将来の夢 六年二組 小鳥遊 健汰
閲覧ありがとうございます。
夏休みの宿題をイメージしながら書きました。
至らない点があるかと思いますが楽しんでいただけますと幸いです。
僕の将来の夢は「漫画家」になる事です。僕は漫画を読むのが大好きです。学校で友達と喧嘩した時や、お母さんに怒られた時、漫画を読むと、とても楽しい気持ちになれます。そしてまた、頑張ろうと言う思いが湧いてきます。そんな元気の出る物語を僕は描けるようになりたいです。僕は絵を描く事も好きです。家に帰って、宿題が終わると毎日絵の練習をしています。僕の大好きな漫画家の先生のようなカッコイイ絵を僕も描けるようになりたいです。
小学校最後の夏休みの宿題に「将来の夢」と言う作文がありました。僕は「漫画家になりたい」という夢を一生懸命に原稿用紙にぶつけました。僕はずっと心の中にしまっていた想いをこうして初めて書くことが出来て、少し恥ずかしくも嬉しい気持ちでいっぱいでした。
夏休みが終わりに近づいた頃、お母さんに「作文の宿題見せて」と言われました。僕は日頃からお母さんに自分の絵をよく見せていたので、どんな反応をするのかワクワクしていました。
「お母さん、どう?」
僕は恐る恐る聞きました。
「ぷっ。健ちゃん何これ?漫画家って冗談でしょ?」
「え?何で?」
「男の子なんだし、もっとカッコイイのにしなよー」
僕はとても悲しい気持ちになりました。
漫画家だって凄くかっこいいのに。
僕はお母さんに言われて作文を書き直しました。
僕が次になりたいと思ったのは「弁護士」です。理由は弁護士が出ているドラマを見てとてもカッコイイと思ったからです。お母さんも「弁護士ならカッコイイじゃん」と言ってくれて、僕は「将来の夢」を「弁護士」にして作文を完成させました。
そして夏休みが終わり、僕はお母さんに「カッコイイ」と言って貰えた作文を自信満々に学校に持っていきました。先生は「一人ずつ作文を皆の前で発表しましょう」と言っていました。クラスの皆もいろいろな夢を持っていました。「アイドル」や「サッカー選手」など夢を語っている皆の顔はとてもキラキラしていました。僕も一生懸命に発表しました。クラスの皆は沢山拍手をしてくれました。凄く嬉しかったです。でも発表の後、僕は先生に呼び出されました。
「小鳥遊くん、弁護士って何だか知ってる?」
「知っています。ドラマで見ました!」
「ドラマで見たなら分かると思うけど、先生ね、小鳥遊くんには元気いっぱいって感じの夢の方が似合うと思うなー」
先生はそう言うと、鼻で笑っていました。僕はとても悲しい気持ちになりました。だから僕は作文を書き直しました。
僕が次になりたいと思ったのは「美容師」です。理由は美容院が魔法の場所みたいだからです。いつも綺麗なお母さんが美容院に行くと、もっと綺麗になります。僕はそんな魔法使いみたいな美容師になりたいと思いました。そして先生に作文を持っていきました。先生は作文を楽しそうに読んでいました。そしてこう言いました。
「美容師って、確か佐藤くんと同じ夢だよね。佐藤くんは凄くオシャレよね。でもー、小鳥遊くんはどうかなー?」
僕は悲しい気持ちになりました。佐藤くんは良くて、何で僕はダメなのでしょうか。
そしてまた作文を書き直しました。僕はもう、どう書いたらいいのか分からなかったので「人の役に立つ仕事がしたい」と書きました。「人の役に立つ仕事」はどんな職業でもカッコイイと思ったからです。そして先生に提出しました。先生は大喜びで「君なら絶対できるよ。叶えられる」と応援してくれました。
僕はとても悲しい気持ちになりました。応援してもらえて、やっと夢を認めて貰えて嬉しいはずなのに。何故か「君みたいな人間には夢を語る資格なんてないから、一生誰かの下で働いていろよ」と言われたように感じました。応援して貰えたことを素直に受け止める事が出来ませんでした。
僕がなりたいものをなぜ言ってはいけないのでしょうか。大人達は何を僕に語らせたかったのでしょうか。
僕は納得がいきませんでした。だからまた、こうして作文を書き直しています。たとえ笑われても、僕に似合っていなくてもこれが僕の将来の夢です。
「他人が一生懸命に頑張った事を馬鹿にするような大人にはならない」という事です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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