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断罪予定の私ですが、予定は未定だったようです。  作者: 夏嶋咲衣
1.物語の始まり

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19/66

バドミントンと…。

いつもありがとうございます!

「ジェイル、いきましたよ!」

「はい!任せてください!」


 ホノカの声に反応して素早く打ち返すジェイルはヒロインの未来の相手役候補に相応しく、ヒーロー然とした運動神経だし、佇まいもやはり主役のそれだ。


(流石ジェイル。初めてとは思えないし、感が良く何にでも順応出来るなんて凄いわ!)


 比較的に得意なスポーツだったが、比較的にというだけで、基本運動は得意ではない。だけど、ジェイルを楽しませたい!という一心で頑張ってシャトルを追いかけた。


 ここで説明。

バドミントンとはシャトルをラケットを使って打ち合い、得点を競うネット形のスポーツだ。だが、今日は本格的にやるわけではなく楽しい遊びの1つとしてクラークは辞退したので4人で打ち合う。


 何度かラリーを続けて行くうちに慣れたので、軽く試合形式にゲームをしたからか、普段から運動しなれてないホノカの腕は筋肉が疲労し怠くなる。


(あぁ。だんだん辛くなってきた…あ!)


 ホノカの頭上を軽々と飛び越えたシャトルは木々が生い茂っている中へ姿を消した。

 

「あ…!ごめんなさい。取ってきますね」

「ホノカ母様僕が…」


 ジェイルの声を背にし、ホノカは目的物があるであろう方へ進んだ。


(あれ?)


 シャトルの直ぐ近くに茶色いふわふわとした毛玉が落ちている。


 そっと近付いてみると、心拍に合わせて胸の辺りが上下に動いているようだ。


(生き物かしら…?)


「どうしたの?」


 恐る恐る声を掛けてみると、その小さな毛玉は苦しそうに頭を持ち上げホノカに視線を向けた。

 

 現実世界のポメラニアンの様な動物が、後ろ足から血を流して木陰に隠れるように蹲っている。


 思わず手を伸ばしたホノカへ威嚇して、呻るがその体は小さく震えていた。


「ごめんね?怖いよね…。だけど、少し我慢して…」


 抱きかかえられて、もがき逃げ出そうとするが、小さい動物ゆえ、上手く逃げ出せない。


「大丈夫、大丈夫よ…」


 壊れ物を抱きかかえる様にし、急いでもと来た道を走った。


「ステラ!救急箱はありますか?」


 と、声を上げるホノカに3人は驚き視線を向ける。   ホノカの腕の中で呼吸を荒くした子に気が付き、急いで来てくれたステラは眉を寄せ尋ねる。


「どうされましたか⁉」

「この子、怪我をしているみたい…」

「ホノカ様、軽い怪我なら応急処置くらいは出来ます。血止めをして、早急にお屋敷で手当てをした方が良いと思いますが…」


 ちらちらとユリウスの表情を伺いながら、ステラはホノカの指示を待った。


「ユリウス様!私とステラは先にお暇します!」

「待て」

「申し訳ありません…!」


 ぎゅっと瞳を閉じ、頭を下げるホノカの頭上にユリウスの声が響いた。


「魔法ゲートの方が早い」

「え?」

「ステラ、クラーク。荷物を纏めてくれ」


 驚いた様に見開かれたホノカの瞳から大粒の涙が溢れた。


「ありがとうございます…!」


 「あぁ」と小声で呟き、ホノカへ背を向けたユリウスは自身の魔力を集め本邸までの扉を作る。


 容易い魔術。


 いつものユリウスなら、いともたやすく作ることができるだろう。


 だが、今日は見守るホノカの視線が熱く集中力が分散されてしまい、少し時間がかかってしまった。



(困ったな…。)


 ユリウスは誰に聞こえるわけでもない心の声で呟いていた。


「ユリウス様!ありがとうございます!」


 ゲートの入り口でふと足を止めたホノカの髪が風で大きく舞うと、日除けの為に被っていた帽子が空へと飛んでいく。それを掴もうと手を伸ばした拍子に体のバランスを失い、前のめりになった。


「危ない!」


 ジェイルの声を耳にしながらぎゅっと目を閉じたが、地面に転がる事はなかった。


「あ、あれ?」

「大丈夫か?」


 聞いたことのある声と体を包む温もりに目を開けると、ユリウスがしっかりと抱きとめていた。


「あ、あの…私…」


 真っ赤になっていく頬を両手で隠しながら、オロオロと狼狽えるホノカをしっかりと地面に立たせ、


「大丈夫ならいい」


と、ユリウスはゲートへと足を踏み入れた。ユリウスの後ろ姿を見ながら、経験した事のない心拍数と体温の上昇にホノカは戸惑う。


「ホノカ様、行こう」


 ジェイルはしっかりとホノカの手を握り急かす。


「うん…」


 きっと風邪でも引いたのよ。こんなの私じゃないもの…と自分に思い込ませると、ジェイルと手を繋いでゲートへと向かった。




 

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