第99話 非常に緊急事態
プルルル。
「私だ。レッドキングか。どうした」
「だから異世界らしくない連絡方法は止めてください!」
思わず人の電話にツッコんでしまいました。
『大変です。四天王の1人イエローキングが倒されました』
「何だと! それは真か? 四天王が負けるのは初めてだな」
『はい。幸い一命は取り留めましたが完敗だったようです』
「信じられんな」
何かとんでもない話をしていますね。こういう場合は聞かない方がいいと思いますが、興味には勝てません。
「それでどんなパーティーにやられたのだ?」
『詳細は不明です。イエローキングの回復を待って調査する予定でいます』
「わかった」
『そこで首脳会議を開きたいのですが、一旦帰っていただくことは可能でしょうか?』
「そうか。何とかしよう」
これで旅は中止ですね? 急いで帰らねばならないと言うことは瞬間移動で魔王城にひとっ飛びです! モンスター達は大騒ぎのようですが、人間である私には関係ありませんから棚からぼた餅ですね。
「リーサ、ナナカ、突然魔王城に帰らねばならなくなった。非常事態だ」
「そうなんですか?」
内容はもう知っていますが盗み聞きしていたことがバレると行けませんので大げさに驚いておきます。
「少しでも早く帰りたいが、ここに来るのに7日間を要してしまった。思いっきり急いで帰っても5日はかかるだろう」
「どうして瞬間移動で行こうという考えがないのですか!」
「リーサと旅できる方がいいし」
「非常事態だって分かってます?」
「仕方ない。瞬間移動を使うか」
「当然です」
「だが今日位はゆっくりして明日朝に旅立ちことにしようぞ」
「非常事態の意味分かってます?」
「分かった。今から行くぞ」
私達は一瞬で魔王城の前に到着しました。これで暫くは楽な暮らしができるはずです。私的には超ラッキーですよね。私が首脳会議に出ることはないでしょうから私の部屋で自由にのんびり過ごせます。
「では会議を始める。これは異世界始まって以来のピンチだ。会議の内容は絶対に漏らさぬよう気を付けろ!」
「は! ラスボス様」
モンスター全員が大きな声で答えます。
「それで? なぜ私がこの会議に出ているのですか?」
「リーサ、不満でもあるのか?」
「私が出ても何の戦力にもならないじゃないですか? そんな人物を参加させる意味が分からないんですけど」
「お前は頭が良さそうだからな」
「戦いのことは分かりません!」
どうしてこうなるのでしょうか? 絶対に何か企んでいるはずです。まさかまた敵のアジトに行けとか言わないでしょうね?
「それでイエローキングの代わりは派遣してあるのか?」
「はい、取り敢えずグレートジーニアスドラゴンを行かせています」
「それははっきりと人選ミスだと思うぞ」
かれこれ5時間は会議を続けています。よほど重大なことなんでしょうね。休憩も入れず討論が続いていますから。私には関係のないことですけどね。
「リーサ」
「え? はい」
「今の意見についてどう思う?」
全く聞いてませんでした。この雰囲気はかつて通っていた学校のデジャブーのようです。ここは素直に謝るべきでしょうか? でもこれだけ真剣に討論していたのに聞いてなかったとはさすがに言えませんね。
「私としてはその方向でいいんじゃないかと思います」
無難な言い回しをしておくに限ります。
「何だと! 本当にそう思うか!?」
まずいことを言ってしまったようです。
「でも、ここは慎重な態度で行動するべきですよね」
周りのモンスターがざわめいています。どんな意見だったのでしょうか? とても気になります。
「分かった。リーサがいいというのならその方向で進めよう」
「え?」
思いっきりまずいことを言ってしまったようです。どうしましょうか?
その時1匹のモンスターが大慌てで入ってきました。
「ラスボス様。ご報告いたします」
「何だ騒々しい」
「今、イエローキング様の意識が回復されて相手の情報が入りました」
「そうか! 詳しく述べよ」
「は! 申し上げます。相手はパーティーではなく1人の少女だったそうです」
「何だと! それは確かか?」
「イエローキング様が仰ったそうですので間違いないかと思われます」
会議室が賑やかになっています。全員レベル100のパーティーでも倒せない四天王を1人で倒してしまったのですからこうなりますよね?
「その少女を徹底的に探し出せ」
「は! 分かりました」
「そうなると先ほどのリーサにイエローキングを倒したパーティーに加わって貰って様子を探るという作戦はできぬな?」
そんなことを話していたのですか! 私はそれに賛成していたと? 危ないところでした。人の話はしっかりと聞かないと行けませんね? このモンスター達、油断も隙もありませんから。
「よし、今日はここまでにしよう。データが揃ったら第2回の会議を始めることにする」
「分かりました。ラスボス様」
「では、データが揃ったら私にスマホで連絡しろ」
「はい? 直接ではなくスマホでですか?」
「そうだ。私はまた旅に戻るからな。どうせすぐにはデータは集まらないだろう?」
「それはそうですが」
「リーサ、ナナカと旅に戻るぞ。支度をせい」
どうしてこうなるんですか! ああ、ふかふかのベッドが~。




