密室にて…
コレを書いた時も、季節は正に夏でした。現在かなり季節ズレズレ…スミマセン(汗)
〜古栗鼠商会とある重役室〜
コンコンコン(ドアのノックオン)
「失礼します。こり男です、お呼びでしょうか?」
「苦しゅうない、入りたまえ」
恐る恐る、尻尾を振るわせたこり男(代表取締役社長)が会長室・呼ばれるまで入室禁止♪byこりす先生のドアをくぐった。
「…あの、ワタクシが何か致しましたでしょうか?先日の団栗酒、原材料調達による原住りすとの話会いは現在も平行線でして…あの、申し訳ありませんが、私は明日にでも現地に赴き、報告書はそれ以降になりますので…」
滴り落ちる汗…ならぬ涎をハンカチで拭き拭き、今にも泣き出さんばかりの表情でこり男はこりす先生を見つめた。
「いやいいや、キミを呼んだのはそんな事ではないよ」
「ほ…。そうですか。え、で…でも…他に何か?」
あからさまにホッとしたのも束の間、こり男の表情は見る見る引きつっていく。
「他でもない、キミのような優秀な古栗鼠なら、私が立てた『海の家でガッポリウハウハ♪副産物も手に入れちゃうぞ♪作戦』の責任者に適任だと思ってのォ…」
「『海の家でガッポリウハウハ♪副産物も手に入れちゃうぞ♪作戦』…ですか?」
「モチロン、やってくれるね?」
こりす先生、おもむろに怖いお兄さん真っ青の迫力で、計画書をこり男の目の前に振りながら返答を迫った。こり男は涙と涎をダラダラと垂れ流し、腰を抜かしながら必死に頷いた…もう仕事が一杯一杯で手が回りません、とは流石に言えなかった。
「そうか!やはりキミならやってくれると思っていたよ」
喜色満面のこりす先生。だが直ぐにその笑顔は引っ込み…。
「こり男くん、分かってると思うが…失敗は許されないよ?もしも、そのときは…分かっているね?」
「は、はひ」
「そうか!良かった。イヤーさすがこり男くん。ワシが見込んだだけの事はある。もう下がってよいぞ」
「…し、失礼致します」
こり男は心の中で、『見込んだ』のではなく、『押し付けやすかった』の間違いなのでは?と独り言を呟きながら抜けた腰を引きずって会長室を後にした。
ああ…また仕事が増えた。涙を拭き拭き、廊下を這って行くこり男の姿は、普通の古栗鼠よりひと回りもふた回りも小さく見えた。
「はぁ…仕事、辞めたい…」