専務取締役 古栗鼠川こり蔵
古栗鼠商会の立ち上げよりここ連日、重役の古栗鼠たちは毎日商品開発や実地視察などで大忙し。それこそ出張・出張・また出張…。
しかし、本当の地獄はこれからやって来るのであった。
つい先程、出張先から帰って来たこりす先生、何やら商品開発部の部屋から只ならぬ気配を感じた模様。
こりす先生「どうしたんじゃ、皆で固まって」
こり男「…いや…その…コレが……」
その他古栗鼠A「この怪しすぎる箱が…こり蔵さんから…」
古栗鼠たちが遠巻きに見ている一つの箱。しかし、それは只ならぬ気配と存在感を放ち、簡単に触れる事をようとして許さぬ、強い自己主張を持っていました。
こりす先生「こり蔵?ああ、八丈島まで出張に行った、専務取締役(商品開発責任者兼)の古栗鼠川こり蔵か。そう云えば、さっきメールが届いていたな。どれどれ」
こりす先生、何処に隠し持っているのか、毛皮の中から携帯を取り出し、画面を開いてメールをすかさずチェック。
<こりす先生!ワタシはこの島に来て、もの凄く素晴らしい商品と出会ってしまいました!それは“クサヤ”という魚の干物なのですが、それはもうメマイがするような強烈な臭いで・・・ある意味、我々小動物には毒ガスのようにも感じられますが、慣れれば脳の中を揺さぶられるような快感が♪♪味は当然、この世のモノとは思えない程に素晴らしく、美味でございます!これを肴に焼酎をロックでキューッと一杯・・・なんて素晴らしい至福の時でしょう!!お土産に送りましたので他の古栗鼠たちと是非とも味見をして下さい! こり蔵>
こりす先生「どうせなら焼酎じゃなく、自社商品の団栗酒と書いて欲しいものじゃな。まあいい、今こり蔵は人間の飲み物、特に芋焼酎と言うヤツにどっぷりとハマッておるからのぉ」
渋い顔のこりす先生、その他古栗鼠も各々頷く。そこへ頭から春、もしくは常夏を思わせるノー天気な声が響いた。
こり蔵「みなさーん!!美味い物ハンター古栗鼠川こり蔵、只今、戻って参りましたー!」
静まり返る室内。ところがこり蔵はそんな事など物ともせず、ウキウキと鼻歌を歌いながら議論の的であった箱へと足取り軽く近づく。
こり蔵「おおー!!素晴らしい!既に届いていたのですね♪こりす先生、商品開発チームの皆さん、コレは私が自信を持ってお薦めします、すンばらしく美味しい食材でございます!さあ!食べてください!!」
こり蔵は一気に箱の蓋を開け放つ。すると、そこから発せられたのは…。
こりす先生「のぉっ!!」
こり男「ぐおっ・・・!」
その他古栗鼠「ガハッ!」
その他古栗鼠「くぷっ…」
こり蔵「うっほほーい♪」
いくら干物とはいえ、この暑い季節に常温保管されていたクサヤ…流石に強烈だったのでしょう、次々と古栗鼠たちが倒れ中には泡を吹いて意識が飛んだ者も居る模様…。しかし、そんな中でただ一匹、そう、こり蔵だけが涎を垂らし、嬉々としてクサヤを焼くと言う暴挙へ!!更に強まる強烈な臭い・・・。
大丈夫かみんな!商品開発は会社のライフラインだぞ?担当責任者は本当にこり蔵で行く気なのか!?果たして古栗鼠商会に明日はあるのかー!?