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2 ピンチの中身が生々しい!

「ちょ、ルイン君ルイン君! なんかすんごいヤバそうな状況なんだけどぉ!?」


「おおお、落ち着け! 落ち着けぇ!」


「……言ってる本人が同じ位落ち着いてないの」


「う、うっせえ!」


 冷静にそう言われたルイン君が言い返している間に、正面の四人組が動いた。


「成程……こちらアレクシス。対象を肉眼で確認した。ああ、ルインの言う通り霊体のような物で間違いない。どうやら自我があるようだが今の所危険性は感じられないな。ええ、じゃあひとまずこれで」


 四人組の内の一人。アレクシスって名乗った二十代後半程の男の人は、耳に付けていた通信機みたいな奴で誰かと会話した後、何かの合図をするように軽く手を上げる。

 すると周りにいた武装をしていた人達が、武器を下ろして撤収していく。

 とりあえず……助かった、のかな?


 そして同じように銃を下ろしたアレクシスさんは今まで浮かべていた険しい表情を崩して、ニッコリと笑みを浮かべて言う。


「やあやあ、ご客人。すまないね、怖がらせてしまって」


 そう言って友好感満載に近づいて来るけど……いやー怖いって!

 まずその銃、ホルスターに仕舞って! なんかこう……恐ろしさが生々しいんだよ!

 ファンタジーファンタジーした加工してなく、チャカとか呼んでそうな黒スーツにガチな銃がとっても怖いんだよ!


「……ふむ、笑顔の割に警戒心全く解いておらんなこの男」


「ああ、分かるかい? まあそれが分かるような相手かもしれないから、こうして警戒し続けている訳だけど」


 ……うん、そのやり取りを聞くともっと怖いね。

 現状銃向けられてるのとあまり変わらないしね。

 ……っていや、これミツキさんに銃向いてるのか。

 そう考えたら少し気が楽になって来たね、うん。


「成程……まあそう簡単に信用しては貰えぬとは思うが、儂からは何もするつもりはない。とはいえ……そっちの出方次第では、楓……このちっこいのに乗り移ってお主をぶっ飛ばす事もできるからの。覚えておけ」


 いや何余計な事言ってんのぶっ飛ばすよ!? 触れないしできないけど!

 

「心配するな楓よ。仮にそうなっても八割方勝てるわ」


「二割は!?」


「と、とにかく!」


 割って入るようにルイン君は言う。


「電話で話通ってるとは思うんですけど、このちっこいのは無害な被害者で、こっちの幽霊みたいなのもお俺達助けてくれた奴なんで! その……警戒の方、ある程度解いても大丈夫だと思いますというか……解いてくれると助かります」


 ルイン君の言葉に少しだけ間を空けた後、アレクシスさんは答える。


「まあ……良いだろう。元より少し話せばそうするつもりだった」


 そう言ってアレクシスさんは腰のホルスターに銃を仕舞う。


「さっきの話を聞く限り、彼女は時空漂流物そのもののような物だ。だとすれば仲間の証言があっても警戒は怠れない。安全である確証が持てるまではね。それが僕らの仕事に求められるセオリーって奴だよルイン。だからモニターに映らない彼女に銃を向けるし、こうして直接会話を交わして最低限度の判断をする必要があった。まあ……ああいう軽口を叩き合えるなら大丈夫だろう。碌でもない事を考えているような雰囲気もない。色々と話を聞く必要はあるがね」


 と、とにかく一旦大丈夫って事で良いのかな?

 だとしたら一安心だ。良かったー。


「ちなみにルイン。そもそもキミがしっかりと申請をして連れてきていれば、なんの問題も無かったんだという事は頭に入れておいてほしいな」


「す、すみません!」


 少しキレ気味にそう言うアレクシスさんに、ルイン君は頭を下げる。

 なるほど、なんかよく分からないけどルイン君が悪いんだね。


「もー、ルイン君のせいで怖い思いする羽目になったじゃん」


「そうだぞ小僧」


「えーっと……ごめん」


「……ルイン君。私立場弁えてない結構無茶苦茶な非難してるんだから、そこはさっきみたいに反論してよ。こっち反論待ちだよ?」


「いや、これに関してはお前らにも流石に悪い事したなって思ってきた。銃向けられた訳だしなぁ……」


「そ、そっかぁ……」


 マジメだなぁ、ルイン君。

 そしてそんなルイン君にアレクシスさんは言う。


「まあその辺反省はしてもらうが、とりあえず顔を上げて早くこの子達を連れていけ。お嬢が待ってる」

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