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2一4。

よろしくお願いします。

マイラは、魔物が引くのを確認すると救護へ急いだ。


本来の仕事である救護に向かった。




ーー




「敵もカンケーねーだろ!同じ人だよ!同じ怪我人なんだよ!面倒臭い!!口縫うぞ!!」



マイラは西の敵兵の治療にも当っていた。

誰もやらないから、仕方なくだが。

西の敵兵ではあるが、それでも怪我人には変わりがなく区別なく手当てするマイラを罵倒する者も居た。



「此奴らが魔物を引き入れたんだぞ!!」

「無断で国境超えたんだ!殺されても文句ないだろ!」

「此奴らのせいで仲間が死んだんだ!許せるか!!」



敵兵は魔物に追われ、自国に被害が出ぬように自身を囮としてわざわざ国境越えてこちら側に逃げてきたらしい。

逃げ込む先を敵国にするあたり、生きて帰るつもりは無いのだろう。


自分達を囮として魔物を引きつけ自国の兵に被害を出さず、魔物を敵国に引き入れたのは、作戦としては成功したと言えるか。

どちらにしても、捨て身の戦法。

人の命を軽んじる騎士は、やはり相容れないとマイラは思った。




荒くれ達にマイラの口調も感化され雑になる。

マイラは内心苦笑いをする。不謹慎だが。

雑な口を利くと、師匠に怒られるからだ。

侯爵の気品は保て、と。

やべ。

バレたら怒られると、冷や汗が流れた。




医術師も治療といえど魔力の無駄使いは出来ない。

骨まで達する傷、内臓に届く裂傷。様々な症状を判別し、トリアージする。

筋肉と筋、血管や神経の接続だけに魔力を使い結合させる医術師。裂けた肉は針と糸で縫合させ魔力を節約していく。

医師達に混じり、マイラは怪我人の処置に奔走した。


裂傷の縫合や消毒などは医師に任せ、マイラは毒抜きの処置を施す。飲み薬を処方し、傷から毒を器具で吸い出し、力のいる作業に額に汗をかきながらこなしていく。

ただ黙々と体力の続く限り怪我人を治療した。




終わる頃には脚も手にも力が入らず、大地に寝そべり空を見上げた。

夕暮れに差し掛かり濃紺と紅の見事なグラデーションに目を奪われた。



(空が綺麗ーー……)



あっちじゃ、1等星から3等星くらいしか観えなかったなぁ……と、ぼんやり思いながら背中から伝わる大地の冷たさに、火照った身体を鎮めてもらっていた。



見上げていた視界を黒い物体がぬっと遮った。



「お疲れ。飲むか?」



視線を動かすと黒い物体はジョッキを差し出しているストリーム団長だった。




「だっ!団長!?」



マイラは身体を起こし、杯を受け取った。驚き吃りながら、頂きます……と口を付け、ホッと一息つくとストリーム団長からの視線を感じ、恐る恐る見上げた。

膝を付き身を屈めても視線が上にある体躯に、デカイなぁ、と思いながら一瞥し、ハタッと、気が付いた。



ーー慇懃無礼!!!



マイラは急いで居住まいを正し頭を下げた。



「さ、先程は身をわきまえず団長に大変無礼を致し申し訳ありませんでした!団長に対して指示をするなど!如何様にも処分をお申し付けください」



マイラは平身低頭で頭を下げ謝罪した。


頭に血が上り冷静な判断が出来なかったとはいえ、ストリーム団長に撤退を指示したマイラは今更ながら背中が寒くなった。

撤退が適正判断だったのは確か。

それについては、冷静な判断に当たるのだが。



頭を下げ足元の大地に視線を落としストリーム団長の沙汰を待った。幾ばくかの間を置きジャリっと砂を踏み動く気配を感じた。

息を詰めストリーム団長の動きに身構えた。



「よくやった」



ストリーム団長にぽんと頭に手を置かれ、わしゃわしゃとマイラは頭を撫でられた。

手の重みで頭が下がっていくが、ストリーム団長は構わずに撫でている。

押される圧で首が痛いのだが。



「被害が少ないのはお前のおかげだ」



その言葉に顔を上げればストリーム団長は手を振りながら背を向け去っていった。



マイラはその背中をただ見つめていた。







お読みくださりありがとうございました。

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