7/376
そして王子は産声をあげた
別の女性が生まれたばかりの王子を受け取ったが、その瞬間に彼女は震え出した。
産婆はその彼女を気遣う間もなく、また女王の足元、シーツの中へと身を潜めた。
王子を受け取った召使いの女性はお湯を張った大きなたらいの方へと移動する間も震えを抑え、落としてしまわないようにするのがやっとだった。盲の老婆は彼女に近づき、こうつぶやいた。
「だいじょうぶ。」
召使いはハッとし、赤子をお湯からあげて大きなタオルでくるんで水気を拭き取ってやった。王子はすぐさま大きな声をあげて泣き出した。