宝探しスタートと…。
今日は短めでごめんなさい(_ _;)
「ホノカ様」
声をした方に顔を向けると、自分より10センチくらい背の低い小柄なアオイが、小首を傾げて微笑みかけてきた。首を傾げた際に揺れたツインテールがふわふわと宙で動き小動物感をだしている。
「はい。どうかした?」
「先程は失礼な態度を取ってしまい申し訳ありません!」
深く頭を下げるアオイを無の感情で見ていた。
「いいのよ。別に気にしてないから」
「ありがとうございます。ですが!」
ホノカの両手を自分の両手で包み込み、祈る様なポーズを見せるが、『恋勝』のプログラマーはホノカだ。それが、本心でない事は知っている。
だから、この陳腐なお芝居に何の意味なんてないのだ。
(アオイが本心で謝罪なんてするはずない。私がホノカ·ベルツリーとシンクロしてしまい、これがゲームにはないストーリーだとしても、今は態度を変える理由がないのよね…)
「私が、ホノカ様の宝探しを手伝います!」
「いえ、結構よ。貴女だって、宝を隠した張本人だもの。ズルをしたことになるわ」
ホノカはアオイの手を解こうとするが、小柄であってもアオイはNo.2の騎士だ。貴族令嬢であるホノカが力で勝てるはずはなかった。
「大丈夫です!1つは私が隠しましたが、残りの2つの場所は知りません。ですので、ホノカ様が不正をした事にはなりません」
(強引すぎる…。どうしても、私と行動がしたいみたい。何か企んでるとしか思えないんだけどなぁ)
ギリギリと力を込めるので、握られた手は赤身を帯び、少し痛いくらいだ。
「ねぇ、もう手を離してくれない?」
「ホノカ様が一緒に来て下さるなら離します」
「はぁ」と思わず溜息が出るくらいには、このやり取りにうんざりした。
マテオスが好きだから、ホノカに敵対心を持っているのかもしれないが、そんなのお門違いだ。
ホノカはマテオスに興味を持っていないし、マテオスだってそうだ。
何度も言うが、こんなやり取りには何の意味もない。
「分かったわ」
「ありがとうございます。では、ホノカ様、クラークは慎重ですので、誰でも分かる所には隠さないと思うのです」
アオイは手を離すと真顔でずいっとホノカに顔を寄せた。
「そうなのですね」
「屋敷の裏の道を探しましょう。こちらです!」
一人で屋敷の奥へと消えかかった少女の後を追ったホノカ。だが、次の瞬間、お腹に鈍い痛みが走るのと同じくして目の前が暗くなる。
(あいつやりやがったわね…)
気がついた時にはもう遅い。
後の祭りである…。
(アオイは要注意人物決定ね…)
「ザマァよ」
とっても憎たらしい声を最後に完全にホノカの意識は消えたのだった。
「あのバカ…」
クラークは見てしまったのだ。
アオイがホノカの鳩尾を殴るのを…。
そして、ホノカが失神するとあの小さな体で担ぎ上げ、颯爽と屋敷の奥の道に入っていった。
まさかの出来事に呆然としたクラークだったが、あまりの出来事に脳の血管が拡がり偏頭痛を起こした。 右手でコメカミの辺りを抑えながら、周りを確認する。
(ジェイル様は見ていない……見ていた~!)
殺意のこもった瞳がクラークを捉えていたのだ。
「クラーク」
氷点下の声がクラークの名を呼ぶが、クラークからすれば予期せぬ出来事。彼の預かり知らない不測の事態だった。
「ジェイル様、申し訳ございません。アオイが」
「見ていた」
いや。そうですよね。見ていた事は知っています。
色々な言い訳が頭を過ぎるが、何を言ってもきっと無駄だ。
「アオイを捕獲しろ。ホノカ様に傷一つでも付いてたら許さないから…」
「はい!申し訳ございません!」
頭を深く下げジェイルの次の言葉を待つが、ふと人の気配が消えた事に気がついた。
「ジェイル様!」
急いで顔を上げたが、その場には誰もいなかった。
(まずい!)
肝が冷えるとはこう言う事だろう。
クラークの体温は急激に下がり目眩を憶えた。
(あぁ。何でこうも浅はかな奴ばかりなんだ)
もう溜息しかない。
本来のジェイルは8歳にして周りを圧倒する力と絶対的な存在感を持っている。
それが、ホノカが侯爵家に来てからというもの、年相応の様に振る舞っていた。
だからか、それを見た家臣達は勘違いしジェイルを失脚させようと目論んでいる。
そんな奴らの悪意を捻り潰す大事な時なのに、1番しっかりしないといけない護衛騎士がまさかの失態。
(あぁ!マテオスがおそらく一緒に行ったはずだ)
最悪の状態が起きてはならないと、クラークはジェイルの気配を追って走り出した。
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