1/16
【掌編】歓喜
【ジャンル】その他
海岸線が迫り、住める土地が減っていく。その土地はもう既に、彼等を住まわせるには狭くなり過ぎていた。
「どうする?」
「どうもこうも、選択肢は少ないだろ」
「だったら、もう……」
話し合いの結果、彼等はその土地を捨てる決意をし、去っていく。
けれど、その決定はあまりにも厳しく、道半ばで息絶える者が大半だった。
その土地に残った者達も、どんどんと迫り来る海岸線に半ば諦めていた。
そこに降る、強い雨。そうそれは、
「雨だ……」
「雨が降ってきたぞ!」
「もうこれで、終わりだ」
終わりを告げる雨。
「これで俺達は、救われる」
「やったぞ!」
皆は歓喜の声を上げた。そう終わったのだ。
「陸に上がった者達は、大丈夫なのだろうか」
乾いた季節が。