13話「妹たちと期末テスト」後編
今は休憩時間。
レナがやけに深刻そうな顔をするもんだからとりあえず外まで出てきたところだ。
「で、どうしたんだ?」
そう尋ねてもレナは俯いたまま返事をしない。
呼び出したのはそっちなのに失礼なやつだ。
まあ、でもこの様子からするとそれなりの理由があるのだろう。
「……期末テスト」
「期末テスト?」
普段のハキハキと物事を話すレナとは違い何か言いづらいことを勇気を出して言いかけているように見えた。
「その……あれよ。 期末テスト、頑張るから」
「急にどうしたんだよ」
「別に何でもいいでしょ」
「そうかよ」
「言っとくけど、あんたとのデートが目的じゃないからね。 あんなの私にとっては罰ゲームよ」
「お前なあ」
そう言った途端、レナは真面目な顔つきになり続けた。
「負けたくないって思ったのよ。 ほら、私ってお嬢様じゃない?」
「お、おう。 改めてなんだよ」
「だからある程度のことは今まで何とかしてもらってきたの。 主にシゲ爺の力でね」
「でもいつまでたってもこのままじゃ駄目だって思ったのよ。 シゲ爺に頼りっぱなしなのは嫌。 それで出来ればテストで良い点数を取ってシゲ爺を安心させたいのよ」
「……なるほどな。 でもお前を特別扱いはできないぞ。 あくまで対等に他の連中と同じように教えていく。 勿論分からないことは聞いてくれて構わない。 それでもいいか?」
「そんなの充分承知よ。 ただ、決意表明を誰かにしたかったのよ。 ほら、あんたなら話しやすいし」
そう言いかけた途端レナは何故か一瞬恥ずかしそうな顔をし、すぐ元の顔へと戻った。
「と、とにかく休憩が終わったら質問攻めするから覚えてなさい!」
「あいよ」
正直レナがこんなに自主的になってくれるとは思わなかった。
真っ当な理由があるにせよ教える側としては好都合だ。
どうやらこれから忙しくなりそうだ。




