1.
いつもありがとうございます!2章突入です。◕‿◕。ただ、想定より育児が大変でストックが作れませんでした…。1週間に一度くらいのゆるゆる亀ペースの更新になってしまいます。いつもお世話になってる皆様、そして、新しく読み始めてくださった皆様申し訳ありません!
いくらあがいてもどうにもならない現実がある事を知っている。
どんなに後悔しても、なかった事に出来ない過去も知っている。
私は今日も愛しい人の愛を求め何度も囀るの。それが、届かない未来だったとしても…。
フェリアナにとって、この世界は色のない面白みも欠ける鳥籠だった。
身体を包む殻を破る事なんてしなくてもいい。
ただぷかぷかと宙に漂うだけで、時間なんて過ぎていったし、傷付ける者は誰もいない世界だ。ただ、少し退屈ではあったけれど、嫌いとか好きだとか考えてもどうしようもなければ、声を上げたところで聞く者はいない。
それが、フェリアナだけの世界だ。
多くは望まないし生きているだけで良かったのに…。
乱暴に彼女の殻を砕く手。
その手はフェリアナの白くて細い腕を掴むと、強引に彼女を外の世界へと連れ出した。
「❋❋❋❋❋❋❋❋」
その人が言った。
フェリアナには分からない言葉で話しかけるが、彼女には自分自身何者かすらも理解できていないので、その人に答えられるものは持ち合わせていない。
「❋❋❋❋❋❋❋❋」
仄暗い月明かりの下で彼女はこてんと首を横に倒し。無表情に言葉を発した。
『私はだあれ?』
フェリアナを外の世界へと連れ出した者は答える事はなかったが…。
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「ん〜!」
昨日の婚姻式の疲れからか、ホノカはベッドに入るとすぐに寝てしまった。なんとなく夢を見ていた気がするが、目を覚ませば記憶の隅に追いやられて引き出そうにも引き出せない。
まぁ、印象に残っていないということは大した夢ではないのだろう。
でも、何故か胸に支えてホノカの心をもやもやとさせた。
大きく伸びをし、しっかりと体を伸ばそうとするが、両脇を固められている為思うように伸ばせない。
「え?」
(毛玉ちゃんが隣で寝てる。
いつもの事。
ジェイルが私の左側で寝ている。
あ…それは私がホノカとシンクロして、この世界で目覚めた時と同じ。
じゃあ…このさらに左にいるユリウス様は何?)
寝惚けた頭では理解できないのか、はたまたホノカの思考が悪いのか、自身の身に起きている事を整理出来ずに頭の中はぐちゃぐちゃである。
ちらっと横目で確認すると、烏の濡羽色の髪がシーツに流れ目を閉じていながらも睫毛のくるんとしたカールや絵画の様な鼻筋を思わせる造形美…眼福。
(はぁぁ。そうじゃなくて、どうしてユリウス様がこちらに?)
混乱する思考を冷静に戻すには時間が足りなかった。
そ〜っと、だが、足早にベッドから降りると自室の扉を開け身体を滑らせ廊下へ出れば、ホノカの専属メイドステラの後ろ姿が見えた。
「ステラ!」
「ホノカ様、おはようございます!昨夜はよく眠れましたか?」
ホノカより数センチ身長の高いステラは素早くホノカの元まで来ると、一度深く礼をし下げた顔を上げてにっこりと微笑んだ。
「ええ…ではなくて、ステラ…」
「どうかされましたか?」
「あの…私の部屋でユリウス様とジェイルが眠っているのだけど…」
「まぁ!」と目をくりくりとさせ口元に両手を当て驚いた声をあげたステラだったのだが、いつもの穏やかな笑みを浮かべホノカを見つめた。
「ホノカ様、いえ、奥様」
「奥様!?う、そうだったわね」
赤くなった頬を両手で隠しステラの言葉を待った。
「本邸へ移りましたらユリウス様とホノカ様は同室でございます」
「ど、同室!?」
「はい。もともと準備されていた部屋も夫婦共同の寝室があり、そちらから、ユリウス様、ホノカ様それぞれのお部屋へ移動出来るようになってるんですよ」
極々当たり前の事のように伝えるステラの言葉達は、噂とは違い交際経験の乏しいホノカには耳に届いてはいたものの言語処理機能が追いつけずにいる。
異性と同室は勿論、家族ですら物心ついた時には一緒に眠った事はなかったし、きっと誰かに抱きしめられて眠った経験なんてホノカ·ベルツリーにはなかったから。
返答に困り曖昧な笑みを浮かべて言葉を探していたホノカの耳に優しいボーイソプラノが届く。
「ホノカ様?」
声の方へ視線を移すと、左手で枕を抱き右手で目を擦りながら寝室から出てきたジェイルがまだ寝起き眼でぼんやりとホノカに笑いかけた。
柔らかく甘いキャラメルの様な微笑みは、ホノカの強張った心を暖かく包み込み溶きほぐしていく。
(何故かしら?…胸の奥がくすぐったいわ)
不思議な感情に戸惑いながらジェイルへ挨拶を返した。
「ジェイル、おはよう」
「おはようございます!どちらにいらしてたのですか?」
「…朝の支度をしてもらおうと、ステラを探していたの」
「準備が整ったら朝食ですか?」
「ええ、そうね」
遠慮がちな視線だが何かを訴えたい素振りを見せるジェイルは子供らしくてやっぱり可愛い!
「あの…」
ジェイルのさくらんぼの様な可愛い唇が躊躇いがちに動き始めた。
「今日は朝食を一緒にとっていただけますか?」
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