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2ー7。

ブクマありがとうございます。


よろしくお願いします。

マイラは医師団に混じり昨日の手当ての続きを手伝っていた。だが途中で呼び出しをくらい意気消沈で呼び出された場所に向かった。



扉の前に立って深呼吸をし、扉を叩いた。



「マイラ・バーンズです。ご用命により参じました」

「よく来たな。ま、入れ」

「はい」



呼びつけたのはストリーム団長。

でもこの部屋はタレア砦の司令室。

タレア砦司令官ムカロ・アースクエークと、副館長ディサローノ・パーメット、その横にラティス・ネール副団長が並び錚々たる顔ぶれにマイラは食べた物を吐きそうな緊張感に包まれた。



ソファに座り正面にアースクエーク司令官と右前にストリーム団長がどっしりと座っている。

パーメット副官長とネール副団長がそれぞれ背後に立っている。

デカイ筋肉隆々四人に雁首揃えて見られ血の気が下がり貧血で倒れたいマイラだった。

紅茶を出されたが口を付ける余裕もなく身構え緊張感に包まれた。



ストリーム団長はアースクエーク官長に目配せし、アースクエーク館長は肩を落としマイラに向き合った。



「私が砦の司令官ムカロ・アースクエークだ。君に聞きたいことがあって来てもらった。嘘偽りなく答えて欲しい」



アースクエーク司令官の声は穏やかだ。

聞いているだけなら低くく聴き心地の良い声だと思われる。

姿さえ見なければ。


……灰色熊。

灰色のもさっとした髪にもさっとした髭。

灰色熊と形容するに相応しい外見。

ストリーム団長より体躯のあるゴリゴリマッチョ。

威圧する眼光に抗える人は居ないだろうと断言できる双眸の恐ろしさ。

国境で隣国に睨みを効かし魔物から国を守る司令官の貫禄は伊達では無いと言うところだ。


副官長のディサローノ・パーメットは、尖った顎の細面な顔付きだ。鷲鼻で狐眼で見るからに神経質そうに見えた。



マイラは蛇に睨まれたカエルのごとく、身動きひとつ取れると思えない恐怖に冷たい汗が滝のように流れた。



「君が魔物を退かせた。でいいのかな?」

「はい……」


「その煙は?」

「じ、自作しましたっ」



ひとつ答えただけでマイラの口の中がカラカラになる。

唾を飲み込むだけでも冷や汗が止まらない。



「王都周辺でそれを使ったかな?」

「……はい。試作を試しました」


「王都周辺の魔物が激減しているのを知っているか?」

「し、知りません、でした」


「過去形と言うことは?」

「魔物に襲われた後、治療中に耳にしました」


「魔物の生態分布が変わったのは知らなかった、と」

「は、い」



生態系に影響を受けていた、と改めて知らされ、自分のしでかしたことに今更ながらに気がつきマイラは俯き、腿の上に置いていた手をギュッと握り締めた。



「その煙。上に報告は?」

「していません。試作なので」


「試作であろうと、報告をするべきではなかったのではないかな?」



アースクエーク司令官の口調は変わらない。だが眼光の鋭さが増しマイラは震えが上がるのを押し留めるのが精一杯だった。



「そ、それは……魔物が除けると気がついたのは偶然なんです……」

「偶然?」

「これは本来、虫除けで試作してたんです」



ただの言い訳だ……。

言い訳なのは分かっているがマイラは作った経緯を説明した。


薬草やハーブを使って虫除けを作りたかった、と。

薬草に殺虫剤をかけると薬草が変質するため使えず、葉を傷めず虫に食われない虫除けを試作していた。

王都周辺の森で試し、ある日魔物に襲われかけた。大型犬くらいの犬のような熊のような魔物。脚の長い子熊のような魔物に襲われ、虫除けの液が偶然魔物にかかったら魔物が逃げた、と。

その時初めて魔物に有効だと知った。

それから虫除けを改良して今に至った、と説明をした。



アースクエーク司令官はマイラの説明に、虫除け……。と呟き手で髭を撫でるとストリーム団長に視線を向けた。



ガルフ団長は顔を顰め嘆息すると事情を説明した。


ガルフ団長率いる守護騎士団は辺境の魔物の異変に隣国の策略かと神経を尖らせていた。

王都周辺の魔物が他所へと移り、移った先で被害が増加していたのだ。

増加変動の謎が分からず探っていたのだと言われマイラの血の気が下がり蒼白した。

守護騎士団の出動原因を自分が作りだしたのだと知りマイラは力なく項垂れた。


ストリーム団長に顔色なく向き、覚悟を決めて口を開いた。



「私の、処分は……」


「ああ。……特にない」



その言葉に目を見張った。

マイラは周りを見渡し、パーメット副官長とネール副団長を見る。

パーメット副官長は、なぜか安堵したという風態で肩を落とし、ネール副団長は呆れ顔がありありと浮かぶ表情で佇んでいた。



ただ……と、言葉を続けるストリーム団長に視線を戻すと悪魔がいた。

もとい、極悪な笑みで口元を歪めるストリーム団長がニヤリと笑った。



「魔物除け、作れよ?」


「はい……」



マイラは力なく返事を返した。








お読みくださりありがとうございます。


2017.07.26誤字修正

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