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1一3。

ブクマありがとうございますm(__)m


まったりゆっくりペースですがお付き合い頂けたら幸いです。


相棒のザザから処方済の束を渡され各部隊毎に仕分ける。


薬の代金は給与から引かれる。

書類の回収が来るまでに終わらせないと経理課から叱言がくるから仕分けは素早く済ます。



薬師の仕事は調薬や処方にミスが無いようにペアを組んで仕事に取り組むようになっている。

マイラとザザは組んで二年程のペアだ。

慣れない頃はザザにお小言の日々だったが最近では落ち着いたもんだ。


他にも同僚がいる。


短く整えた髪にたっぷりなお腹でのんびり屋のシェカ・ラートと、中肉中背で眼鏡をかけたティフィン・ドローレスは同期で組んでいる中年オヤジ同士。


白髪混じりの枯れ木のようなシャル・トリューズと、猫背で頭皮が心配気味なベッツイ・ロス。年配のトリューズと中年のロスが従うような感じのペア。


マイラとザザは薬師の中で一番年若い二人。

若い故に扱き使われているのが二人には不満だ。

体力を使う擂り粉木で薬草を潰したり粉末にするのはもっぱら二人の担当にされている。



担当部署は守護騎士団衛兵団と近衛騎士団と別れている。

近衛騎士団は城の中に本部があり、守護騎士団衛兵団は城と隣接して別棟になっている。


宮廷内担当は、宮廷内勤務の文官や従者や女官、料理人から下働きまで様々な宮廷内の担当だ。




マイラとザザは騎士団、衛兵団担当だ。

ここ守護騎士、衛兵騎士などは荒事を担当している者が多いため薬草の使用頻度が高い。

若い二人が担当させられるのも仕方がない状況に諦めた二人だった。




マイラの相棒、ザザ・クエーカーズは名門侯爵家の三男坊だ。

柔らかな表情でいつも周りを和ませ、場の雰囲気を読むのが得意だ。

ゆるいウエーブのかかった短かめの茶髪。優しく弧を引く眉に、彫りは浅く黄緑色の瞳でタレ目のアーモンドアイに整った鼻梁。形の良い唇に、細い顎。

そして、いわゆる童顔。美男な童顔。

コレを言うと辛辣な言動で返り討ちにされる。可愛い顔して毒舌な彼は、怒らせてはいけない人物の一人だと思っている。

出会った当初は可愛い顔して仕事のミスを説教するし、にっこり笑って腹黒いオーラを醸してた。


名門貴族出身とはいえ跡を継ぐ必要の無い三男の彼は、早々に家に見切りをつけ家を出た。薬師という手に職を持ち、自立する堅実な男だ。名家の出ならそんな必死にならなくても暮らせるようだが、甘んじない彼には尊敬する。


ただ、そんな彼はマイラと同じく、身長の低さを競う同志でもあるらしい。

勝手に同志にしないで欲しいのだが。

マイラより5センチは差があるのだから充分だと思う。

まあ、体躯のいい190センチ以上がうようよ闊歩する騎士団にいれば埋もれるのも仕方がないと思うが。

マイラ自身は身長など気にしていないので、迷惑千万だ。




「ザザ、今日は多かったな」

「守護団長のせいさ」


「あー。あの人も容赦無いからな」

「残した部隊の鍛錬だろ。遠征に行かなかった間、弛んでる!って扱いてるのさ」



守護騎士団長だから、容赦無いのは当たり前。

手抜きの稽古はあり得ない。

最近、遠征から帰ってきたから、稽古が厳しくなったようだ。


マイラは増えた処方箋の束に視線を向けた。

減った常備薬の他に、調合に手間がかかりすぐに渡せない薬の製作。山盛りの書類にマイラとザザが腕を組んで眺めていた。





「とうぶん、定番の常備薬の追加を多めにするか」

「ああ。残業確定だけど。僕早く帰りたかったよ……」



ザザが選薬しながら口をへの字に曲げ溜め息をつく。



「まずは、湿布と痛み止め、消毒薬、炎症止めの追加だな。自分は炎症止めから作るかな」



乾燥した薬草をすり鉢で細かくするのは、意外に腕力握力が必要な重労働だ。


この量は久し振りに筋肉痛になるなぁ、とマイラはゴチた。







地味な肉体労働に身体が疲れたころ、来客者が来た。

こんな遅くに誰だろうと思ったが、ザザが声を上げた。



「夜なのに外出しちゃダメだよ?危ないだろ?」

「大丈夫です!父様がお城にご用事で行かれるのに便乗致しました。警護もいますよ?」



悪びれない表情で華やかに笑う金色の髪をふわりと舞わせ微笑む美少女。

ザザの妹のローザ・クエーカーズだ。

ザザより十歳年下で同じく童顔寄りの可愛らしい目鼻立ち。

朗らかに笑うローザの回りには花が咲いているかのように華やかに見える。


可愛いは正義だ、とマイラが眺めているとザザに睨まれた。



「兄様ダメですよ?マイラさん兄がお世話になっております」

「いえ、こちらこそ。お兄様にはお世話になってばかりです」



礼儀正しい淑女たる挨拶と優しい気遣いを兼ね備えたローザちゃんはザザ溺愛の妹だ。

手を出そうとした者は確実に事前に沈められる。

妙齢の適齢期なのに兄弟揃って鉄壁のガードをしていれば彼女も大変だなぁ、と二人を眺めた。



「差し入れをお持ちしました。食べてくださいね」

「ローザありがとう。でも危ないから夜の外出はダメだよ」

「そうだよ。ローザちゃんに何かあったら医務室が崩壊しちゃうからね」


「ふーん。マイラは僕をそう見ているんだね?」

「いや、妹への愛が溢れているなぁ、と……」

「兄様!マイラさんをいじめてはダメですわよ?」




妹絡みの発言は命取りになるから控えようと心掛けたマイラだった。




護衛に伴われ帰ったローザちゃんを名残惜しそうに見つめていたザザ。



「マイラ、ローザはあげないよ?」

「妹に腑抜けたザザを見てたの。ローザちゃんは可愛いけど自分の好みじゃないから安心して」


「ローザが好みじゃないなら、何が好み?」

「へっ?あー。いや、特に無い」



未練がましいザザを見ていたのに、勘違い兄貴は困る。

不用意な会話はブーメランで戻ってくるから気をつけないとダメだ、と反省した。



日々ザザの取り扱い注意メモが心の中に溜まっていくマイラだった。





ローザちゃんの持って来てくれたサンドイッチを頬張り薬を作った。

残業で作れる分を作り、這々の体で宿舎に戻った。





マイラは侯爵なため個室を与えられている。風呂トイレ完備の部屋だ。

魔石に手をかざしてお湯を入れ湯船に溜める。



「気兼ねなく風呂に入れるのは助かるねー」



半分寝惚けながら浸かり、早々に寝台に横になるとマイラは眠りについた。


説明回でした。

設定ゆるゆるですが……。




ご読了ありがとうございます。

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