番外編 毛玉ちゃんは見ていた1
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ラピスラズリのエンパイアドレスを身に纏ったホノカは、自室の床に立膝をしじっと毛玉ちゃんの瞳を見つめる。
「お手!」
素早い動きでホノカの右掌に自身の手を重ねた毛玉ちゃんは得意気な顔でホノカを見たのだ。いわゆる、ドヤ顔というやつだ。
「凄いわ!一回教えただけで出来ちゃうなんて、やっぱり毛玉ちゃんは賢いのね!」
ホノカに褒められた毛玉ちゃんは仔犬のワルツの様にグルグルと回り、喜びを表現している。
可愛さマックスで、ホノカの口角はだらしなく下がりっぱなしだ。
(毛玉ちゃんの可愛さに気を取られるのだけど、私には考えなくてはいけない事があったんだわ。…ただ、友達のいない私には相談相手がいるわけないのよね…)
「あぁ。どうしたらいいと思う…?」
「わぅ?」
(小首をこてっと傾げる毛玉ちゃんは最高に可愛い!…じゃなくって!)
ぶんぶんと首を横に振り毛玉ちゃんの誘惑を振り払うのだが、
「可愛すぎて罪〜!」
と、またまた言ってしまった。
今朝の出来事について毛玉ちゃんに相談したいのだが、可愛すぎて思考が遮断されるの繰り返し。まぁ、相談相手が毛玉ちゃんというのに無理がある。
ホノカは呼吸を整え、目をしっかりと閉じて毛玉ちゃんに問いかけた。なぜ目を閉じるかって?だって、可愛い毛玉ちゃんが視界に入ると思考が停止してしまうから。
「毛玉ちゃん、今朝ね、ジェイルと…ユリウス様が私のベッドにいたのだけれど、どうしてだと思う?」
毛玉ちゃんは真実を見ていた。
昨夜ホノカと一緒に寝ようと思っていた毛玉ちゃんもとい僕リオンは、日が暮れて暗くなった別邸の廊下をるんるん気分で、スキップしていた。そこへ…、
「どこへ行くんだ?」
(すいません!!)
突然の声に驚きびくっと身体を強張らせて、声のした方を見れば、大きな人影と小さな人影が廊下を曲がった先に見えた。
じっと目を凝らして見てみれば、あれはジェイルとユリウスとかいう奴だった。
(思わず心の中で謝っちゃったじゃん)
ジェイルは足を止めちらっと振り向き、父親に対する態度とは思えない反抗的な目線をユリウスへ送っていた。
僕の父様なら雷電を放たれていただろう。
「ホノカ様の部屋ですよ」
しれっと答えるジェイルに何故なんだかこめかみを引き攣らせたユリウスが、
「お前の部屋は本邸にあるだろう?」
と、極めて冷静に息子に告げたユリウスだったのだけれど、
「部屋はありますが、今日はホノカ様と一緒に寝たいんです。僕は子供だから」
「では、私も夫だから一緒に眠らないといけないな」
「僕は子供だから、誰かと一緒に寝たいんです!」
「では、ホノカ嬢がマリモちゃんと名付けたあの動物と寝たらいいだろう」
「あれは動物ではありません。」
二人共笑顔は崩さないが、流れる空気が殺伐としていて重苦しい。
はぁ。
拗らせてるなぁ。
僕は深く溜息を吐いて二人を観察するが、僕からしたらくだらない小競り合いだ。誰が一緒に寝るとか正直どうでもいいし、低レベルな争いにしか見えない。
まぁ、それを置いといたとして、回数だけでいったらジェイルが勝ってるし、僕が圧倒的勝利!だって、毎日一緒に寝てるもんね!
これからだって負ける気がしないし、実際ホノカ様は僕に夢中なんだから。
僕は争い続ける二人を背に大好きなホノカ様の寝室へと向かったんだ。
まぁ、後からあの二人も来たのだけれど一番近くは僕の指定席だもんね!
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