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1一5。

よろしくお願いします。

守護騎士団が遠征から帰ってきてから団内は騒がしい。


ストリーム団長の扱きも相変わらずで、怪我人も増えた。

だが流石守護騎士。治療に来るのは切り傷、打撲くらいで重症者はいない。身体管理も騎士の勤め。迂闊に怪我でもしたら逆に叱責を受ける。確実に。

怪我する軟弱者など鍛錬不足だ、とストリーム団長に扱かれるのは必須。

ま、軟弱者では守護には居られないのは確かだ。

軽い傷や打撲なら騎士自身、自分で対処するのが当然だ。戦場で必ず医師がいるとは限らない。自分で治療し包帯の巻き方も会得しているため薬だけ渡すこともあり、患部確認して薬を渡す。




医師に診てもらいに来るのはもっぱら衛兵騎士団か見習いか。守護より下の騎士が多い。

騎士は魔物退治で負ったりもする。傷は毒傷もあり、薬師の出番になる。

最近この辺りの魔物も減って、その手の患者は少なくなった。





マイラは当番の薬草畑に向かい、水やり肥料、雑草を刈って畑を見回った。


薬草により栽培場所が異なり、範囲は広い。

天日場所の畑と日陰の畑、ジメジメした水場の近くの畑、乾燥した畑、それぞれを見回り最後に温室に入った。




「………また、ですか?サボりがバレる前に戻った方が良いのでは?」

マイラは温室の中で寝転び昼寝する人物に、辟易した顔で声をかける。



「ん〜〜。あとちょっと、寝かせてくれ……」

「怒られるのはバーグ副隊長です。知りませんよ」



通路の真ん中で仰向けに寝転び、両腕を枕にして昼寝をするのは、守護騎士団第一隊副隊長グランド・バーグ。


濃紺色の長髪、アイスブルーの瞳。切れ長のツリ目は鋭い。深い彫りにハッキリした眉。目鼻立ちは荒削りの彫刻のように骨張り、面長の角張った顔は、男らしい顔付きだ。

女性にもモテるらしく夜な夜な街に繰り出すらしく仕事がはかどらないと隊長が愚痴っているのを聞いた。



「団長達に、こき使われて疲れてんだ。休ませろ」



扱き使われているのは隊長の方では?と思わずツッコミたかったが反撃が怖いので辞めておいた。低い声が足下から聞こえるが、無視して水やりをする。



「冷てっ!ぅわっ!水かかる!」

「邪魔です」



毎度同じ会話をするのも面倒。

しょっ中、ここにサボりに来るバーグ副隊長は、通路の真ん中で寝転び、邪魔以外何者でも無い。


水がかかり、渋々起き上がるバーグ副隊長はマイラを恨めしげに睨んでいる。

通路で胡座をかいて座り込むのも邪魔なのだが、これ以上言うとバーグ副隊長から八つ当たりが来るのが確定なので黙っておく。



「ちゃんと鍵かけて出てくださいよ」

「へいへい」



再び寝転ぶバーグ副隊長を尻目に、水やりを済ましマイラは温室を後にした。




ーー




医務室に戻るとローザちゃんが来ていた。


ローザからは花の香油が芳しく香りマイラの顔も緩んだ。ふわふわの髪を揺らし微笑みながら見上げるローザちゃんは文句なく可愛い。

ピンクのフリフリワンピースに白いレースのショールが可愛さアップだ。


ムサイ野郎相手の後では特にホッとするマイラだが、ザザがそれを横目でジロリと睨んでいるのを背筋を冷やしながら感じていた。



「お菓子を焼いてきましたのよ!初めてクッキーを作ったので型が上手くいかなかったのですが」

「ローザちゃん自分で焼いたの?凄いね!」

「うちのローザの手作りが食べれるなんて果報者だね」



ザザの毎度な態度はスルーしてマイラはローザ手作りクッキーを口にした。


ドライフルーツとナッツの塩気が絶妙でとても美味しい。

型がいびつと言っても丸ではなく、楕円だったり、少しヒビが入っている程度だ。


そう伝えるとローザははにかみながら頬を染めている。

可愛い仕草に目を奪われる間も無くザザの冷気に現実に引き戻された。



ローザちゃんに手は出さないですよ?





ザザの剣呑な視線に冷や汗が流れた。




ーー




薬師の仕事の合間にマイラは薬の研究に勤しむ。


王宮にいるため新しい薬草の情報や新薬を知ることができるのがありがたい。

文献を読んで資料を集め実際調合をしてみる。

改良を重ね自分なりに研究する。



新薬開発に向けマイラは時間が空いたら研究に没頭した。





(特許取っていつか自立してやる!)




マイラの決意は誰も知らない。








ご読了ありがとうございます。



2017.08.05加筆修正。

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