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断罪予定の私ですが、予定は未定だったようです。  作者: 夏嶋咲衣
1.物語の始まり

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番外編 ユリウスの憂鬱1

いつもありがとうございます!2部開始は1月18日からです。遅筆で申し訳ありませんÓ╭╮Ò

「はぁぁ」


 ユリウスは右手で頬杖をつきながら、目の前に積み上げられた書類を捌いていく。しかし、いつものようにサクサクと処理する事は出来ず、まだまだ時間はかかりそうだ。


(早く終わらせてしまわなければ、一緒に食事をする事もできないし、寝室に戻る事も出来ない。へたしたら、眠った頃に戻り、また、起きる前に執務室へ行くの繰り返しだ。) 


「ユリウス様、おはようございます」


 遠慮がちに声を掛けてきたホノカはなぜだか輝いていた。眩い光を体中から出しており、ユリウスは直視する事は叶わずさっと目を逸らす。


「あなたはどうしたのです…?」


 一歩後退り距離を取りながら両目を擦りもう一度見てみるが、やはり何故か彼女は発光していた。


「は?」


 ユリウスの問いかけに首を傾げたホノカは、彼との距離を縮めようと一歩足を踏み出すが、一歩進むと彼は後退する。その繰り返しで、何歩進んでも2人の距離は一向に縮まる事はない。


「ユリウス様、私、怒らせるような事をしてしまいましたか…?」


 眉根を下げしょんぼりとユリウスを見つめるホノカは、ここ数日で見違える程柔らかな印象になったと思う。


 いや、()()()()()思っていた。


 その事をクラークやアオイに話せば、アオイは「そうですか?ユリウス様には心を許されてなかったんですね!きゃははっ」と憎たらしく笑い。クラークからは悲しそうな視線を投げられた。



「いや、そうじゃない!」

「では、どうかされたのですか?」


 心配そうに覗き込むホノカの視線から逃れようとユリウスは、ばっと勢いをつけて左斜めに顔を背けたが、ホノカの方が一歩上手で先回りしてユリウスの視線の先に移動したのだ。


「ユリウス様、私、申し訳ないのですが、人の気持ちの機微に鈍感らしいので、直接言っていただけないと直せません…」


 大きな瞳を潤ませながら、自分に訴えかけるホノカに罪悪感が湧く。

 申し訳なさでいっぱいになるが、泣いてる彼女ですら、キラキラ光って見える…。

 

 違う!

 今はそん事を考えるのではなくて…彼女に返答しなければいけない。


 直してほしいところ?


 直してほしいところ?


 ちらっとさり気なくホノカを見るが、キラキラ輝くばかりで気になるところなんて浮かばない…。顎に手を当て考えるが一つも浮かばないから不思議だ。


 

 直してほしいところなんて…


「貴女はそのままでいい」


 ホノカはユリウスの声と両肩に置かれた手に一瞬びくっと身体を強張らせたが、ふにゃっと表情を崩し、


「でしたら、いいのです。でも!嫌な所があれば、是非仰ってください!」


 と、胸のあたりで両掌で握り拳を作りやる気をみせた。


「おぉ…。わかった…」

「はい!」


 目が潰れそうな光を見ないように、ユリウスは「では、執務質…」とか毛玉ちゃんとか、少しばかり質問をして直ぐに、くるりと踵を返しもと来た廊下を足早で執務室へ向かうのであった。


 


「ユリウス様、それは恋をしているからです」


 執務室の椅子にだらりと腰かけたユリウスはクラークから、決定的な一言を告げられた。


「は?いや…ホノカ嬢に好意を持っている事は認める。だが、それとホノカ嬢が光輝いて見える事は別ではないのか!?」

「恋をするとその人が輝いて見える人もいるのです…。まぁ、稀ですが」

「…そんな…」


 ユリウスは顔を覆い天を仰ぐ。


 動揺からなのか、暫くフリーズしたまま動かない主を見守るしかなかった。


 人がどうこう言って何とかなるものではないし、クラークには今のユリウスの気持ちを正確には理解できてはいない。第三者が当人でもよく分かっていない気持ちを推し量るなんて出来ないのだから。


 ユリウスの気持ちを慮ってアドバイスするくらいは出来るかもしれないが、クラークも恋愛経験が乏しいので、的確かは不明だ。


「あの…ユリウス様…」

「良かった…」

「は?」

「良かった!」


 ユリウスは覆っていた手を外すと、姿勢を正しクラークへと顔を向けた。


「ホノカ嬢が病気ではなくて良かった!」

「病気?」

「ああ。未知の病原体による不治の病ではないかと心配していた…」


(いや、そこ?)


 と、ツッコミどころ満載な主を生暖かい目でこれからも見守り続けようと思った。


 新婚三日目を見守る騎士クラーク 



 


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