始まり
続きです。
洋孝の目の前には、さっき森で離れたはずの金髪の男の子がいた。
「・・・おっ、お前なんでここに、俺の方が早かったのに」
「そんなことよりも、もう時間がない早く来て」
金髪の男の子はまたも俺の腕をつかみとり、小屋の中へ入れ、奥にある部屋の扉を開けた。
「さあ、入って」
洋孝は部屋に入るなり驚いていた。
部屋の中は何の変哲もない十畳くらいのリビングだが、そこにいたのは洋孝の知らない五人の男女がいた。
「洋孝くんが来てこれで六人全員そろったね、じゃあみんな集まって」
金髪の男の子が呼びかけてリビングの右側にある六人掛けの大きなテーブルの奥にたつ。
「僕から見て右側に女子で左側に男子が座って」
洋孝以外の五人は言われた通りに座る、呆然としていた洋孝は遅れて一番最後に座った。
目の前の女の子が見てきたので見返すと目が合う。気まずくなったのか女の子は顔を俯かせる。
「ではこれより、第四回平行世界ゲームの内容について僭越ながら説明させていただきます。」
さっきまでの軽い態度から一変し毅然とした態度で金髪の男の子は話す。
「ちょっと待ってくれ、なんなんだその平行世界ゲームってのは」
洋孝の右隣に座っている眼鏡をかけ髪をきっちりと七三にわけいかにも頭が良さそうな男が言う。
「質問は私から投げかけた時にお願いいたします。ご理解いただきます」
金髪の男の子は一礼して仕切り直す。
「まず私の名前はクプと申します、お見知りおきを」
金髪の男の子はクプ名乗り説明しはじめる。
「最初にあなたたち六人がなぜ選ばれたのかは、説明するまでもなく至極単純な理由です。ただ神がランダムに選んだだけです。」
眼鏡の男が机に両手を打ち付けて勢いよく立ち上がる。その拍子に座っていた椅子がバタン!と倒れる。
「ふざけるな!何が神だ俺は大学の大事な受験があるんだこんなところで遊んでいる時間はない帰らしていただきたい。言っとくがこれは質問ではなく意見だ」
クプはそのことを予期していたように、変わらず話を続ける。
「分かりました、ですが心配はございません。この世界とあちらの世界では時間の流れが違います、こちらでの一日があちらでの一秒となりますので、ご安心ください」
「・・・なっ」
眼鏡の男は言葉を失い意味が分からんといった顔をしている。
「え、なにこちらとかあちらとか?」
女子列の一番前に座っているポニーテイルを高い位置に縛っている茶髪の女が言う。
「質問はこちらからと言いましたがもうこの際いいでしょう進みませんから。
こちらというのはゲームの為に作られた世界です。あちらというのがあなたたちが住む現実の世界です」
「・・・で、その平行世界ゲームってのはなに?」
男子列の一番前に座っている角刈りの頭で体格のいい男が言う。
「はい、平行世界ゲームというのは、あなたたちの世界と平行して流れている世界の人達と自分たちの世界を賭けてゲームをすると言うことです」
クプは話を続ける。
「この世界にはいくつもの異なる時間軸の世界があります。その数は今や私たちも把握するのに困難を極めております。そのため、神がご決断なさったのが世界を減らすと言うことです。」
「減らす!?どうやって?」
茶髪の女は驚愕し、体を前のめりにしてクプに問う。
「このゲームに負けた世界はその世界の存在が消えてしまうということです」
クプは敗者だから当たり前、と言わんばかりに言う。
「そのゲームの内容は?」
洋孝は初めてこの会話に加わった。
「はい、ゲームの内容は、ファンタジーで、勝利条件は自国の勝利です。」
「・・・自国の勝利?」
洋孝の目の前の女が首を傾けながら呟く。
「まずこの世界は五つの国に分かれています。あなたたち六人は南東に位置するアルバート王国に従事ることとなります。ほかの四つの国にはあなたたちとは異なる世界の人が従事ます。」
「で、従事ている国をその五つの国の中で一番にしろと」
角刈りの男がクプの言葉を遮り言う。
「はい、その通りです」
「・・・でも、そんな国と国同士の戦争にどうやって入って行けと?今見た感じだとここにいるのは、十代の男女六人だぞ、ましてや戦いなんて無理だろ」
角刈り男の言うとおりだと洋孝は同感する。
確かに戦いなんてなぁー。
「そこで、あなたたち六人には少し特集な能力を授けることになっております」
「特殊な能力?」
洋孝は呟く。
パチン!!
クプが指を鳴らすと机の中央に黒い箱が現れた。
「皆さんその箱に手を伸ばしてください。どの方向からでも大丈夫ですので、さあ」
洋孝達は言われた通りおそるおそる手を伸ばしていく。
箱には何処にも手を入れる穴などない。
手が箱に触れた瞬間ピチャン!と音が鳴った。一瞬驚いたが、そのまま手を箱の中に入れる、冷たい水の中に手を入れてる感じだ。
「そのまま手を箱の中で強く握ってください。握ったら手を箱から出してください」
クプが言ったとおり六人全員が箱の中で強く拳を作り、箱から抜き出す。
全員の拳が抜けた瞬間黒い箱が机の上から消えた。
洋孝は自分の拳を見つめる。箱から出した時何かが拳に中に入ってきたと言うよりも出てきたという感じの方が強い。
「では、手を開いてください。そこに自分が持つ能力が刻まれています」
洋孝は強く握っていた拳をゆっくりと開く。
手のひらには何か黒い文字が刻まれている。
「・・・曲芸師?」
何これ、曲芸が俺の能力?
「これで私の仕事は終了しました。後の詳細のことは隣の部屋にまとめております、ここから先何をするかはあなたたちの自由です。主よ彼らに神のご加護を」
「おっ・・・おい!まだ聞きたいことあるんだ・・・・・・」
眼鏡の男が引き留めようとするが、クプは洋孝達の目の前から消えてしっまた。
読んでくれてありがとうございました。




