたが裏目に出たか。


「では、何か施策を考えてくれ」

「じゃあ、炊き出しをやめて、生活保護をやれば?何だっけ。ベーシックインカム」

「それは何だ」


 話を聞いた。そんな財源などあるはずがない。

 私は、何を間違った。

 アレクサンドラなら助けてくれるはず・・・





 ☆執務室


 追放から四年、お嬢様は今年21歳になられる。

 婚期を逃してはいけない。


 トントン!


「はい、誰?」

「支配人です。今期の報告に参りました」

「どうぞ」



「ケリー殿、領地の収益、全体でみれば黒字です。しかし、赤字部門も・・・」

「それは?」

「はい、村々に作った入浴場です」

「それは削ってはダメ。どれくらい?・・・まあ、インフラに入れるか。何か入浴を促進する方法はないかしらね」


「民会で訴えて見ては如何でしょうか?」

「それもあるけど、綺麗な男は素敵!みたいな空気を作るのがいいかも・・」



 その時、警備担当のザックさんが飛び込んできました。


「緊急です!王太子殿下と公爵閣下が来ました!」

「え、先触れも無しに・・・こちらは男爵とは言え。貴族なのに・・・」

「如何しますか?」

「通さないわけにはいきませんわ」


 そういうところだぞ。王子。

 他は視察に来るときには、必ず調整が来る。



 ・・・・・・




 王子殿下と公爵を応接室で応対した。


 私が対応する。

 私はソファーには座らない。メイドだからだ。


「アレクサンドラはどこだ?」

「・・・今、マナーを学んでおります」

「ほお、感心だ。さすが我が娘、すぐに呼んで来い」




「はあ?」



「「!!!」」

「無礼だぞ!メイドの分際で!」


 私は殺されてもお嬢様は殺されないだろう。


「お嬢様はご病気です。それでも宜しければ・・・」

「早く呼べ!」



 ・・・・・



「お初にお目にかかります。王太子殿下、公爵閣下、私、アレキサンドラ・マンと申します。男爵位を拝命しております」



「「「なっ」」」


「私だ、ゲオルドだ」

「父だ。父だぞ」


「・・・?申し訳ございません。思い出せませんわ」


「どういう事だ!メイド!」



「お嬢様はあまりに辛くて、過去の事を一部忘却されたのです・・・」


「何て言う事だ。ジェニファーは追い出した!婚約者にたる者はアレクサンドラしかおらんのだぞ!」



 焦っている。

 そうだろうな。年頃の令嬢で、お嬢様ほどの有能な方はいなかった。


「ジェニファーに施策をやらせたら、国会を作るとかとんでもない事を言いおった」

「民主主義とか、恐ろしい事を言うのだ」



「ここもそうですが・・・」

 私が発言したタイミングで。


 カチャとドアが開き。第二王子殿下とその婚約者、そして、婚約者の実家、侯爵閣下がいらっしゃった。筆頭侯爵だ。


「ハインリヒ、ギルター侯爵!どうしてお前たちがここに!」


「兄上こそ、何故、ここに・・・私は正統に申し入れて視察をしていたのです。

 ここの民会を見ていました。さすが宰相メイド殿」



「王子殿下、恐れながら、民の声を聞く機関を作る案はお嬢様です。私はなぞったにしか過ぎません。

 上からの施策だけではどうしても上手くいかない事例が多々あります。しかし、民の声を聞きすぎても混乱します。その中間を取るのが良いでしょう。実質、民会は諮問機関です」



「では、ここで、お嬢様、行きましょう」

「ケリー??はい」




 その後、ゲオルト殿下はお嬢様を諦めなかった。

 しかも、私付だ。

 私に政務をやらそうと言うのだ。


 しかし、断り続けたら、それも無くなり。

 やがて、第二王子殿下が王太子に指定された。





 今はお花畑でお嬢様と遊んでいる。


「お嬢様、ドレスを仕立てましょう。王都から商人を呼びます」

「ケリー、大丈夫なの?」

「はい、今度の収穫祭でお披露目しましょう」


「まあ、出ていいのね」

「はい、もちろんですよ」



 まるで母親のような心境だ。近々、近隣諸候を集めて、社交界を開く。

 そこで良い殿方がいれば・・・



「ねえ。ケリー、上手くいったわね。クス」


 えっ

 

お嬢様は一瞬クスッと笑って、舌をペロと出した。


「ケリー、このお花綺麗ね」


 もしかして、お嬢様は正気。いつの間にかに治られた。現実に打ち勝った・・・





 その後、トーマスさんの情報網で、ゲオルト殿下は宮廷伯を拝命したと聞いた。

 弟の側近にすらなれなかったのだろう。


 公爵家も近く領地の切り売りをすると云う。

 機織りが盛んな地域を買えないだろうかと思案する毎日だ。



 ・・・・・・・



 その後、この領地の旗を見て、一人のボロボロの服を着た若い女が訪れた。

 曰く、元第1王子の婚約者だったと云う。


 ケリーは狂女だと判断し。そのまま放逐した。

 宿場町の娼館に勤めるようになる。


 そのボロ服の女がジェニファーであったかはケリーのみが知ることだ。





最後までお読み頂き有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ