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私の誕生日

作者: 綾戸いずな
掲載日:2013/07/27

 私、中井陽子はいま、絶賛幸せ中です。

 夫の孝宏と、毎日一緒に寝て起きて、ご飯食べてお風呂に入って。幸せすぎて、死んじゃいそうです。

 新婚生活さいこー。


 でも、悩みが一つあるんです。それは、孝宏がホラーマニアだからです。


 こないだなんて、夜にホラー映画見せられて、眠れないかったんですから。酷いものです。


 でも、私は孝宏のことが大好きなので、苦にはなりません。


 ですが一度だけ、そう、あれは私の誕生日のことです。死を覚悟してしまうような事件がありました。

 半年前のことです。




       ○ □ ○ □ ○



「おはよー、孝宏」

 時刻は午前七時。いつものように私が先に目が覚め、一緒にベットで寝ている孝宏を揺さぶりながら、起こした。

 孝宏のわき腹辺りを、肌の温もりを感じながら起こすのが、朝の楽しみでもある。


「んー、おはよー」


 孝宏は目を擦り起き上がる。こうして、私達の一日は始まるのです。






「もうすぐ帰るから、美味しいケーキ、買ってくからねー」

 プー、プーという音がなり、電話が切れた。

 時刻は午後六時。孝宏の仕事が終わり帰る時間だ。私の幸せタイムでもある。だって、孝宏が帰ってくる時間だから。


 ご飯の準備を早めに済まし、食卓に並べたのでもう仕事は無い。

 いつもは読書をしたり、テレビを見たりするのだが、今日はたまたま読む本はなく、見たいテレビもないので、ソファーに座りボーッとしていた。



 一時間ほどボーッとしていただろうか、普段は電話がかかってから三十分くらいで帰ってくる孝宏だが、何故か今日は時間がかかっている。

 多分、ケーキを買っているからだろう。


--ガチャ


 ドアが開く音が鳴り響いた。

 帰ってきたかな。


 私は出迎えに玄関へ行く。


「おかえり……えっ?」


 玄関に立っていたのは、彼氏の孝宏ではなく、全身黒のコートにひょっとこお面を被った、男ともわからない人間が立っていた。


「えーと、どちら様でしょうか?」


 鍵を持っているのは孝宏だけのはずだが、入ってこれたってことは、孝宏が渡したのだろうか。それは今はどうでもいい。

 この人は誰なんだろうか。


「あのー、どちら様で」


 と、突如奴は右手を前に出した。その手に持っていたのは、孝宏と婚約した時の婚約指輪だった。しかもそれは赤くなっている。


「ち、血⁉」


 どうして、孝宏の指輪を。なんで血が。

 私はパニクってしまい、状況が全く掴めなかった。


 奴は指輪をポケットにしまうと、肩に背負ってあったカバンから、柄の大きな包丁をだした。そのポケットにも、真っ赤な血がべっとりとついている。



「え? なに、なんで⁉」


 奴は一歩、一歩と近づいてき、包丁を向けてくる。

 私は後ろへと下がる。


 助けて、孝宏。お願い、助けて。


 下がっていると壁にぶつかり、行く所がなくなってしまった。


 もう、無理だ。


 奴は包丁を私の体の前に向けてきた。


「た、助け……」


--バン


 柄の大きな包丁の刃の部分がとれ、薔薇の花が出てきた。


「ハッピーバースデー、陽子」

「え?」


 奴はひょっとこの仮面を取った。奴は孝宏だった。






       ○ □ ○ □ ○




 そしてその後、私達はバースデーパーティをして、そこで孝宏からプロポーズをうけ、晴れて結婚することになったのです。



 めでたしめでたし。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ●包丁=市販されているクラッカー?だと思いますが、バンっていう音が銃声をイメージするのと、薔薇の花はさすがに柄から出るのは厳しいのではないかと違和感を感じました。薔薇の花を出すのなら追…
[一言]  「意味が分かると怖い話」に似たドライな不気味さがあった。  死ぬほど怖かったです。
[良い点] 殺されそうなシーンで面白い見せ方だと思いました。 [気になる点] 三ヶ月前の話で結婚しているって意外とありえないです。 プロポーズから結婚まで半年から一年くらいかかります。 それは両親へ…
2013/07/27 23:40 退会済み
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