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世界樹の守護者  作者: がじろー
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一章「世界樹の恩恵」① ~現実と夢の狭間での邂逅~




 夢を見ていた。

 何の変哲もない日常。

 いつもの学校生活にいつもの退屈な授業。

 いつも側に居た友人たちと毎日馬鹿騒ぎをしていた。

 だが、所々記憶に靄が掛かったようになる。

 正直あの時は退屈な日々(にちじょう)だったというのは覚えている。

 そして、

 今ではそんな退屈な日々(にちじょう)が恋しいと言うことも。

 あの日ーーーーーーーーーーーーーー“あんな事がなければ”。



 「もしも、の話は好きじゃないなぁ」



 ふと、声が聞こえた。

 妖艶で、

 美しく、

 冷酷で、

 それでもその声の奥底からは優しさも感じ、

 そして、何故かとても懐かしく感じる声。

 ーーーお前は…………誰だ?

 「久しぶり…………になるのかな、悠里。私はそうだなーーー君は『シキ』と呼んでいたよ」

 腰の辺りまで伸びた長い髪は銀色に輝いており黒を主体としたセーラー服を来た女性が目の前に居た。

 彼女ーーーシキと呼ばれた彼女は笑みを浮かべている。

 ーーー何か………………久しぶり? に感じる。

 「そう感じてもおかしくないよ。今君は記憶が混濁していて幾つかの記憶が欠如しているようだしね。あと悠里は現実じゃ半月も眠っているんだから」

 ーーー半月? え、何でそんなに?

 「あれだけのことがあったあとだ。忘れたくなるのも無理はないよ」

 ーーーあれだけのこと? 一体何のことだ?

 ふと、シキの瞳が憂いを帯びた気がしたがそれも一瞬。すぐに物事を射抜くような目に戻った。

 「簡単に言うとだね、私たちーーーーーーーーーーーーーーいや、上梨悠里(かみなしゆうり)の住んでいた世界は“滅んだ”」

 ーーー滅んだ…………そう、なのか。

 「やけにアッサリとしてるね。驚かないのかい?」

 ーーーいや、驚いてるよ。ただ何か最後に見た光景が忘れらんねーんだ。突然過ぎて何がなんだか………………。やっぱ“アレ”は全部現実か?

 全てが紅く染まり、生きとし生けるもの全てを虐殺していく災害(バケモノ)たち。

 そしてーーーーーーーーーーーーーー空を割って出てきた得体の知れないモノ。

 ーーーシキは何か知ってるのか? “アレ”が何なのかを。

 シキは形の綺麗な顎のラインを擦ると一言「知らない」と答える。

 「もしかしたら知っていたかもしれない………………だが申し訳ないけど“私も忘れてしまっているようだ”。覚えているのは君の事と君が最後に見た光景。そして自分が君にシキと呼ばれていて年齢が四桁を越えていた、と言うことだけかな?」

 ーーー四桁? 俺と同じ歳にしか見えねぇけど…………………………。

 すると悠里の体が何か浮くような感覚が襲う。

 「時間かーーーーーーーーーーーーーーどうやら目を覚ます時みたいだね」

 少し薄暗い景色が色を帯びていく。

 机と椅子が綺麗に整頓されていて部屋の前後には黒板が置かれている。

 ーーーここは………………教室?

 「そう、ここは私と悠里が初めて出会った場所だった。そして“彼ら”とも」

 シキはそう言うと教室の扉へ歩いていく。

 ガラリと開けるとその先は真っ暗な闇が広がっていた。

 ーーーお、おい、どこに行くんだよ! 俺、まだシキの事何にも思い出せてねーぞ!

 「大丈夫」

 クルリと振り返った彼女は見た目通りのーーーーーーーーーーーーーー年相応の少女のような笑みを浮かべる。



 「悠里とシキは文字通り一心同体だから。君が思い出す度に貴方の“力”になれるから」



 そう言ってシキは向こう側へ足を進める。

 悠里の体が同時に浮いていくのを感じ目が覚める予感が強くなっていく。

 「貴方と………………悠里と話せてシキは嬉しい。その気持ちを思い出せただけでも良かった」

 そして世界が光に包まれる。

 最後、彼女(シキ)の瞳からは一筋の涙が零れていくのを悠里はまだ気付いていなかった。

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