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14話 「妹たちと勉強合宿」中編

 レナ家のベッドは思ったよりも狭かった。

 まるでこうなることを想定したかのような狭さだ。ただ、一応二人用のベッドなのだという。

 よりによって他の3人とは別室というオプション付きだ。

 まったく……こんな状況シスコンの俺以外は全然嬉しくないんだからな。

 ……なんてくだらないことを考えているうちに智咲がシャワーから戻ってきた。

「兄さん、先シャワー浴びてくるね」なんてやけに艶っぽい表情を見せるものだから兄さんは少しばかりドキッとしてしまった。

「お待たせ兄さん」

 振り向くと、そこにはバスタオルを身に纏った智咲がいた。シャワーを浴びたあとだからか頬が火照っている。

 そんな姿に思わず見惚れていると智咲の表情が少し曇っていく。

「……兄さんの変態。……シスコン」

「シスコンはそうだけど変態は酷くないか」

「変態は変態よ……やけに見つめてくるし鼻の下伸びてるし」

「こ、これは状況反射ってやつだ。俺は悪くない。 生物的に自然な話であってだな」

「だとしても兄さんのはなんかいやらしいのよ」


 どうやらこのままではキリがなさそうだ。この場合俺があきらかに不利である。

 これはあれだ。まさに男はつらいよってやつだ。


「早くシャワー浴びてきてよね」

「あ、ああ」


 あまりにもシャワーを急かされるものだからしぶしぶシャワーしつに向かう。

 てかなんなんだこのシチュエーション。 映画やドラマで見たことのあるようなそんなシチュエーション。

 ただ、相手との関係が違う。

 相手は俺の大事な妹、智咲だ。 

 当たり前だが妹に対してそんな邪な気持ちなどないのだが……

 さっきの智咲の表情には少しドキッとしてしまった。

 まあ、それは特別な感情とかそういうものではない。

 俺も男の子だということだ。

 妹にドキッとしてしまうことは世間から見たら普通じゃないのかもしれないが……

 そんな雑念を振り払うかのように俺はシャワーを浴びた。

 シャワーから戻ると智咲はベッドの上に座りスマホをいじっていた。

「お待たせ智咲」

「あ、おかえ……別に待ってない」

 え、ここまできてその態度なんですか智咲さん。

 まあ、なんていうかブレないよなこいつも。

「そんなこと言うなよ第一シャワー浴びてこいって言ったのは智咲だろ」

「う……そうだけどなんか恥ずかしいじゃない」

 智咲はそう言うと恥ずかしそうに目を逸らした。

 なんとなく居心地の悪さを感じた俺は話題を変えることにした。

「そういえばお前数学の問題また同じところが間違ってたぞ。 ちゃんと復習してるのか」

「し、してるわよ。 ただ数学はなんか苦手で……」

「苦手だからって逃げてちゃしょうがないだろう。 わからないところは兄さんが教えてやるからさ。 ちゃんと言えよな」

「……兄さんだって逃げてばっかりじゃない」

「ん、何だって」

「別に。 何でもない」

 そう言って智咲は俺から背をむけた。

 そのまま俺たちはお互いに背を向けたまま眠りについた。

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