7.
いつもありがとうございます!亀ペースの更新申し訳ございません!
街のメインストリートの一番目立つ所にあるレンガ造りの赤茶色の店舗が本日ドレスをオーダーするシャーリーのお店だ。
シャーリーには婚姻式のドレスでもお世話になっていた為、ホノカとしては、是非これからのドレスも彼女にお願いしたかったので、別邸への支度の為ドレスや靴などのオーダーをとユリウスから言われた時には直ぐにシャーリーの名前を出して要望してしまったのだが、それを伝えるとユリウスは了承してくれた。
愛のない婚姻関係であるホノカが自分の要望を願うなんて図々しいかと躊躇はしたのだけれど…
「好きにして良い」
と言ってくれた。
多分快く…。
そんなわけで、シャーリーの店を訪れたホノカ達。
重厚な漆色の扉をステラが引くと、来客を告げるベルの音が軽快に鳴り、ホノカ達の来店を店主へと知らせる。
「ホノカ様、いらっしゃいませ!」
ホノカに気が付いたシャーリーは弾ける様な笑顔で出迎え、優雅な挨拶をした。
「シャーリー、こんにちは!先日は素敵なドレスをありがとう!」
「とんでもございません!私の方が感謝しきれませんわ!さぁ、あちらの応接室でお話を聞かせて下さい」
シャーリーはホノカ一行を促すと、従業員へお茶の準備を指示した。
四席ある応接セットの椅子はモスグリーンのベルベットの布地が貼られており、魔法石で作られたテーブルとよく合っている。
座席は程よくスプリングしており座り心地も抜群だ。
ホノカとジェイルが腰掛けると先程の従業員がすぐにお茶を出してくれた。
爽やかなアールグレイに添えられた茶菓子はアーモンドクッキーだ。
さくさくな歯ごたえで香ばしい薫りが鼻を抜ける。
(凄く美味しい!)
「さぁ、ジェイルもいただいたら?」
ホノカは親指と人差し指でクッキーを一枚摘むと、それをジェイルの口元へ近づけた。
「はい、あ~ん」
「あ、あ~ん」
躊躇いながら口を開けクッキーを口に頬張るジェイルはハムスターみたいで可愛らしく、ホノカの胸をキュンキュンさせた。
穏やかな時間をしばらく堪能していると、ぶ厚本を何冊か持ったシャーリーが部屋へと戻り、
「さて、今日はどの様なお召し物をお探しですか?」
「期間は分からないのだけど、暫くあちらの領地で過ごす事になったの」
「カートレット家の別邸という事は、もうすぐ冬季が始まるではないですか!さすれば、防寒に優れたケープやコートも必要でございますよね?」
パラパラと分厚いデザイン帳をホノカへ見せながら、シャーリーが話を進め始める。
「先日のドレスはマーメイドラインで、体にピッタリするデザインでございました。ホノカ様のお顔立ちから落ち着いた雰囲気がお似合いであると思いますが、お部屋着はふわっとボリュームがあるエンパイアをベースとして、お色味はエメラルドグリーンを…あ!申し訳ございません…」
矢継ぎ早に言葉を並べていたが、はっとした顔で俯いた。
「シャーリー、どうしたの?」
「…私、ホノカ様の意見を聞かずに一方的に意見を述べてしまって恥ずかしいですわ…」
「私はそのほうが嬉しいわ」
「え?」
「お洋服に関して素人の私よりも、シャーリーが提案してくれるお洋服の方が、きっと素晴らしいもの!」
「ホノカ様…」
瞳をうるうると潤ませシャーリーはホノカの名前を呼んだ。
「前回も全て私に任せてくださいましたよね。そんなふうに仰ってくださる貴族様は初めてでした。ホノカ様に救われたんです…」
シャーリーに同意する様にステラも何度も深く頷いた。
「え?…そんな…私は別に、そう思ったからお願いしただけよ。大層な人間ではないのだけど…」
ホノカは顔を覆い恥ずかしそうに狼狽えたが、シャーリーもステラも、そして、アオイまでもがここぞとばかりにホノカを褒めるものだから、人の好意に慣れていないホノカは戸惑うばかり。
そんな彼女を8歳とは思えない大人びた表情でジェイルは見ている。
そして、
「僕もホノカ様に出会い救われたんですよ…」
ジェイルは誰にも聞こえない様に、小さな声で呟いた。
**********
「俺が着いてってやろうか?」
マリモちゃんもとい闇族の次期長のフューリアスが、ユリウスに向かってにやりと口角を上げた。
「生意気な口を叩くな」
弟の毛玉ちゃんを探して降り立ったテラスで弟に拒絶された挙句ホノカに見つかり、カートレット家の当主ユリウスと一悶着が起きるという不測の事態かあり、犬の姿になったままではあるが、次期長たる実力は変わらないと本人は思っている。
近いうちに闇族に一度戻り、毛玉ちゃんを連れ戻すさんだんではいる。
問題はこの首輪に付けられた魔力制御だ。
「はぁ。うるせぇよ」
「何だ?」
マリモちゃんの溜め息に目ざとく気が付いたユリウスは、ひと睨みすると、ケージの中で仁王立ちするマリモちゃんの首輪に魔術をもう一つ加えた。
「おい!何するんだ!?」
「お前の言い分も一理ある」
「だろう?」
「だが、制御魔法を掛けさせてもらわなければ、安心できないからな。抗おうとするなよ」
冷たく笑うその表情は闇族のフューリアスでさえも、息を飲むような美しさと偉大なる力を感じさせる。
「さぁ、計画を練ろうか?」
ユリウスはマリモちゃんのケージへ手を掛けたのだった。
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