十一話
時計を見ると9時半、学校が始まっていたら遅刻だっただろう。
とりあえず課題を出して、食堂に向かう。笹井さん、千歳先輩、藤原君が雑談をしていた。
おはようございます、と声をかけるとなぜか藤原君ににらまれる。
なんでだろう?と考えていると「俺トレーニング行ってきますね」と言って藤原君がいってしまった。
何かしてしまったのだろうか?
笹井さんと千歳先輩が気にするなといってくれたのでとりあえず朝食を食べる。
今日はトーストセットにしたが食事をもってきてくれた人に
「食堂が開いていれば軽食を作ってあげられるので忙しくても3食きちんと食べましょう」
と怒られてしまった。
ごちそうさまでしたといって席を立つと食事を運んでくれた人からおにぎりと綺麗な飴玉を二つもらった。
ありがとうございますと言って部屋に戻る。
笹井さんとの約束は午後からなのでそれまで何をしようか考えていると隣からガタガタと何かが落ちる音と寝坊したー!という春華さんの絶叫が聞こえてきた。
もう食堂はしまっている時間なのでもらったおにぎりをあげようと春華さんのドアをノックする。
「春華さん朝ごはんいりませんか?」
「いります! 蓮ちゃんありがと~」
話を聞くと遅くまで課題をやっていて寝坊したようだ。今回の課題難しかったししょうがない。
それじゃあまたといって部屋に戻るとまた課題が来ていた。
タイトルは復習テスト制限一時間、ちょうど昼食まで1時間あるのでテストに挑戦する。
テストは何とか全部埋めることができたのでテストを提出して昼食に向かう。
一番乗りだったようで誰もいない。この後動くのでうどんを少なめに頼んだ。うどんのお揚げを紫苑に少しあげるともっともっとと要求され結局一枚あげた。
うどんを食べ終え部屋へ戻る途中に笹井さんに会った。笹井さんとトレーニングの内容について少しはなしてから部屋に戻る。
運動着で来いと笹井さんに言われたので運動着に着替える。上着を着るか悩んだが手で持っていくことにした。
待ち合わせの玄関ホールに向かうと笹井さんと千歳先輩がいた。
「近衛ちゃん遅ーい!」
「すみません。千歳先輩もトレーニングですか?」
「暇だったから一緒にやろうと思ってね」
皆でストレッチをしてまずは走る。千歳先輩がいるせいか徐々にペースがあがってかなり苦しい。このペースで走っていても二人とも余裕そうで体力の差を痛感する。そのあとは筋トレと障害走を動けなくなるまでやらされた。
「今日はここまで! 笹井ちゃん、近衛ちゃんお疲れ様。」
その言葉に返事をすることなく私は倒れるように寝転がる。笹井さんでさえ座り込んで休んでいた。
「いや~二人とも体力お化けだね。近衛ちゃんもよく意識あるね。」
すごいすごいと褒めてくれるが同じメニューをこなして笑っている千歳先輩はもしかしたら人間をやめてるのかもしれない。
「近衛ちゃん、化け物を見るような目で先輩を見るのはやめてね。笹井さんはわかっていると思うけど私はズルしてただけだから」
「やっぱり【身体強化】使ってたんですか」
笹井さんがあきれるように言う。
「正解! 逆に【身体強化】なしでこのメニューをこなす近衛ちゃんたちが怖いよ!」
千歳先輩が爆笑しながら笹井さんと会話をしている。
やばいすごく眠い。千歳先輩に近衛ちゃん?と話しかけられるが答えられずそのまま意識を失った。
目を覚ますと自分の部屋のベッドにいる。なんで部屋にいるのだろう?
部屋を見渡すと紫苑がこちらに気付き紙を咥えて寄ってくる。
紫苑から受け取った紙には私があの後眠って起きなかったので部屋に運んだ事、机の上に置いてあるスポーツドリンクを飲むことと書かれていた。
時計を見ると食堂が開くには少し早いので洗濯を回してシャワーを浴びる。
紫苑と明日はサチリたちと一緒に遊ぼうね、と話をして時間を潰す。紫苑が耳をぴくぴくと動かしているのでどうしたんだろうと思っていると、ドアがノックされる。
ドアを開けると千歳先輩がいた。
「体調大丈夫そうだね。笹井さんも一緒に食堂行こうと思うんだけど、大丈夫そう?」
「もう大丈夫です。飲み物もありがとうございます」
「大丈夫そうならよかった。じゃあ食堂いこっか?」
一緒に食堂に向かう。食堂には菊池さん、春華さん、藤原君が食事をしていた。笹井さんはまだのようだ。
私は今日のメニューからチキン南蛮定食を選び席に座るとすぐに笹井さんもやってきた。
笹井さんもチキン南蛮定食を頼み同じテーブルの席に着く。すぐに皆の食事が運ばれてきた。千歳先輩は竜田揚げのようだ。
「しかし近衛ちゃんが返事をしないから熱中症で倒れたかと思ったら、すやすや寝ててびっくりしたよ」
いやぁ~びっくりしたと千歳先輩が笑いながら言う。
「す、すみません」
「あれは俺もびっくりした」
笹井さんまで笑い出した。
大きくなるんだぞ~と竜田揚げを一つ千歳先輩からもらった。笹井さんも悪乗りして大きくなるんだぞと言いながら一切れチキン南蛮を私のさらに乗せる。これ以上大きくなるのはなんとか阻止したい。これ以上ここにいるともっとからかわれると思い部屋に戻る。
菊池さんと明日のことを話そうと思い隣の菊池さんの部屋に向かう。ノックをしても反応がないので、談話室に行ってみると談話室には菊池さん、春華さん、藤原君が課題をやっていた。
菊池さんは丁度藤原君に勉強を教えているところだったので邪魔をしちゃいけないと思い部屋に戻ろうとするが少し待っていてと菊池さんに止められてしまう。
仕方がないので談話室にある本をソファで読み始める。
本のタイトルは[これで今日からマジシャン!]と書かれていた。魔法について書かれていると思って読んでみたら手品の指南書だった。
なかなか難しいので途中から真剣に練習していた。練習をしていると肩をたたかれる。
「待たせてごめんなさい」
「全然待ってないんで大丈夫ですよ」
私は練習したばかりの手品で飴玉をポンッと手の上に出して飴玉を菊池さんにわたす。
菊池さんは驚いてくれた。暇なときは手品の練習をするのもいいかもしれない。
明日は10時に庭に集合にすることになり春華さんたちも誘いますか?と聞くと一応誘てみるけど課題で忙しそうだったら無理にさそわないことにした。
「課題は大丈夫?」
「結構難しくなってきました」
「いつでも聞いてね。明日の午後は一緒に勉強しましょうか」
予定は決まったので、部屋に戻る。菊池さんはまた春華さんたちの勉強をみるようだ。
部屋に戻ると午後の疲れもありぐっすり寝てしまった。




