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2ー6。

ブクマありがとうございます。

とても嬉しいです。


よろしくお願いします。


マイラは目を覚ましぼんやり天井を見上げた。




あー。

昨日バーグ副隊長に世話になった気がする。


…………大丈夫だったか?自分……。



徹夜に意識が切れるまで起きていたが寝落ちたあたりは覚えていない。

自分の状態がわからずマイラは動揺した。



(……大丈夫だったかなぁ)



寝ぼけた頭で整理しきれない記憶をなんとか引き出しているとドアを叩く音が聞こえた。



「おーい。起きてるか?昼飯食い逸れるぞー!」

「あー、はい!着替えたら行きます!」


「お、起きたな。徹夜の治療お疲れ。早く食堂に向かえよ」

「はい。ありがとうございます」



そう言うと声の主は、先に行くぞ。と言い足音が遠ざかるのが聞こえた。

あの声は第一隊長アーバン・ダスクだ。バーグ副隊長の上司で、しかも公爵様だ。

愛妻家で子煩悩なダスク隊長は遠征に行くたびに妻や子供と離れる不満や愚痴をバーグ副隊長に言うらしい。

その愚痴を温室で寝転がるバーグ副隊長から聞かされるコッチも困るのだが。


この官舎は上位貴族には個室が与えられる。

マイラも侯爵の身内であり、宮廷医術師バーンズの弟子と言う肩書きもあり個室を与えられた。

新入りが個室など過分な対応に恐縮する思いだがマイラ自身事情があるため個室は助かった、と呟く。

小さくとも浴室とトイレがあるだけで充分だ。


マイラは急いで着替え食堂へ向かった。



筋骨隆々がひしめく中、隅っこでモソモソと食事をしていると向かいに誰か座った。

その視界の端に動く気配を捉え上目遣いに視線を動かした。



「大活躍だな」

「ぁー。ウォールバンガー副隊長……」



第四副隊長バーベイ・ウォールバンガーがマイラの前の席に着いた。早速肉を齧りマイラを見つめるウォールバンガー副隊長をウンザリとした顔で見返した。

三十後半の年だと聞いたが若く見えるウォールバンガー副隊長。物静かで穏やかだが表情筋があまり動かないタイプの性格。目付きで感情を読み取らないと難しい人だ。



昨日魔物退散を成したマイラを興味深く視線を向ける者達から隠れるようにしていたマイラ。

ウォールバンガー副隊長にも興味津々だと瞳が訴えているのを嫌でも感じマイラは溜め息しか出なかった。



「アレ、凄かったな」

「……自分でもビックリしてますよ」


「ん?お前が作ったんじゃないのか?」

「…まぁ、そうですが……」



サラダを口に運び口籠もり俯いたマイラ。それをウォールバンガー副隊長は口元を緩め苦笑しながら見つめた。

あれだけのことをしながら自信なさげに萎縮するマイラの気質を感慨深く考察している。

普通なら自慢して胸を張れる偉業だと思うのだが、視線を避けコソコソするマイラに逆に視線が集まっているのを観察していたのだ。



だが誰もが、それを偉業と思うワケでは無いのだ。



「何様のつもりかねぇ」

「騎士に取って変るつもりじゃね?」

「おー。俺らお払い箱か?」

「代わりにやってくれるとさ!」

「頼もしいもんだなぁ」



手柄を盗られたと愚痴る、いや、マイラに聞かすように皮肉を口にする騎士の会話が耳に入ってくる。

ハッとしたマイラは居心地悪くなり身を縮めパンで乾いた口の中を水で流し込み席を立った。

が、その時ウォールバンガー副隊長はマイラの手を掴み立ち去るのを制した。

マイラは何故掴まれたのか判らず戸惑いウォールバンガー副隊長に視線を向けた。だがウォールバンガー副隊長の顔は反対を向いており後頭部しか見えなかった。

ウォールバンガー副隊長は愚痴っていた騎士に向いて言った。



「お前ら。あの事態を分って言っているのか?」



ウォールバンガー副隊長から冷たい視線を向けられた騎士達は青ざめた顔になり口籠もりながら視線を泳がしていた。



「あのままじゃ、全滅してたかもしれないんだぞ」



怒鳴るでもなくただ静かに低く言葉を口にするウォールバンガー副隊長。

静かなる威嚇にたじろいだ騎士達はガタガタと席を立ち慌てて、失礼しました。と頭を下げて去っていった。


居た堪れないマイラは掴まれた手を離して欲しくて腕を振るとウォールバンガー副隊長は、ああ悪い。と手を離した。



「気にするな。胸を張れ」



眼を細め微笑むウォールバンガー副隊長。

貫録ある騎士の微笑みは結構な衝撃のようで、周りから、副隊長が笑った。槍が降る。とか聞こえた。


居た堪れないマイラはオロオロしていたがウォールバンガー副隊長も席を立ちトレイを片付けてマイラと一緒に食堂を離れた。



「先程は、ありがとうございます」



マイラを庇い擁護してくれたウォールバンガー副隊長にぺこりと頭を下げ感謝した。マイラが騎士より出しゃばり騎士の仕事場を荒らしたのは事実。批難されても当然だとマイラは思っていた。

ウォールバンガー副隊長はマイラの頭をガシガシ撫でると、無理するなよ、と言うと去っていった。

ボサボサになった頭を手櫛で整え、マイラは溜め息をついた。






「……ザザに怒られるなぁ」









お読みくださりありがとうございました。

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